ビジネスと採算 物流会社と荷主会社の関係性(その1)

投稿日

SCM

 

◆ 物流価格値上げと契約解除申請

 サプライチェーンにとって、コスト増と輸送能力の減少は大きな問題です。この要因としてドライバー不足があります。特に大型を運転するドライバーが少なくなってきていると聞いています。ドライバーが不足するということは、深刻な問題であると言わざるを得ません。日本の物流の大半がトラック輸送に頼っているからです。

 ドライバー不足問題は結果として荷主の仕事を断ったり、今までの契約価格を値上げしたりするという現象が起きています。このような状況下で今までにないことが発生しています。それは採算に合わない荷主に対し、物流会社側から取り引きを終了するように申し入れるということです。

 そもそも採算に合わないビジネスを行うこと自体が間違っています。しかし、それが実際に行われていたのは何故(なぜ)でしょうか。

 第一に挙げられるのが、受注時に仕事欲しさのあまり採算を無視していたとうことです。無視とまで言わずとも見通しが甘かったということはいえるでしょう。第二に挙げられるのは、当初の契約に無い仕事を荷主の依頼の下、安易に引き受けてしまったことが考えられます。これも契約時の詰めの甘さが影響していることは否めないでしょう。

 いよいよ物流会社にしてみればそのような仕事をやっているゆとりが無くなってきたのでしょう。荷主に契約の解除の申し入れをするようになってきたのです。このようなことが発生することはやむを得ないと考えられます。一方で契約時にきちんと詰めずスタートした物流会社にも責任があります。

 当初から分かっていたのであれば、そのような契約はすべきでは無かったのですから。契約期間中の解除は不可能ではありませんが、少々無責任な気がしないではありません。経済状況が変化し、また仕事が欲しいと思っ...

SCM

 

◆ 物流価格値上げと契約解除申請

 サプライチェーンにとって、コスト増と輸送能力の減少は大きな問題です。この要因としてドライバー不足があります。特に大型を運転するドライバーが少なくなってきていると聞いています。ドライバーが不足するということは、深刻な問題であると言わざるを得ません。日本の物流の大半がトラック輸送に頼っているからです。

 ドライバー不足問題は結果として荷主の仕事を断ったり、今までの契約価格を値上げしたりするという現象が起きています。このような状況下で今までにないことが発生しています。それは採算に合わない荷主に対し、物流会社側から取り引きを終了するように申し入れるということです。

 そもそも採算に合わないビジネスを行うこと自体が間違っています。しかし、それが実際に行われていたのは何故(なぜ)でしょうか。

 第一に挙げられるのが、受注時に仕事欲しさのあまり採算を無視していたとうことです。無視とまで言わずとも見通しが甘かったということはいえるでしょう。第二に挙げられるのは、当初の契約に無い仕事を荷主の依頼の下、安易に引き受けてしまったことが考えられます。これも契約時の詰めの甘さが影響していることは否めないでしょう。

 いよいよ物流会社にしてみればそのような仕事をやっているゆとりが無くなってきたのでしょう。荷主に契約の解除の申し入れをするようになってきたのです。このようなことが発生することはやむを得ないと考えられます。一方で契約時にきちんと詰めずスタートした物流会社にも責任があります。

 当初から分かっていたのであれば、そのような契約はすべきでは無かったのですから。契約期間中の解除は不可能ではありませんが、少々無責任な気がしないではありません。経済状況が変化し、また仕事が欲しいと思ったとしても、このような対応をした物流会社に発注するほど、荷主もお人よしではありません。

 契約時にどのような対応をし、どのような約束をして開始したのかを十分にレビューしてから、契約解除の申し入れをした方が良いことは言うまでもありません。安易な値上げ申請や契約解除の申し入れは、将来的なしっぺ返しを受けることにもなり兼ねないということを肝に銘じておきましょう。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンとはなにか

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その6)

第6回 道具4「物流会社選定ツール」(下) 前回のその5に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ6】回答...

第6回 道具4「物流会社選定ツール」(下) 前回のその5に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ6】回答...


SCMの適切な評価指標 SCM最前線 (その11)

1. SCMには適切な評価指標がない    自社のSCMがどのレベルにあるのかは、興味深い問題でしょう。競合する企業のSCMレベルが自社に対...

1. SCMには適切な評価指標がない    自社のSCMがどのレベルにあるのかは、興味深い問題でしょう。競合する企業のSCMレベルが自社に対...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
労働生産性 物流労務費改善への取り組み(その1)

  ◆ 自動車組立ラインに学ぶ  前々回のシリーズ、物流業としての原価低減の取り組みでは「原価低減」のお話をさせていただきました。物流費...

  ◆ 自動車組立ラインに学ぶ  前々回のシリーズ、物流業としての原価低減の取り組みでは「原価低減」のお話をさせていただきました。物流費...


貨物自動車運送事業法 物流安全管理(その6)

  ◆ 点呼とラジオ体操で安全確保  貨物自動車運送事業法には、「貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対...

  ◆ 点呼とラジオ体操で安全確保  貨物自動車運送事業法には、「貨物自動車運送事業者は、事業用自動車の乗務を開始しようとする運転者に対...


固定観念を捨てて取り組む物流改善とは

1. サプライチェーンマネジメントのための組織論  誰しも長年生きていますと自分のライフスタイルというものが決まってきます。それと違うことをやろうと...

1. サプライチェーンマネジメントのための組織論  誰しも長年生きていますと自分のライフスタイルというものが決まってきます。それと違うことをやろうと...