購買業務の要点:発注時の注意点

更新日

投稿日

 SCM前回のその5に続いて解説します。今まで候補会社選定に始まるソーシングプロセスについて解説してきました。ソーシングで取引先が決定すると今度はその会社に対する発注が始まります。
 
 取引先に対する発注行為をパーチェシングと呼びます。ソーシングが購買部門で行われるのに対してパーチェシングは実際にその物や、サービスを使用する部門が行うことが一般的です。
 
 例えば、製品を組み立てるための部品の発注先を決めるのは購買部門で、実際にその部品が必要な時に発注するのは工場ということになります。パーチェシングプロセスで注意しなければならない点について考えてみましょう。
 
 やはり注意が必要な点として確認すべきは「契約通りの発注」になっているのかどうか、ということではないでしょうか。納品の何日前までに発注するのか、納品は一日何回なのか、一回当たりの発注量に制限はあるのか、年間の発注量は決まっているのか、などを契約書と照らし合わせてきっちりとチェックしておくことが必要です。
 
 工場が発注の主体となる場合、サプライヤーとの契約について意識することなく実施してしまうことがあります。これは法令違反につながる可能性があり得るので注意が必要です。購買部門は契約内容を発注部門に対してしっかりと説明しなければなりません。次に下請法違反の例を示します。
 
 【下請法違反の例】
  ・過度の納品頻度を求められた
  ・契約外のサービス提供を求められた
  ・発注量が大幅に減少した
  ・不当なやり直しを命じられた
 
 このような事例を下請法全般と共に、発注部門に認識してもらえるように説明会を設けることが必要です。特に契約時の数量が大幅に減少するということはあり得る事例です。その場合には価格について再見積りをしてもらうようにする必要があります。
 
 契約外のサービスとして部品納品時に棚入れを依頼するという事例があります。本来であれば工場の納入場に置けば納品完了のケースで倉庫内の棚まで入れさせてしまう事例です。...
 SCM前回のその5に続いて解説します。今まで候補会社選定に始まるソーシングプロセスについて解説してきました。ソーシングで取引先が決定すると今度はその会社に対する発注が始まります。
 
 取引先に対する発注行為をパーチェシングと呼びます。ソーシングが購買部門で行われるのに対してパーチェシングは実際にその物や、サービスを使用する部門が行うことが一般的です。
 
 例えば、製品を組み立てるための部品の発注先を決めるのは購買部門で、実際にその部品が必要な時に発注するのは工場ということになります。パーチェシングプロセスで注意しなければならない点について考えてみましょう。
 
 やはり注意が必要な点として確認すべきは「契約通りの発注」になっているのかどうか、ということではないでしょうか。納品の何日前までに発注するのか、納品は一日何回なのか、一回当たりの発注量に制限はあるのか、年間の発注量は決まっているのか、などを契約書と照らし合わせてきっちりとチェックしておくことが必要です。
 
 工場が発注の主体となる場合、サプライヤーとの契約について意識することなく実施してしまうことがあります。これは法令違反につながる可能性があり得るので注意が必要です。購買部門は契約内容を発注部門に対してしっかりと説明しなければなりません。次に下請法違反の例を示します。
 
 【下請法違反の例】
  ・過度の納品頻度を求められた
  ・契約外のサービス提供を求められた
  ・発注量が大幅に減少した
  ・不当なやり直しを命じられた
 
 このような事例を下請法全般と共に、発注部門に認識してもらえるように説明会を設けることが必要です。特に契約時の数量が大幅に減少するということはあり得る事例です。その場合には価格について再見積りをしてもらうようにする必要があります。
 
 契約外のサービスとして部品納品時に棚入れを依頼するという事例があります。本来であれば工場の納入場に置けば納品完了のケースで倉庫内の棚まで入れさせてしまう事例です。緊急オーダー、つまり契約上の納品リードタイムよりも短い納期で発注することもあります。その場合は原則として特別価格が適用されることになるでしょう。
 
 契約関連事項は、発注者も常に気にかけるようにし、不安な点があったら購買部門に相談するような組織対応が必要です。
 
 次回は、その7、見積査定について解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その6)

第6回 道具4「物流会社選定ツール」(下) 前回のその5に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ6】回答...

第6回 道具4「物流会社選定ツール」(下) 前回のその5に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ6】回答...


精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その9)

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...


サプライチェーンの構築 -プロジェクトマネジメントの観点から-

 サプライチェーンマネジメント(SCM)の構築・再構築は、経営資源を目的に沿って稼動させる複雑なプロジェクトマネジメントを必要とします。具体的には、情報シ...

 サプライチェーンマネジメント(SCM)の構築・再構築は、経営資源を目的に沿って稼動させる複雑なプロジェクトマネジメントを必要とします。具体的には、情報シ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライヤーと共同で取り組む物流改善

  1. サプライチェーンの淀み  物流改善を進めいくとある壁にぶつかることがあります。その壁とは組織の壁です。自分の部署だけで行っているのであれ...

  1. サプライチェーンの淀み  物流改善を進めいくとある壁にぶつかることがあります。その壁とは組織の壁です。自分の部署だけで行っているのであれ...


現場収益の向上、人財育成 物流業センター長の役割(その1)

  ◆ 会社収支の認識と人財育成  現場の管理職、その長のマネジメント次第で現場のパフォーマンス、そして会社の収益が全く違ったものになり...

  ◆ 会社収支の認識と人財育成  現場の管理職、その長のマネジメント次第で現場のパフォーマンス、そして会社の収益が全く違ったものになり...


通信販売と物流 物流業界の地位向上(その2)

  ◆ 物流サービス水準の評価  通信販売について大抵のお客さんは満足していると思います。そのカギを握るのが物流であることは言うまでもあ...

  ◆ 物流サービス水準の評価  通信販売について大抵のお客さんは満足していると思います。そのカギを握るのが物流であることは言うまでもあ...