超簡単な物流改善の取組み

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1. モノを取り出す改善

 物流改善は難しくありません。ただ、あまり経験したことがないため取っつきにくいだけです。普段から生産改善を実施している工場の方にとってはむしろ物流改善は簡単に感じられるのではないでしょうか。ということで、まずは物流改善に取り組んでみましょう。超簡単なところから開始すれば物流改善に対するアレルギーもなくなると思います。モノを取り出す改善に取り組んでみましょう。この時にありたい姿を明確にすることが第一歩となります。そのありたい姿とは「手を伸ばしてワンタッチで取れる」ことです。手を伸ばす範囲もひじから先を動かす程度が望ましいと思います。さてではそのありたい姿に対して現状はどうなっていますでしょうか。
 
・歩行しなければならない
・手前に置かれているものをどかさなければならない
・箱を開けなければ取れない
 
 このような状況がどんどん出てくることでしょう。ですからこの状況をつぶしていくことが改善になるわけです。歩行しなければ取れないのであれば、モノの置場を手元化します。邪魔なもの置かれている場合には2S(整理整頓)を行って、そのものを捨てるか移動させます。箱に入っている場合は届けるときに開梱し、あらかじめ取り出して並べておくことも考えましょう。モノを取るときにはあくまでもワンタッチ。つまり一動作で取れることが理想です。まずこの状態を今の作業現場全体で構築していきましょう。これは立派な物流改善であり、その効果は大きいものです。何か作業をする場合には必ず「取る」という動作が伴いますから、当然効果は大きくなるのです。供給する人はそれを使う人の立場に立って届けるようにします。そうすることによって、取るときのムダがあらかじめ排除されるのです。超簡単です。まず「取る」という当たり前の行為から改善していくことをお勧めします。
 

2. 物流エリアはコンパクトに

 物流はエリアを必要とします。多くが保管のために使われますが、通路が必要となるのが物流の特徴でもあります。このエリア、どのくらいが適正なのでしょうか。この判断は結構難しいところです。往々にして物流のためのエリアは付加価値を生じないことが多いようです。そうなるとエリアを持ちすぎても良くないということになります。特に通路エリアはどちらかというと無付加価値スペースだと考えられます。そこでできるだけ物流エリアはコンパクトに持ちたいものです。ではどのようにしてコンパクト化するのでしょうか、今保有しているモノの数を小さくすることについて考えてみてはいかがでしょうか。手元に10個保有していればそれだけのスペースが必要です。その数を半分にしたらどうなるのか。今日いくつ使うのでしょうか。もし5個しか使わないのであれば半分でも問題が無いことになります。ということで、まず目の前にある部品や資材などを半減することについて考えてみることをお勧めします。意外と必要のない分まで手元に引き寄せているものです。
 SCM 
 工場で生産のために使うものについては「買う量」を調整します。この購入量も多すぎるケースが見受けられます。できるだけこまめに調達する。そうすることによってモノの量を減らすことができ、モノの置場を縮めることができます。多分こまめに調達することが面倒である、大ロット調達の方が安く買えるなどの理由で多くの量を買い込んでいるのではないでしょうか。各工程が必要なだけ手元に置くことでスペース改善に寄与します。「大きいことは良いこと」といった間違った発想では物流改善は前進しません。物流のための場所は原則として付加価値を生まないという考え方に立って物流エリア削減に取り組んでみましょう。そのために「モノの数」の縮小に取り組みましょう。
 

3. 表示を付ける

 今すぐにできる超簡単な物流改善があります。それはずばり「表示を付ける」ということです。何がどこにあるか瞬時にわからずに「探す」ムダを無くすことができます。この「探す」という行為、皆さんも多かれ少なかれ毎日実施していると思います。この行為は物流現場において大敵です。最近、人材難という言葉が交わされる機会が多くなってきています。特に物流業は人が集まりづらい産業の上位に位置しています。決して誇らしいことではありませんが、長時間労働、低賃金という情報が飛び交い、なかなか人が集まりません。人不足だから時間を伸ばして仕事を片付ける、つまり残業を行ってやっと日々の仕事をこなしている会社が多いことでしょう。でもちょっと待ってください。本当に人材は不足しているのでしょうか。これを検証するためには日々の稼働状況をチェックしてみる必要があります。
 
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1. モノを取り出す改善

 物流改善は難しくありません。ただ、あまり経験したことがないため取っつきにくいだけです。普段から生産改善を実施している工場の方にとってはむしろ物流改善は簡単に感じられるのではないでしょうか。ということで、まずは物流改善に取り組んでみましょう。超簡単なところから開始すれば物流改善に対するアレルギーもなくなると思います。モノを取り出す改善に取り組んでみましょう。この時にありたい姿を明確にすることが第一歩となります。そのありたい姿とは「手を伸ばしてワンタッチで取れる」ことです。手を伸ばす範囲もひじから先を動かす程度が望ましいと思います。さてではそのありたい姿に対して現状はどうなっていますでしょうか。
 
・歩行しなければならない
・手前に置かれているものをどかさなければならない
・箱を開けなければ取れない
 
 このような状況がどんどん出てくることでしょう。ですからこの状況をつぶしていくことが改善になるわけです。歩行しなければ取れないのであれば、モノの置場を手元化します。邪魔なもの置かれている場合には2S(整理整頓)を行って、そのものを捨てるか移動させます。箱に入っている場合は届けるときに開梱し、あらかじめ取り出して並べておくことも考えましょう。モノを取るときにはあくまでもワンタッチ。つまり一動作で取れることが理想です。まずこの状態を今の作業現場全体で構築していきましょう。これは立派な物流改善であり、その効果は大きいものです。何か作業をする場合には必ず「取る」という動作が伴いますから、当然効果は大きくなるのです。供給する人はそれを使う人の立場に立って届けるようにします。そうすることによって、取るときのムダがあらかじめ排除されるのです。超簡単です。まず「取る」という当たり前の行為から改善していくことをお勧めします。
 

2. 物流エリアはコンパクトに

 物流はエリアを必要とします。多くが保管のために使われますが、通路が必要となるのが物流の特徴でもあります。このエリア、どのくらいが適正なのでしょうか。この判断は結構難しいところです。往々にして物流のためのエリアは付加価値を生じないことが多いようです。そうなるとエリアを持ちすぎても良くないということになります。特に通路エリアはどちらかというと無付加価値スペースだと考えられます。そこでできるだけ物流エリアはコンパクトに持ちたいものです。ではどのようにしてコンパクト化するのでしょうか、今保有しているモノの数を小さくすることについて考えてみてはいかがでしょうか。手元に10個保有していればそれだけのスペースが必要です。その数を半分にしたらどうなるのか。今日いくつ使うのでしょうか。もし5個しか使わないのであれば半分でも問題が無いことになります。ということで、まず目の前にある部品や資材などを半減することについて考えてみることをお勧めします。意外と必要のない分まで手元に引き寄せているものです。
 SCM 
 工場で生産のために使うものについては「買う量」を調整します。この購入量も多すぎるケースが見受けられます。できるだけこまめに調達する。そうすることによってモノの量を減らすことができ、モノの置場を縮めることができます。多分こまめに調達することが面倒である、大ロット調達の方が安く買えるなどの理由で多くの量を買い込んでいるのではないでしょうか。各工程が必要なだけ手元に置くことでスペース改善に寄与します。「大きいことは良いこと」といった間違った発想では物流改善は前進しません。物流のための場所は原則として付加価値を生まないという考え方に立って物流エリア削減に取り組んでみましょう。そのために「モノの数」の縮小に取り組みましょう。
 

3. 表示を付ける

 今すぐにできる超簡単な物流改善があります。それはずばり「表示を付ける」ということです。何がどこにあるか瞬時にわからずに「探す」ムダを無くすことができます。この「探す」という行為、皆さんも多かれ少なかれ毎日実施していると思います。この行為は物流現場において大敵です。最近、人材難という言葉が交わされる機会が多くなってきています。特に物流業は人が集まりづらい産業の上位に位置しています。決して誇らしいことではありませんが、長時間労働、低賃金という情報が飛び交い、なかなか人が集まりません。人不足だから時間を伸ばして仕事を片付ける、つまり残業を行ってやっと日々の仕事をこなしている会社が多いことでしょう。でもちょっと待ってください。本当に人材は不足しているのでしょうか。これを検証するためには日々の稼働状況をチェックしてみる必要があります。
 
 作業充実度という言葉があります。1日の中でどれだけ仕事に従事しているかの比率です。明らかに従事できない時間は休憩時間とミーティング時間です。ではそれ以外の時間帯は休むことなくひっきりなしに物流作業に従事できているでしょうか。もし、この問いにYesと答えられるのであれば、次のチェックを行います。それは作業の仕方に無駄がないかどうかをチェックするのです。この時に先ほどの「探す」という行為に注目する必要があるのです。棚に入庫するときに空いている場所を「探す」、ピッキング時に該当製品を「探す」、梱包のための資材を「探す」といったことを行っている可能性があります。場合によってはこの行為が10%を超えることもあります。それを防ぐためにも「表示を付ける」ことが重要になってくるのです。表示は極力大きく、わかりやすく付けます。一定の離れたところからもわかるようにすることがポイントです。この効果は絶大です。しかも超簡単です。ぜひ今日からでも始めてみましょう。もしこの表示によって1日の10%程度を占める「探す時間」を無くすことが出来たら人材不足と思っていたことが解消できるかもしれません。
  

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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