物流で小改善を積み上げよう

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1. 改善はスピードが重要

 改善に取り組む際に大きい小さいはあまり関係ないと思います。問題があったらすぐに改善して修正する。大きさよりもスピードが重要な気がします。物流改善に着手したことがないという会社の方もいらっしゃるかもしれません。物流は一般的な理解として「モノを動かす行為」ととらえられています。メーカーの生産現場ではワークを取るという行為は最小の物流です。たとえその運搬距離が50cmであったとしても改善の余地はあり、と考えるべきでしょう。それを10cm縮めることも立派な改善です。
   
 よく工場の中で「供給改善」が行われていますが、これも重要な物流改善です。生産工程にモノを届ける行為の改善ですが、生産作業者がいかに楽に作業できるかが一番の狙いです。そのために取り出しやすい荷姿を作って工程まで運搬していく作業を物流担当者が行うことになります。まさに質の高い物流改善と言えるでしょう。なぜなら物流のサービス水準が向上するための改善だからです。単純に物流コストを下げるための改善もあります。どちらかというとこちらの改善アイテムの方が多いのかもしれません。先ほどの事例は、生産工程に対する物流サービスを向上し、生産工程の効率を上げることが狙いです。物流担当者の負担は高まるかもしれませんが、顧客(本件では生産工程)の負担が下がりますので望ましい改善と言えます。
  
 物流そのものの改善では運搬距離の短縮や保管作業の効率向上などがよく行われていると思われます。このような改善は設備改善を伴わないものがほとんどですから、比較的早期に着手できるアイテムです。レイアウト変更やモノの置場の変更などがありますが、特に置場を変えることはそれほど難しくありません。今目の前で置き方に疑問があれば、すぐに動かしてみましょう。そして新たな配置の下で仕事をし、不都合があればまた変更すればよいだけの話です。
 

2. 物流改善の基本

SCM
 改善は、初めから大きな効果を狙おうとする必要は全くありません。目の前の小さな問題を解消するという意識で物流改善に取り組みましょう。物流倉庫でモノを出庫する際に、「モノを探す」「迷う」という動作がどれくらいあるか把握されているでしょうか。会社によって差はありますが、出庫作業時間の15%くらいが「探す」「迷う」行為です。これはまったく付加価値を生まない動作なので、無くさなければなりません。モノの置場を明確化することから改善すれば、結果的に大きな効果が得られます。基本が大切です。その観点で、物流業では5Sから始めることをお勧めします。「倉庫の床に線を引く」という取り組みはいかがでしょうか。
 
 棚に表示を付ける、という改善も基本です。倉庫の中に住所を定めます。あるゾーンは「丁目」、通路ごとに「番地」を定め、棚間口に「号」を付けます。これで倉庫の中の「位置情報」が確立されます。そして特定の間口と保管物を紐づけします。この管理を行うことで、「庫内を探し回る」という行為はほとんど無くなると思われます。間口の中のモノを取り出しやすいように並べる、という行為も物流小改善と言えます。並べるのはもしかしたら手間かもしれません。しかし出庫作業者の生産性と品質の確保の観点から、モノは並べた方がよいという判断に至るかもしれません。
 
 倉庫内で「ルールを定める」ことも重要です。作業者によって仕事のやり方が異なることは望ましくありません。まず「モノの置き方のルール」からスタートしましょう。そして「表示のつけ方」についても。フォークリフトの置場を定め線で囲む、製品の入った容器を平置きするためにレーンを定めて線を引く。そして置場を明確化するために表示を付ける、このような基本的な改善から着手するとよいと思います。物流作業も「基本」が大切です。その基本を「形(かた)」とします。そして作業者にはまず「形」を身につけさせるのです。それができていない物流現場はまさに「形無し」です。
 

3. 物流改善日を設ける

 輸送改善であれば輸送用荷姿の改善が効果的です。比較的取り組みやすいので、小さな改善をいくつも見つけ出し、実行することが可能です。それは容器への収納数の増加です。あと1個入れられないか、と考えながら実行すると実際には2個積み増しすることができることが多々あります。まず物流担当者で1日「輸送荷姿改善日」を設けてみてはいかがでしょうか。そして工場や倉庫の中で巡回しながら荷姿をチェックしていきます。この時には実際に容器の中にモノを並べながら実施します。そうすることで現実性がグッと高まるのです。もちろん、製品に与える品質は最重要ですから品質管理担当者も同行させるとよいかもしれません。容器の収納数が増えることで、1箱あたりの輸送コストが低減できます。容器数が少なくて済みますので、保管場の効率化にも貢献します。
 
 荷姿改善の延長で荷姿の簡略化が挙げられます。容器の中の間仕切りや緩衝材は品...

1. 改善はスピードが重要

 改善に取り組む際に大きい小さいはあまり関係ないと思います。問題があったらすぐに改善して修正する。大きさよりもスピードが重要な気がします。物流改善に着手したことがないという会社の方もいらっしゃるかもしれません。物流は一般的な理解として「モノを動かす行為」ととらえられています。メーカーの生産現場ではワークを取るという行為は最小の物流です。たとえその運搬距離が50cmであったとしても改善の余地はあり、と考えるべきでしょう。それを10cm縮めることも立派な改善です。
   
 よく工場の中で「供給改善」が行われていますが、これも重要な物流改善です。生産工程にモノを届ける行為の改善ですが、生産作業者がいかに楽に作業できるかが一番の狙いです。そのために取り出しやすい荷姿を作って工程まで運搬していく作業を物流担当者が行うことになります。まさに質の高い物流改善と言えるでしょう。なぜなら物流のサービス水準が向上するための改善だからです。単純に物流コストを下げるための改善もあります。どちらかというとこちらの改善アイテムの方が多いのかもしれません。先ほどの事例は、生産工程に対する物流サービスを向上し、生産工程の効率を上げることが狙いです。物流担当者の負担は高まるかもしれませんが、顧客(本件では生産工程)の負担が下がりますので望ましい改善と言えます。
  
 物流そのものの改善では運搬距離の短縮や保管作業の効率向上などがよく行われていると思われます。このような改善は設備改善を伴わないものがほとんどですから、比較的早期に着手できるアイテムです。レイアウト変更やモノの置場の変更などがありますが、特に置場を変えることはそれほど難しくありません。今目の前で置き方に疑問があれば、すぐに動かしてみましょう。そして新たな配置の下で仕事をし、不都合があればまた変更すればよいだけの話です。
 

2. 物流改善の基本

SCM
 改善は、初めから大きな効果を狙おうとする必要は全くありません。目の前の小さな問題を解消するという意識で物流改善に取り組みましょう。物流倉庫でモノを出庫する際に、「モノを探す」「迷う」という動作がどれくらいあるか把握されているでしょうか。会社によって差はありますが、出庫作業時間の15%くらいが「探す」「迷う」行為です。これはまったく付加価値を生まない動作なので、無くさなければなりません。モノの置場を明確化することから改善すれば、結果的に大きな効果が得られます。基本が大切です。その観点で、物流業では5Sから始めることをお勧めします。「倉庫の床に線を引く」という取り組みはいかがでしょうか。
 
 棚に表示を付ける、という改善も基本です。倉庫の中に住所を定めます。あるゾーンは「丁目」、通路ごとに「番地」を定め、棚間口に「号」を付けます。これで倉庫の中の「位置情報」が確立されます。そして特定の間口と保管物を紐づけします。この管理を行うことで、「庫内を探し回る」という行為はほとんど無くなると思われます。間口の中のモノを取り出しやすいように並べる、という行為も物流小改善と言えます。並べるのはもしかしたら手間かもしれません。しかし出庫作業者の生産性と品質の確保の観点から、モノは並べた方がよいという判断に至るかもしれません。
 
 倉庫内で「ルールを定める」ことも重要です。作業者によって仕事のやり方が異なることは望ましくありません。まず「モノの置き方のルール」からスタートしましょう。そして「表示のつけ方」についても。フォークリフトの置場を定め線で囲む、製品の入った容器を平置きするためにレーンを定めて線を引く。そして置場を明確化するために表示を付ける、このような基本的な改善から着手するとよいと思います。物流作業も「基本」が大切です。その基本を「形(かた)」とします。そして作業者にはまず「形」を身につけさせるのです。それができていない物流現場はまさに「形無し」です。
 

3. 物流改善日を設ける

 輸送改善であれば輸送用荷姿の改善が効果的です。比較的取り組みやすいので、小さな改善をいくつも見つけ出し、実行することが可能です。それは容器への収納数の増加です。あと1個入れられないか、と考えながら実行すると実際には2個積み増しすることができることが多々あります。まず物流担当者で1日「輸送荷姿改善日」を設けてみてはいかがでしょうか。そして工場や倉庫の中で巡回しながら荷姿をチェックしていきます。この時には実際に容器の中にモノを並べながら実施します。そうすることで現実性がグッと高まるのです。もちろん、製品に与える品質は最重要ですから品質管理担当者も同行させるとよいかもしれません。容器の収納数が増えることで、1箱あたりの輸送コストが低減できます。容器数が少なくて済みますので、保管場の効率化にも貢献します。
 
 荷姿改善の延長で荷姿の簡略化が挙げられます。容器の中の間仕切りや緩衝材は品質を考慮しての設定だと思います。しかし実際には過剰梱包になっている可能性があります。この緩衝材などを外すことで荷姿コスト低減につながります。できれば「輸送荷姿改善日」に収納数の視点と緩衝材の視点の2つの視点で改善ネタを探していくとよろしいのではないでしょうか。
 
 荷姿に限らず、小改善ネタを探すためには「複数人数による巡回方式」が効果的です。モノの置き方に特化して巡回することもやってみるとよいでしょう。あまり時間をかけず、その場で解決策を検討し、実施してしまうくらいの勢いで活動しましょう。小さな改善のポイントはスピードにあります。
 
 いかがでしょうか。積極的な活動が物流小改善を促進します。明日にでも現場を巡回してみましょう。そして固定観念にとらわれずに3現主義でアイデア出しを行います。明日にも効果のある改善が1つでも2つでも実施できれば儲けものです。
 

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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