◆ MT法などを活用した故障予測
(1)洗濯機のモータ
工程や製造装置ではMT(マハラノビスタグチ)法などのAI手法を活用した故障予測が一般的になってきました.
私もF社時代に半導体プロセスのある製造装置の部品の故障予測の体制構築をMT法で支援したことがあります.その狙いは,ある高価な部品の交換サイクルを適正化することによってダウンタイムを最少に維持しながらコストダウンを達成することにありました.
それ以前までその部品は定期交換対象となっており,劣化によって機能を失うよりもだいぶ前に交換していたのです.まだ十分に機能している部品を交換してしまうのは無駄と言えます.理想は機能を失う寸前まで稼働することです.それによって自社のコストダウンだけではなく資源の有効利用という意味での総合的な損失を減らすこともできます.
一方,一般家庭で使われる家電製品はどうでしょうか.
家電製品は,故障予測の機能がないのが普通ですが,機能が失われたときの損失は決して小さくないということを実感したのです.実は我が家の洗濯機が故障してしまった時のことです.近くの家電量販店で新しい洗濯機を購入したのですが,取り付け工事までに1週間も待たなければならなかったのです.その間はコインランドリーか手洗い...