SCMの基本 (その1)

投稿日

 SCM受注型生産におけるSCMの改善について解説します。今回はSCMの基本と言えることを一つ、企業の実例から解説します。
 

◆使用数量を前工程(含むサプライヤー)にできるだけ早く伝える

 半導体製造装置に搭載する研削工具を作っているある工場の大きな課題は、いわゆる“シリコンサイクル”をどう捉えて、乗り切っていくかでした。先の予想を立てて、景気の下降期には在庫を絞り、上昇期にはいちはやく生産体制を増強するという活動を繰り返していました。
 
 しかし、予想がずれた場合には、在庫が増えたり、欠品が発生したりして、特に景気の上昇期には部品の調達リードタイムも長くなり、お客様への供給リードタイムが長くなる傾向にありました。そこで、生産方式を改革して、受注生産(プル生産)方式を確立する活動を開始しました。それまで製造課長の立てた生産計画に従い、各職場でまとめ生産していたものを、加工機の配置を変え、流れを作って3つほどの島にしました。
 
 この3つの島をストアで繋いで仕掛かり量の基準を決め、ストアが空になる前に補充する、逆に満杯であれば作らない、という単純なルールだけを生産指示としてものづくりを進めることにしました。ストアが空かない時には後工程で何か起こっていないか見に行ったり、何か手伝えば進むのかを確認したり付随するルールも決めました。
 
 問題は購入品でした。外部のサプライヤーに自社のルールを押し付けるわけにもいかず、行き詰まっていたので、「毎日使った数をファックスで先方に送っておいてください」と指示しました。そうすると、発注という事務作業や計画数量の提供などの業務が軽減され、スムーズにものが流れるようになりました。
 
 どのような難しい仕組みを作ろうか悩んでいた製造課長は、「嘘のように解決した」と言い、「使った数量を前工程にできるだけ早く伝えるという基本を再...
 SCM受注型生産におけるSCMの改善について解説します。今回はSCMの基本と言えることを一つ、企業の実例から解説します。
 

◆使用数量を前工程(含むサプライヤー)にできるだけ早く伝える

 半導体製造装置に搭載する研削工具を作っているある工場の大きな課題は、いわゆる“シリコンサイクル”をどう捉えて、乗り切っていくかでした。先の予想を立てて、景気の下降期には在庫を絞り、上昇期にはいちはやく生産体制を増強するという活動を繰り返していました。
 
 しかし、予想がずれた場合には、在庫が増えたり、欠品が発生したりして、特に景気の上昇期には部品の調達リードタイムも長くなり、お客様への供給リードタイムが長くなる傾向にありました。そこで、生産方式を改革して、受注生産(プル生産)方式を確立する活動を開始しました。それまで製造課長の立てた生産計画に従い、各職場でまとめ生産していたものを、加工機の配置を変え、流れを作って3つほどの島にしました。
 
 この3つの島をストアで繋いで仕掛かり量の基準を決め、ストアが空になる前に補充する、逆に満杯であれば作らない、という単純なルールだけを生産指示としてものづくりを進めることにしました。ストアが空かない時には後工程で何か起こっていないか見に行ったり、何か手伝えば進むのかを確認したり付随するルールも決めました。
 
 問題は購入品でした。外部のサプライヤーに自社のルールを押し付けるわけにもいかず、行き詰まっていたので、「毎日使った数をファックスで先方に送っておいてください」と指示しました。そうすると、発注という事務作業や計画数量の提供などの業務が軽減され、スムーズにものが流れるようになりました。
 
 どのような難しい仕組みを作ろうか悩んでいた製造課長は、「嘘のように解決した」と言い、「使った数量を前工程にできるだけ早く伝えるという基本を再認識させられた」とも言っていました。使った数量を伝えるというのは、使う(買う)側は素材なり部品が切れずに後ろのストアなどにあればいいだけなのですから、計画数量策定や発注作業などという作業が軽減されます。
 
 供給する(売る)側にとっても実需のタイムリーな把握により、フォーキャストの精度が上がります。この例のように、『使った数量を前工程にできるだけ早く伝える』というのはSCMの基本の一つです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石塚 健志

330件の指導実績/工場管理全般、中でも省エネルギー、歩留り・品質改善を得意とします

330件の指導実績/工場管理全般、中でも省エネルギー、歩留り・品質改善を得意とします


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
物流不良撲滅 物流品質の向上 (その5)

1.物流現場マネジメントによる品質管理の実践  前回の第4回に続いて解説します。工場では製造部門ではきっちりとした標準作業書が作成され、監督者による...

1.物流現場マネジメントによる品質管理の実践  前回の第4回に続いて解説します。工場では製造部門ではきっちりとした標準作業書が作成され、監督者による...


調達物流 儲ける輸送改善 (その4)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


サプライチェーン時代の歴史認識と戦略

 今回は、サプライチェーンマネジメントによる経営へのインパクトについて考察します。   多くの専門家がサプライチェーンを語り、拙著「サプライチ...

 今回は、サプライチェーンマネジメントによる経営へのインパクトについて考察します。   多くの専門家がサプライチェーンを語り、拙著「サプライチ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
見積精度を向上させる 荷主と物流事業者の関係(その4)

        物流事業者は見積もりを作成する際に、やや大雑把すぎる気がします。それで十分な利益が出ればよいのですが、下手すると赤字で受注してしまう...

        物流事業者は見積もりを作成する際に、やや大雑把すぎる気がします。それで十分な利益が出ればよいのですが、下手すると赤字で受注してしまう...


輸送時付加価値を与えないもの トラック積載率を上げるには(その2)

◆ 物流容器の有効活用  積載効率を上げるには製品を裸のまま運ぶことが理想です。そうすることで容器などの余分なスペースを省き効率が上がるわけです。パ...

◆ 物流容器の有効活用  積載効率を上げるには製品を裸のまま運ぶことが理想です。そうすることで容器などの余分なスペースを省き効率が上がるわけです。パ...


物流が社内認知されるために

1. 被害者意識が強すぎる物流  今まで何度となくお話してきましたが、社内で物流の認知度が低い、上位者の関心が薄い、だから物流部門はつらい思いをして...

1. 被害者意識が強すぎる物流  今まで何度となくお話してきましたが、社内で物流の認知度が低い、上位者の関心が薄い、だから物流部門はつらい思いをして...