新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、環境マネジメント/有害物質管理について紹介しています。
前回ではRohs指令について解説しましたが、今回はREACH規制です。
1. REACH規制とは
REACH(Registration,Evaluation,Authorization and Restriction of Chemicals)は、化学物質(Chemicals)に対して、登録(Registration)、評価(Evaluation)、認可(Authorisation)、制限(Restriction)を行うものです。EU市場での生産者・輸入者に対し、全ての化学物質(1トン/年 以上)について、環境影響調査を行い、欧州化学物質庁(ECHA)への申請・登録が義務付けられるものです。データ登録されていない化学物質はEU市場に供給してはならないということになります。
EU市場における輸入者が欧州化学物質庁へ申請・登録を行うことになりますが、実質はEU市場に輸出する日本の企業が、現地の輸入業者を特定又は設立し、その業者に対して、申請・登録に必要なデータを提供することによって、初めて生産品の輸出が可能になります。
2. REACH規制で管理される化学物質(高懸念物質:SVHC物質)
REACH規制で管理される化学物質は、2007年当時は3万点余りが対象ですが、実際に以下は様に順次追加されるステップを踏んでいます。欧州化学物質庁は、2008年10月28日に15物質を発表、続いて、2010年1月13日に15物質、2010年6月18日に8物質、2010年12月3日に8物質、2011年5月31日に7物質、2011年12月19日に20物質、2012年6月18日に13物質、2012年12月19日に54物質が追加され、本稿編集時では、SVHC物質は計138物質となっています。
物質名は、ジクロロコバルト、重クロム酸ニナトリウムニ水和物、五酸化ニヒ素、三酸化ニヒ素、ひ酸水素鉛、ひ酸トリエチル等々、一般の人にはなじみのない名称の化学物質です。これを受けて、日本では、株式会社:エコエンジェル等が、追加される化学物質の分析データ提供サービスを行っています。
3. REACH規制の特徴
欧州化学物質庁に申請された物質の認可は、より安全な代替技術への切り替えが困難で、かつ、産業活動上使用が不可避な場合にのみ下ることになっています。さらに、この認可を受けるためには、別物質への代替化検討の計画書の提出が求められます。
日本の化審法が、新しく製造・輸入される化学物質を規制するのに対し、REACHは、既存の化学物質についても、改めて新規物質と同等のデータの段階的な登録を求めています。これにより、新規物質と既存物質の区別をなくし、新規物質参入の機会を増大させ、より安全な物質と技術への代替の促進を図ることを狙っています。
事前届出(登録...