購買業務の要点:「経費」把握の留意点

更新日

投稿日

 SCM前回のその8に続いて解説します。「経費」の部分を見ていきましょう。この経費にはその製品にかかる直接・間接コストのことです。この範囲は広範かつ複雑です。会社によっても異なってきます。それをどのように積み上げていったらよいのでしょうか。この経費は複雑な積み上げを試みるよりも一般的にやられている方法を踏襲することが賢明です。
 
 そのやり方とは「材料費」「加工費」に一定率を乗じるという方法です。たとえば経費率は10%と決め、それを乗じるというやり方です。ただし、経費に含まれる要素として「梱包材料費」と「運送費」があります。これについては、見積もることはそれほど難しいことではないので、きちんと見積金額を入れましょう。
 
 次に、購買コストの削減活動について考えましょう。その際に、材料VAや加工VAだけでは追いつかなくなる可能性があるのです。そうなると当然の行きつく先として、「物流費削減」に目が行くわけです。その時にどれくらいの改善オポチュニティがあるかどうかは、この「梱包材料費」と「運送費」を見ることによって判断できます。
 
 もし、将来的に自社で製品を、サプライヤーまで引き取りに行くことを考えているのであれば尚更です。この「梱包材料費」と「運送費」が自社引き取りの際の原資になるのです。単純に運送だけを自社で行うのであれば「運送費」が原資になります。見積もり時にあらかじめ把握しておくことによって、自社で引き取り物流を行うメリットも判断できます。
 
 現在、引き取り物流を行おうとして失敗している、あるいは、着手できずにいる会社の多くは「運送費」を認識していないことにあります。ですから、サプライヤーからは現実よりも低い運送費を提示されてしまい、実際には儲からない引き取り物流にならざるを得ないのです。
 
 購買担当者であれば、サプライヤーの損益計算書を見ておく必要があります。「材料費」と「加工...
 SCM前回のその8に続いて解説します。「経費」の部分を見ていきましょう。この経費にはその製品にかかる直接・間接コストのことです。この範囲は広範かつ複雑です。会社によっても異なってきます。それをどのように積み上げていったらよいのでしょうか。この経費は複雑な積み上げを試みるよりも一般的にやられている方法を踏襲することが賢明です。
 
 そのやり方とは「材料費」「加工費」に一定率を乗じるという方法です。たとえば経費率は10%と決め、それを乗じるというやり方です。ただし、経費に含まれる要素として「梱包材料費」と「運送費」があります。これについては、見積もることはそれほど難しいことではないので、きちんと見積金額を入れましょう。
 
 次に、購買コストの削減活動について考えましょう。その際に、材料VAや加工VAだけでは追いつかなくなる可能性があるのです。そうなると当然の行きつく先として、「物流費削減」に目が行くわけです。その時にどれくらいの改善オポチュニティがあるかどうかは、この「梱包材料費」と「運送費」を見ることによって判断できます。
 
 もし、将来的に自社で製品を、サプライヤーまで引き取りに行くことを考えているのであれば尚更です。この「梱包材料費」と「運送費」が自社引き取りの際の原資になるのです。単純に運送だけを自社で行うのであれば「運送費」が原資になります。見積もり時にあらかじめ把握しておくことによって、自社で引き取り物流を行うメリットも判断できます。
 
 現在、引き取り物流を行おうとして失敗している、あるいは、着手できずにいる会社の多くは「運送費」を認識していないことにあります。ですから、サプライヤーからは現実よりも低い運送費を提示されてしまい、実際には儲からない引き取り物流にならざるを得ないのです。
 
 購買担当者であれば、サプライヤーの損益計算書を見ておく必要があります。「材料費」と「加工費」は、損益計算書の中の「売上原価」に入っています。従って、その会社の経費、利益を見たければ「売上総利益」、つまり、粗利益をチェックすればよいことになります。購買担当者は、査定を行うに当たってはこういった周辺の数字についても、チェックしておくことが肝要です。
 
 次回、その10では、サプライヤー評価について解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
格差が拡がるSCM   SCM最前線(その2)

 SCM最前線、前回のその1に続いて解説します。   1.SCM達成度は範囲よりも質が重要     これまで、SCM...

 SCM最前線、前回のその1に続いて解説します。   1.SCM達成度は範囲よりも質が重要     これまで、SCM...


物流の顧客満足度を知る【連載記事紹介】

  物流の顧客満足度を知るの記事が無料でお読みいただけます!   ◆物流の顧客満足度を知る 物流はあらゆる経済活動と関わり...

  物流の顧客満足度を知るの記事が無料でお読みいただけます!   ◆物流の顧客満足度を知る 物流はあらゆる経済活動と関わり...


調達物流 儲ける輸送改善 (その6)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
仕事の速度とは 新鮮な目で物流現場を見る(その3)

◆ 標準速度での物流作業を  物流作業においても「人がいるから仕事を作る」といった現象が無いとは言えません。しかしビジネスを行っている以上、付加価値...

◆ 標準速度での物流作業を  物流作業においても「人がいるから仕事を作る」といった現象が無いとは言えません。しかしビジネスを行っている以上、付加価値...


物流商品力を高める

   1. 利益向上にながりにくい商品  物流を生業としている会社も、社内で物流サービスを行っている会社も顧客に対して喜ばれる物流商品を提供する必...

   1. 利益向上にながりにくい商品  物流を生業としている会社も、社内で物流サービスを行っている会社も顧客に対して喜ばれる物流商品を提供する必...


部下育成と作業観察 物流技術標準と物流作業標準を設定する(その3)

       1. 作業要件一覧表、管理項目一覧表  作業要件一覧表を作成することで、物流監督者は自身の職場にどのような仕事があり、それをこな...

       1. 作業要件一覧表、管理項目一覧表  作業要件一覧表を作成することで、物流監督者は自身の職場にどのような仕事があり、それをこな...