1. 迷い時間はロスタイム
皆さんが日々仕事をしている中で「迷い」がありませんでしょうか。仕事だけではなく生活まで範囲を広げると迷うことは結構あるものです。たとえば地下鉄の駅。自分がこれから向かう先までは何線に乗ったらよいのか迷うことがあります。そこで駅の路線図とにらめっこをしながら該当路線を突き止めます。次に乗り場です。ターミナル駅ではいくつもの路線が乗り入れていますので、その中から該当路線の乗り場へと向かいます。その時には駅内にある案内表示を頼りにします。その通りに歩いていくことで乗り場へとたどり着くことができるでしょう。物流現場ではこれに類似した迷いがたくさん存在します。自分が新人の出荷担当者であることを想像してみて下さい。
次に出荷する製品を倉庫の中から引き出す必要があります。その製品はどこに置かれているのでしょうか。どのエリアのどの棚の中に入っているでしょうか。棚までたどり着くと似たような製品が数多く置かれていることに気づきます。まさに自分が出庫しなければならない製品はどのように識別できますでしょうか。紛らわしい製品の場合迷いが生じます。誤出荷は顧客に迷惑をかけることになりますでしょうから。自分が出荷すべき製品を識別できたとします。しかし、棚の中にはいくつもその製品が入った箱が置かれています。その複数の箱の内、どの箱から取り出したらよいのか迷うかもしれません。
物流の原則は「先入先出」です。古いものから出庫する必要があります。先入先出ができるための識別は明確になっていますでしょうか。それがないと新人であるあなたは迷うことでしょう。そして先輩社員に指示を仰ぐことになるかもしれません。その場に先輩にいなければ事務所まで戻る必要があるかもしれません。これでは仕事上のロスになってしまいますが、顧客に迷惑をかけることを考えれば必要な措置と考えざるを得ません。このような迷いは一日の時間の中で何パーセントかを占める可能性があります。この時間は間違いなくロスタイムです。私たちは迷いのロスは無くしていかなければなりません
2. 表示改善に着手せよ
迷いを無くすためには倉庫内をあたかも地下鉄の駅のようにしなければなりません。表示を誰が見ても一瞬でわかるようなものにする必要があるのです。当たり前のことですが、表示はどこからでも目に付くような場所に掲示する必要があります。地下鉄では表示に路線名と共にマークを付けています。マークは色分けされていますが、その色で路線を認識している顧客も多いものと思われます。人は色に敏感ですから物流倉庫でも色を駆使することは効果的だと思います。天井から吊るす看板は白地に色を付けた文字やマークを入れると目立ってよいのではなきでしょう。倉庫内の要所要所にこのような看板を付けましょう。ポイントは「新人でもわかる」です。ベテラン作業者が「自分たちがわかるから」という表示ではよくないかもしれません。できればキャリアの浅い社員やパートの方に見てもらい意見をもらうとよいと思います。謙虚に耳を傾けることが重要なのです。
表示に使う「コード」には何かしらの意味を持たせることが大切です。一桁目はゾーン番号、二桁目は通路番号、三桁目は棚番号などの意味を持たせるのです。先ほど示しました「色」ですが表示だけではなく、床の色を分けたり棚の色を分けたりすることも効果があると思います。どのようにしたら庫内業務の迷いが無くなるか、作業者の方たちの意見を聞いてみましょう。それを解消するアイデアを取り上げることが改善への近道です。
・表示の文字が小さすぎてわかりづらい
・庫内の照明が不十分で暗い
・紛らわしい製品が隣同士に並べられている
・製品番号がわかりづらい
こういった問題点が多々出てくることでしょう。場合によっては作業者によるQCサークルで解決してもらうことも有りかもしれません。要は普段その仕事を実施している担当者の意見を聞き尊重することです。迷いを無くすことは「誤出荷」を無くすことにもつながり、物流品質改善にもつながります。では表示以外の迷い改善のためには何に取り組んでいったらよいでしょうか。
3. 製品番号と文字サイズに注意せよ
物流現場で迷いが発生する要因として「オーダーの見にくさ」が挙げられます。出庫作業者はオーダーシートを見ながら必要な製品を棚から出庫することが多いと思います。この時に「わかりづらい製品番号」や「見にくい文字の大きさ」などは作業者にとって迷いの要因となるとともにストレスの原因にもなります。夕方になってくると疲れもたまっていますので、その迷いがミスにつながるリスクを考えなければなりません。作業者は間違えたら大変、ということで何度も何度もオーダーシートを確認します。その結果、作業にかかる時間が大幅に増えます。出庫作業の場合、棚から製品を取り出すことが仕事であって、何度もオー...