ミナロはケミカルウッドをマシニングセンターで削り出すモデル加工の企業で、社員10名ですが、10年前の設立時から急成長しており、中小企業の発展モデルの一つとして注目されます。
その実態を描くことで、他社の参考になることを期待します。記載にあたっては、日本経営品質賞のフレームワークを使ってみました。
1、経営幹部のリーダーシップ
ミナロには中小企業を連携させて活性化させるという壮大なビジョンがあり、技術と社員に対する社長の熱い思いが周囲を巻き込んで伝わっていきます。緑川社長本人が運営するブログでは、製造業にとどまらず政策や経済、行政に至るまで強烈なメッセージを発信しています。
2、経営における社会的責任
社長の緑川氏は、自社の事業に直接利益をもたらす事のない「心技隊」という任意組織を構成し、中小企業の連携や商品開発をサポートしています。特に企業対抗でコマの強さを競う「全日本製造業コマ大戦」は、全国規模に広がり、中小企業の技術とモチベーションを高めています。
3、顧客市場の理解と対応
必ずしもシステマチックな顧客/市場対応の仕組みはないのですが、問題があれば正月休み返上で対応する。経費が見積もり価格を超えても、試作を繰り返して納得できるものを納品するという粘り腰の対応が、社員全体に浸透して、高いリピート率と口コミ受注を獲得しています。
Cat7とも関連しますが、テレビ、ラジオ、新聞などへも積極的に露出することで、自社の技術をアピールし、新規の問い合わせを獲得する事も市場の理解につながっています。
4、戦略の策定と展開
小さな組織であるため、戦略は緑川社長が社員の意見を聞きながら決定しています。大企業に比べて柔軟で迅速な展開が効果的に働いています。 また戦略の展開にあたって社内だけでなく、社外のネットワークに対してもオープンに発信することで、協力体系を築いていることも大きな強みとなっています。
5、個人と組織の能力向上
木型モデル加工は一品づくりで特殊な技術なので、マニュアルやテキストがあるわけでなく、先輩に教えてもらいながら体で覚えていく面が多いと思われます。 自らの高い能力で作った商品が評価されることで、モチベーションが上がることは想像に難くありません。
6、顧客価値創造のプロセス
Cat5でも記述したように、装置に投資しただけで製造できるものではなく、経験によって技能が向上するため、強力な参入障壁を持っています。さらに人的ネットワークを通じた受注システムも模倣できるものではなく、コアコン...