高級感、上質感を感じるメカニズムと定量化技術
あいまいで不確かな感性・感覚をどのように数値化するか!触感、色彩、脳科学、官能評価…評価項目の設定と解釈のポイント!
セミナープログラム
<10:00~11:30>
【第1部】触感の定量評価 ~触覚受容器 vs 機械学習~
慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 教授 竹村 研治郎氏
【講演趣旨】
我々はものを触っときに「柔らかい」「すべすべする」などの触感を感じます。さらに、こうした感覚を統合した結果として、「高級な」「安心する」といったより心理的な用語が連想され、好きな触感、嫌いな触感を判断すると考えられます。本講演では、官能評価実験によってものに触ったときの触感を定量化し、解析することによって、如何にして触感を定量的に理解すれば良いかを解説します。また、定量化された触感が、物理的な測定値とどのように関係するかも紹介します。触覚受容器の特性を利用した解析方法と機械学習を援用した解析方法を紹介することで、それぞれの特徴を解説します。
【講演項目】
1.触感知覚構造
1.1 階層的な触感知覚構造の整理
1.2 触感因子の抽出
1.3 階層間の定式化
1.4 場の取り扱い
2.触感知覚構造の違い
2.1 触感知覚の地域差(日本、米国、欧州の比較)
3.触覚受容器の特性を利用した触感の推定
3.1 触覚と触感
3.2 触覚受容器の種類と特性
3.3 センサとしての触覚受容器の理解
3.4 物理的なセンサで測定できる根拠
3.5 受容器特性を勘案した特徴量の抽出と触感推定
4.機械学習を利用した触感の推定
4.1 オートエンコーダによる特徴量の抽出と触感推定
4.2 ウェーブレット画像とCNNによる触感推定
5.まとめ
【質疑応答】
<12:15~13:45>
【第2部】色彩と質感の感性評価手法 ~高級感をどのように表現するか~
(株)日本カラーデザイン研究所 シニアマネージャー 稲葉 隆氏
【講演趣旨】
様々なプロダクトデザインやパッケージデザインにおいて、加飾表現の技術開発が進んでいるが、どのように色彩と質感(テクスチャー)を組合せれば製品にとって最適となるかを明確に示した方法は確立していない。そこで、色彩感情研究をベースにしてつくられた感性評価手法を用いた色彩と質感の整理の仕方について解説する。さらに、製品コンセプトを色彩と質感によってどのように表現するか、という問題について、製品コンセプトの1つである高級感を例にとって、その表現パターンを考察する。最後に、事例研究としてコスメパッケージの色彩と質感について、ユーザー(Z世代)が高級感などをどのように評価しているかを検討する。
【講演項目】
1.色彩と質感・素材感表現の感性評価における課題
2.色彩に関する感性評価の方法
2.1.色彩感情をベースとした感性評価
2.2.配色をどのように整理するか
3.質感評価における視覚と触覚の役割
3.1.質感と基本的な触感次元
3.2.視覚と触覚の共通性
4.質感・素材感の感性的評価法
5.様々な高級コンセプトと表現
6.コスメパッケージを例として
6.1. 市場におけるコスメパッケージの見え方
6.2.Z世代によるコスメパッケージの評価
【質疑応答】
<14:00~15:30>
【第3部】知覚の質的優位性の基礎となる脳機能とその計測技術
慶應義塾大学 環境情報学部 准教授 青山 敦氏
【講演趣旨】
近年、人間の脳を非侵襲に計測する技術の発展に伴って、未知の脳機能に迫ることが可能になってきた。本講演の前半においては、脳の基礎知識を説明した上で、高級感・上質感の基礎となる、知覚の質的優位性を生み出す脳機能について、視覚やその他の感覚、マルチモーダルの観点から解説する。後半においては、それらの計測を可能とする最先端の脳計測技術(電磁気計測手法・代謝計測手法)を解説し、比較する。
【講演項目】
1.脳の基礎知識
1.1 脳の概要
1.2 脳の機能と構造
2.知覚の質的優位性を生み出す脳機能
2.1 末梢視覚系の機能
2.2 中枢視覚系の機能
2.3 集団符号化
2.4 予測符号化
2.5 マルチモーダル脳機能
3.脳計測技術
3.1 EEG(脳波)
3.2 MEG(脳磁図)
3.3 fMRI(機能的磁気共鳴画像法)
3.4 NIRS(近赤外分光法)
3.5 脳計測技術の比較
4.結語
【質疑応答】
<15:45~17:15>
【第4部】官能評価による高級感・上質感の“見える化”
金沢工業大学 情報フロンティア学部 心理科学科 教授 神宮 英夫氏
【講演趣旨】
高級感・上質感には、高額商品などの明らかに高級を感じる側面とともに、お客様が"何となく"感じている側面がある。この側面は、必ずしも、言葉では表現しきれないことがあり、このような"何となく"を見える化することができれば、新たなものづくりの手がかりを得ることができる。つまり、高級感・上質感を感じてもらえる商品開発である。言葉による評価として官能評価結果が得られる。この結果の背後に潜んでいる"何となく"について、解析を工夫することで、どこまで見える化し得るのかを、事例を通して解説する。
【講演項目】
1.官能評価と感性評価
1.1 評価の階層性
2.意識の階層性
2.1 意識された言葉による評価
2.2 言葉に隠れた無意識を見える化
(1)グラフィカルモデリング(GM)の説明
(2)構造方程式モデリング(SEM)の説明
2.3 “何となく”の見える化
(1)前意識の見える化
・インタビューデータの分析の工夫
(2)無意識の見える化
・生理脳機能測定の可能性
3.高級感の事例紹介
3.1 化粧品の高級感
(1)時系列変化を織り込む
3.2 プレミアムビールの高級感
(1)外部情報の役割
4.最後に
【質疑応答】
セミナー講師
1.竹村 研治郎 先生 慶應義塾大学 理工学部 機械工学科 教授
2.稲葉 隆 先生 (株)日本カラーデザイン研究所 シニアマネージャー
3.青山 敦 先生 慶應義塾大学 環境情報学部 准教授
4.神宮 英夫 先生 金沢工業大学 情報フロンティア学部 心理科学科 教授
セミナー受講料
1名につき66,000円(消費税込み、資料付)
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき60,500円(税込)〕
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