自社保有技術の棚卸し&コア技術の定義・設定プロセスと継続的な育成、強化手法

~自社の技術を活用し新製品、新事業を創出し、収益をもたらすために~
■自社保有技術の棚卸しと評価
■コア技術を継続的な育成・強化方法
■コア技術による技術戦略マネジメントとその活動

あいまいだったコア技術を今こそはっきりさせ、自社の技術戦略を明確に打ち出していくために

長期に渡り自社として新規事業を含め事業の成長の根幹とし
 継続的な強化が必要とされるようなコア技術を設定し、育てていますか

複数のコア技術の選定軸の提示、自社の現状の保有技術の棚卸、どうコア技術を継続的に強化してくのか

未来志向でコア技術を設定し、長期的・継続的に自社の収益を拡大するには

セミナー趣旨

 コア技術設定は自社の技術戦略の要となる、極めて重要な戦略的な意思決定です。また、近年オープンイノベーションに取組む企業が多くなっており、コア技術の設定は、オープンイノベーションの大前提です。しかし、大企業を含めて多くの企業において、個別製品での重要技術の設定にとどまり、長期に渡り自社として新規事業を含め事業の成長の根幹とし今後とも継続的な強化が必要とされるような技術、すなわちコア技術は明確に設定されていません。このような企業においては、1つ1つの技術開発に大きな不確実性を抱え、加えてますます大きな投資が必要となる環境下において、技術戦略が不在もしくは不備と言われてもしかたがありません。
 本セミナーにおいては、コア技術を明確に定義し、その定義に基づきコア技術を設定する方法論、すなわち、どのような評価基準でコア技術を設定するのか、そしてどのようなプロセスでコア技術の設定を行うかを学んでいただきます。前者については、コア技術を長期的かつ継続的に自社の収益拡大に直接的に寄与する視点から、複数のコア技術の選定軸を提示し、コア技術を定義します。後者においては、自社の現状の保有技術の棚卸を最初に行います。技術の棚卸とは、自社が全社として保有する技術はどのようなものなのか、それは自社の他社との相対的な技術水準を含め、どのような特徴を持つのかにより、自社の保有技術を俯瞰的に捉えることを目的として進めるものです。また最後には、どうコア技術を継続的に強化していくのかについても、議論をします。

受講対象・レベル

研究開発部門、研究開発企画、技術企画、 経営企画などの部門の方々で、
・自社の技術を活用し新製品、新事業を創出する活動に従事されている方
・自社の長期的な事業展開の拠り所とすべきコア技術を明確化する作業に従事されている方
・適正な技術戦略を構築したい方 など

※講師と同業者、コンサルティング業の方のご参加はお断りいたします

習得できる知識

・技術の棚卸
・コア技術の設定法
・コア技術の強化法

セミナープログラム

1.はじめに
 (1)コア技術設定の難しさ
  -クレハ・富士フイルムの例
 (2)コア技術は未来志向で設定する
  -既存の強い技術だけに拘泥すると:花王の例
  -コア技術が対象とすべき領域:未来志向で考える
 (3)コア技術設定上の重要な注意点
  -技術戦略策定そのもの
  -未来志向と広い価値創出の視点で設定するもの
  -機械的に設定できるものではない

2.コア技術とは:コア技術の対象領域
 (1)『既存技術領域』の強化
 (2)新市場への『既存技術領域』の展開
 (3)「既存技術領域」の『代替技術』
 (4)既存市場での価値づくりのための『新技術領域』
 (5)長期の事業ドメイン内での新市場での価値づくりのための『新技術領域』

3.コア技術の重要な7つの意味
 (1)将来に向けての企業の屋台骨としてのコア技術
 (2)「範囲の経済性」実現手段としてのコア技術
 (3)事業戦略のドライバーとしてのコア技術
 (4)『価値づくり』実現手段としてのコア技術
 (5)オープンイノベーションのプラットフォームとしてのコア技術
 (6)全社で継続的強化・共有の対象としてのコア技術
 (7)トップマネジメントによる技術マネジメントのツールとしてのコア技術

4.コア技術設定の企業事例
 (1)コア技術設定の企業事例
  -3M/クレハ/富士フイルム
 (2)基盤技術とは(富士フイルムの例)
 (3)コア技術のその他の定義

5.コア技術の選定軸
 (1)コア技術の選定軸
 (2)コア技術の選定軸の背景:収益実現の3要素
 (3)「顧客提供価値の大きさ」について
 (4)「適用範囲の広さ」 について
 (5)「自社の独自性追求」軸の設定:「技術の成熟度」×「自社技術の水準」

6.コア技術設定の全体プロセスと注意点
 (1)コア技術設定の全体プロセス
  -ステップ1:技術棚卸の大分類の設定
  -ステップ2:技術棚卸素案の設定
  -ステップ3:各部門でのマクロ環境分析と技術棚卸素案の各部門での修正と評価
  -ステップ4:各部門での追加・評価の統合と全社視点でのマクロ環境分析の補強
  -ステップ5:ステップ4に基づくコア技術の設定
 (2)注意点
  -その1:自社保有技術を広く俯瞰する
  -その2:コア技術は未来志向で設定する
  -その3:長期的な全社の継続的成長の視点を持つ

7.ステップ1:技術棚卸の大分類の設定
 (1)技術の棚卸のための大分類の設定の目的
 (2)技術の棚卸の大分類の設定事例
  -大手機械メーカーA社/3M/電子部品メーカーB・C社/エレクトロニクスメーカーD社例
 (3)「技術を『機能』で表現する」についての考え方

8.ステップ2:技術棚卸素案の設定
 (1)技術の棚卸設定のワークシート
 (2)ステップ2はあくまで叩き台

9.ステップ3:各部門でのマクロ環境分析と技術棚卸素案の各部門での追加・修正と評価
 (1)ステップ3を構成する3つのタスク
 (2)タスク1:マクロ環境分析
  -従来のマクロ環境分析の問題点と対応策(VACES→PEST→MECE→隣接可能性)
 (3)タスク2:棚卸技術の追加・修正
  -M(市場)→ P(製品)→ T(技術)で考える
 (4)棚卸技術の評価
  -評価項目A:提供顧客価値の大きさ
   ・顧客価値拡大の網羅的視点:VACESモデル
  -評価項目B:適用範囲の広さ
  -評価項目C:公式の技術戦略上の位置付
  -評価項目D:技術水準
   ・自社の技術水準を評価する視点
   ・注意点:自社の技術水準はあくまで参考
  -評価項目E:技術成熟度
   ・技術成熟度評価のガイドライン

10.ステップ4:各部門での追加・評価した技術の統合と全社視点でのマクロ環境分析の補強
 (1)全社の評価が一覧できる表の作成
 (2)各部門が行ったマクロ環境分析の統合と全社視点での補強

11.ステップ5:ステップ4に基づくコア技術の設定
 (1)コア技術設定の2つのタスク
 (2)タスク1:グループ化によるコア技術候補の設定
  -グループ化の視点
  -未来志向の重要性
  -技術の重複についての考え方
  -機械的作業ではない
 (3)タスク2:コア技術候補の評価・選択
  -評価軸:「コア技術の選定軸」
 (4)ステップ5の実施体制

12.コア技術を利用した製品アイデア発想法(参考)
  -技術機能展開法について

13.コア技術の強化法
 (1)発信・取込・活動・共有化モデル:BIRDSモデル
 (2)コア技術の情報発信<発信>
  -富士フイルムの例
 (3)オープンイノベーションの実現<取込>
  -既存コア技術をオープンイノベーションで強化
   ・オリンパス/GEの例
  -新しいコア技術をオープンイノベーションで獲得
   ・独コンチネンタルの例
 (4)積極的なコア技術利用製品・事業の展開<活動>
 (5)組織横断的共有・強化活動<共有化>
  -村田製作所/東レの例

14.最後に

  □質疑応答□

セミナー講師

ベクター・コンサルティング(株) 代表取締役 浪江 一公 氏
 
【略歴】
大手電機メーカー、アーサー・D・リトル(ジャパン)(株)、(株)フュージョンアンドイノベーション等を経て、現在ベクター・コンサルティング(株) 代表取締役社長 経営及び技術マネジメントに関するコンサルティングにおいて20年以上の経験を有す。元日本工業大学大学院技術経営研究科(MOT)教授。北海道大学工学部、米国コーネル大学経営学大学院(MBA)卒 
著書・訳書に「プロフィット・ピラミッド超高収益を実現する14のシンプルな法則」(著書) ダイヤモンド社(韓国語及び中国語でも出版)、「エマソン 妥協なき経営」(訳書)ダイヤモンド社、その他共著・共訳、雑誌への寄稿多数近著(翻訳):「ステージゲート法 製造業のイノベーションマネジメント」(原著「Winning at New Products」ロバート・クーパー著) 英治出版 2013年
【専門】
テクノロジーマネジメント、新規事業戦略、マーケティング

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  • PDFテキスト(印刷可・編集不可)

講師のプロフィール

プロフェッショナリズムと豊富な経験をベースに、革新的な製品やサービスを創出するプロセスの構築のお手伝いをいたします。

浪江 一公

なみえ かずきみ / 東京都 / ベクター・コンサルティング株式会社

ベクター・コンサルティングは、Bridging technologies and markets toward creating innovationsを目指し、クライエント企業様に技術と市場との間の橋渡しによりイノベーションの...続きを読む

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