
電気自動車をはじめとした次世代自動車の動向とビジネス・チャンス
★ トランプ政権誕生による影響は? 普及に向けた技術、事業機会の動向を詳解!
セミナー趣旨
2025年に入って、欧米諸国における補助金の削減、BYDをはじめとする中国の電気自動車メーカーの台頭への脅威論、地球温暖化はないとするトランプ政権の誕生等により、これまで急成長を遂げていた電気自動車の販売が伸び悩んでいる。現在も高成長を続ける中国を除いて、欧州諸国、米国等においては、テスラをはじめとした電気自動車の販売が減速している。世界は、これまでの脱炭素への電気自動車一辺倒から変貌を遂げている。
電気自動車の伸び率鈍化の理由としては、①環境意識の強い、富裕層への電気自動車の販売が一巡したこと、②電気自動車は、ガソリン車、ハイブリッド車と比較して割高であり、一般のボリューム・ゾーンへの訴求力に欠けること、③ガソリン車と比較した短い航続距離、④蓄電池への充電インフラストラクチャーが整備されていないこと、⑤各国が電気自動車への補助金を削減していること、等が挙げられる。他方、中国は、BYDをはじめとした新興電気自動車メーカーが、政府の支援のもと、余剰生産能力による値下げ競争を強化し、テスラは価格競争についていけなくなっている。中国の自動車輸出台数は、日本を抜いて2年連続で世界第1位となっている。電気自動車の伸び率鈍化を尻目に、割安で使い勝手のよい日本のハイブリッド車の販売は好調で、トヨタの2025年3月期の純利益は4兆5,200億円と好調を維持し、株式時価総額は2倍の60兆円を超えた。
しかし、長期的に見れば、脱炭素の流れのもと、電気自動車の普及は間違いない。2023年における電気自動車の世界販売台数は1,360万台と新車販売市場の10%を超えており、2026年に2,000万台、2035年に5,000万台を超えるという意欲的な予測もある。電気自動車の生産台数の増加とともに、リチウム・イオン電池に必要不可欠なレア・メタル、レア・アースの価格が、資源エネルギー大国ロシアによるウクライナへの侵攻により不安定となっている。2022年春には、リチウム価格は前年比6倍、ロシアが主生産国となっているニッケルは過去最高値、その他にも、ネオジム、ジスプロシウム等のレア・アース価格も高騰した。レア・メタルの価格高騰は、電気自動車の中心となっているリチウム・イオン電池の価格上昇につながる。レアメタル価格の高騰とレアメタルに係わる地政学リスクへの対応から、三元系ではない、コバルト、ニッケルを使わないリン酸鉄リチウム・イオン電池の技術革新が生まれ、テスラ等の電気自動車にも搭載されている。
これまでは電気自動車に距離を置いていると思われてきた世界首位の自動車メーカーのトヨタが、2021年12月14日に2030年に電気自動車の世界販売台数を350万台と大幅に引き上げ、2024年における目標は2026年までに年間150万台、投資額も蓄電池を含めて4兆円と、電気自動車に注力することを表明した。2022年1月にはソニーも、電気自動車をエンタテインメントの一つとして、参入することを表明し、日本を代表するソニーとホンダが手を組み、既存の大手自動車メーカー、IT企業、新興企業を巻き込んだ壮大な、「グレート・ゲーム」が行われている。2024年7月には、電気自動車開発に関して、ホンダと日産自動車、三菱自動車が、共同で電気自動車開発に取り組む。2025年2月には、ホンダと日産自動車の提携は頓挫したものの、自動車企業の統合への動きは続いている。EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)等の開発・生産に、世界の大手自動車メーカーが研究開発競争を繰り広げ、既存の自動車メーカーと新興企業が熾烈な競争を展開している。テスラのEV販売台数は2022年に131万台、2023年に180万台と、伸び率が鈍化し、中国のBYD、スマートフォン世界最大手のシャオミも電気自動車に参入した。日本を含めた世界において、脱ガソリン車への動きは加速している。英国は2030年(2023年夏に2035年に先送り)、フランスは2040年、米国カリフォルニア州とニューヨーク州は2035年までに、ガソリン車、ディーゼル車の販売禁止を打ち出し、米国バイデン政権も2030年に新車販売の50%を電動化することを表明している。日本も2030年代半ばには、ガソリン車から、ハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車等の電動化を目指すこととしており、2022年6月には軽自動車EVの販売も本格化している。自動車販売が好調な中国は、2035年には新車販売の50%について電気自動車をはじめとするNEV(新エネルギー車)として、残りの50%をハイブリッド車とする環境対応を目標としていたものの、2024年1月には、2027年までにNEVを45%とする目標引き上げを行っている。テスラを追い抜くべく、トヨタ、フォルクス・ワーゲン、GM等の大手自動車メーカーが、電気自動車とリチウム・イオン電池の開発競争を強化している。電気自動車は、トラック部門にも拡大し、ダイムラーは、航続距離800キロメートルの大型トラックを2024年に量産化する。
リチウム・イオン電池の技術革新と価格低下により、意欲的な見通しにおいては、2040年の世界の電気自動車市場は、新車販売の50%以上を占める。電気自動車は、スマート・フォンと比較して、1万倍近くのリチウム・イオン電池の容量を必要とし、レアメタルであるリチウム資源、コバルト資源の偏在と、需要の増加に供給が追いつかないうえに、ロシアによるウクライナへの侵攻もあって、正極材に使うリチウム、コバルト、ニッケルというレア・メタルの価格も高騰した。世界は、電気自動車の普及に向けて、レア・メタル、レア・アース争奪戦の様相を見せている。リチウム・イオン電池については、正極材、負極材、電解液、セパレーター等の素材において、日本企業が世界最先端の強みを持っていたが、製品、部品そのものは中国企業、韓国企業に世界市場を席捲されている。中国製の電気自動車による市場席捲への脅威論、国内の自動車産業と労働者の保護から、米国は中国製の電気自動車に対して100%の関税をかけ、EUは中国製の電気自動車への追加関税をかけた。2025年1月に誕生したトランプ政権は、電気自動車優遇策を見直し、化石燃料優遇策を打ち出している。米国においては、ハイブリッド車に強みをもつ日本の自動車メーカーが業績を伸ばしている。予想よりも時間がかかっている全固体電池の開発、リチウム、コバルト、ニッケル資源の開発状況と価格を見通し、高価なレアメタルを使わない蓄電池の開発動向等、2030年に向けての不透明感が増す次世代自動車の未来像を展望し、日本企業にとっての事業機会について次世代自動車の第一人者が分かりやすく詳説する
セミナープログラム
1.トランプ政権の誕生と電気自動車の販売の動き-軽自動車EV、大型トラック
2.中国の新興電気自動車メーカーの躍進とテスラの減速による勢力図の変貌
3.次世代自動車の普及状況と電気自動車の伸び率鈍化の現状と今後の見通し
4.欧米における次世代自動車への政策動向と支援策-中国EVへの関税強化
5.日本における次世代自動車への普及政策の今後-自動車メーカーの提携
6.燃料電池車のメリットとデメリット-量産化への制約
7.電気自動車のメリットとデメリット-自動運転、蓄電池の価格と性能
8.電気自動車の今後の普及予測-中国、米国、欧州諸国の自動車産業保護
9.天然ガス自動車のメリットとデメリット-米国のシェール・ガス革命
10.燃料電池車の普及の可能性と市場規模-燃料電池トラック、バス
11.水素ステーションの普及の可能性と市場規模-水素社会の促進策
12.電気自動車と充電ステーションの普及の可能性と今後の市場規模
13.リチウム・イオン電池に係わる日本企業の強み-中国、韓国との競争
14.リチウム資源の現状と今後の価格動向-リチウム資源の争奪戦
15.コバルト、ニッケル資源の開発と今後の開発動向-ウクライナへの侵攻
16.脱中国依存への新たなサプライ・チェーンの見通し-日本のハイブリッド車
17.天然ガス自動車と天然ガス・ステーションの普及の可能性と市場規模
18.自動運転技術の革新動向とライド・シェアによる次世代自動車の見通し
19.コバルト、ニッケルを利用しない蓄電池の開発動向-リン酸鉄リチウム電池
20.電気自動車の販売伸び率鈍化とトランプ政権への最適事業戦略
【質疑応答】
セミナー講師
和光大学 経済経営学部 教授 岩間 剛一 氏
略歴
1981年東京大学法学部卒業
東京銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行
東京銀行本店営業第2部部長代理(エネルギー融資、経済産業省担当)
東京三菱銀行本店産業調査部部長代理(エネルギー調査担当)
出向:石油公団企画調査部:現在は石油天然ガス・金属鉱物資源機構(資源エネルギー・チーフ・エコノミスト)
出向:日本格付研究所(チーフ・アナリスト:ソブリン、資源エネルギー担当)
2003年から現職
セミナー受講料
1名につき55,000円(消費税込み・資料付き)
〔1社2名以上同時申込の場合1名につき49,500円(税込み)〕
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