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電気自動車、燃料電池車、天然ガス自動車の普及の見通し
EVやFCVの最新動向やリチウムやニッケル、コバルト等のLiB原料の価格見通し、水素インフラや天然ガスステーションの普及展望…etc.本セミナーでは、次世代自動車を取り巻く現状を俯瞰しながらその行く末を展望します。
日時
【会場受講】 2023年5月25日(木) 13:00~16:30
【アーカイブ受講】 2023年6月8日(木) から配信予定(視聴期間:配信から10営業日後まで)
セミナー趣旨
電気自動車の生産台数の増加とともに、リチウム・イオン電池に必要不可欠なレア・メタル、レア・アースの価格が、資源エネルギー大国ロシアによるウクライナへの侵攻により高騰している。2022年春には、リチウム価格は前年比6倍、ロシアが主生産国となっているニッケルは過去最高値、その他にも、ネオジム、ジスプロシウム等のレア・アース価格も高騰した。レア・メタルの価格高騰は、電気自動車の中心となっているリチウム・イオン電池の価格上昇につながる。レアメタル価格の高騰とレアメタルに係わる地政学リスクへの対応から、三元系ではない、コバルト、ニッケルを使わないリン酸鉄リチウム・イオン電池の技術革新が生まれ、テスラ等の電気自動車にも搭載されている。三菱マテリアルをはじめとした金属メーカーによるレアメタルのリサイクル研究も始まっている。
2023年に入り、世界的な電気自動車の流れは強まっており、これまでは電気自動車に距離を置いていると思われてきた世界首位の自動車メーカーのトヨタが、2021年12月14日に2030年に電気自動車の世界販売台数を350万台と大幅に引き上げ、投資額も蓄電池を含めて4兆円と、電気自動車に注力することを表明した。さらに、2023年春には社長交代とともに、さらなる電気自動車強化への動きを表明している。2022年1月にはソニーも、電気自動車をエンタテインメントの一つとして、参入することを表明し、日本を代表するソニーとホンダが手を組み、既存の大手自動車メーカー、IT企業、新興企業を巻き込んだ壮大な、「グレート・ゲーム」が始まった。
COP26(第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議)において、世界はカーボン・ニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)に向かうことで一致した。EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)等の開発・生産に、世界の大手自動車メーカーが研究開発競争を繰り広げ、新興企業が事業機会を狙っている。世界最大の電気自動車メーカーであるテスラのEV販売台数は2022年に131万台と前年の93万台から40%増加したものの、伸び率が鈍化し、中国のBYD、米国のGM、フォード等との電気自動車販売競争が熾烈なものとなっている。その他の自動車メーカーのEV販売台数も、大きく増加している。日本を含めた世界において、脱ガソリン車への動きは加速している。英国は2030年、フランスは2040年、米国カリフォルニア州とニューヨーク州は2035年までに、ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を打ち出し、米国バイデン政権も2030年に新車販売の50%を電動化することを表明している。日本も2030年代半ばには、ガソリン車から、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の電動化を目指すこととしており、2022年6月には軽自動車EVの販売も本格化している。自動車販売が好調な中国は、2035年には新車販売の50%について電気自動車をはじめとするNEV(新エネルギー車)として、残りの50%をハイブリッド車とする環境対応を打ち出し、テスラを追い抜くべく、トヨタ、フォルクス・ワーゲン、GM等の大手自動車メーカーが、電気自動車とリチウム・イオン電池の開発競争を強化している。電気自動車は、トラック部門にも拡大し、ダイムラーは、航続距離800キロメートルの大型トラックを2024年に量産化する。
リチウム・イオン電池の技術革新と価格低下により、意欲的な見通しにおいては、2040年の世界の電気自動車市場は、新車販売の50%以上を占める。電気自動車は、スマート・フォンと比較して、1万倍近くのリチウム・イオン電池の容量を必要とし、レアメタルであるリチウム資源、コバルト資源の偏在と、需要の増加に供給が追いつかないうえに、ロシアによるウクライナへの侵攻もあって、正極材に使うリチウム、コバルト、ニッケルというレア・メタルの価格も高騰した。世界は、電気自動車の普及に向けて、レア・メタル、レア・アース争奪戦の様相を見せている。
電気自動車の普及は、ガソリン車に依存した部品メーカーの淘汰を促し、既存の自動車企業、部品メーカーとIT企業の提携を通じて、日本の自動車メーカーの勢力図を変貌させる可能性が強い。米国をはじめとした世界各国が、地球環境に優しい次世代自動車育成の支援策を強化する動きを強めている。リチウム・イオン電池については、正極材、負極材、電解液、セパレーター等の素材において、日本企業が世界最先端の強みを持っていたが、製品、部品そのものは中国、韓国企業に世界市場を席捲されている。予想よりも時間がかかっている全固体電池の開発、リチウム、コバルト、ニッケル資源の開発状況と価格を見通し、高価なレアメタルを使わない蓄電池の開発動向等、2030年に向けて、次世代自動車の未来像を展望し、レア・メタルを含めて、日本企業にとっての事業機会について次世代自動車の第一人者が分かりやすく詳説する。
セミナープログラム
2.ロシアによるウクライナ侵攻とレア・メタル、レア・アース等の価格動向
3.次世代自動車の普及状況とガソリン自動車の競争力と生き残り策
4.欧米における次世代自動車への政策動向と強化支援策-脱ガソリン車
5.日本における次世代自動車への普及政策の今後-軽と商用車の電動化
6.燃料電池車のメリットとデメリット-量産化への制約
7.電気自動車のメリットとデメリット-自動運転、蓄電池の価格と性能
8.電気自動車の今後の普及予測-中国、米国、欧州諸国
9.天然ガス自動車のメリットとデメリット-米国のシェール・ガス革命
10.燃料電池車の普及の可能性と市場規模-燃料電池トラック、バス
11.水素ステーションの普及の可能性と市場規模-水素社会の促進策
12.電気自動車と充電ステーションの普及の可能性と今後の市場規模
13.リチウム・イオン電池に係わる日本企業の強み-中国、韓国との競争
14.リチウム資源の現状と今後の価格動向-リチウム資源の価格高騰
15.コバルト、ニッケル資源の開発と今後の開発動向-ウクライナへの侵攻
16.レア・メタル、レア・アースの価格見通し-イーアクスルの供給
17.天然ガス自動車と天然ガス・ステーションの普及の可能性と市場規模
18.自動運転技術の革新動向とライド・シェアによる次世代自動車の動き
19.コバルト、ニッケルを利用しない蓄電池の開発動向-リン酸鉄リチウム電池
20.次世代自動車への日本企業のとるべき勝ち残り戦略-電動化と価値創造
□ 質疑応答 □
セミナー講師
1981年東京大学法学部卒業
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行
東京銀行本店営業第2部部長代理(エネルギー融資、経済産業省担当)
東京三菱銀行本店産業調査部部長代理(エネルギー調査担当)
出向:石油公団企画調査部:現在は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(資源エネルギー・チーフ・エコノミスト)
出向:日本格付研究所(チーフ・アナリスト:ソブリン、資源エネルギー担当)
2003年から現職
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