書評検索結果

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「技術を活かす経営」西口泰夫著

投稿日 2017/09/21

本書は京セラの社長であった著者が、63歳で会長職を辞した後、同志社大学大学院の博士課程で研究した技術経営に関する博士論文を書籍化したものです。

主に電気機器産業で日本企業が低迷する要因を産業の情報技術化への対応不足と分析し、必要な要素として、オープン・イノベーション、市場ニーズの的確な把握、知識経営、人・組織の有機的活用などを挙げ、それらを統合したコンセプトであるOIBMS(Open Integral Business Management System)を提唱しています。

多くの文献、事例、データ解析を駆使し、論理的でありながら、元事業化にふさわしく学術領域に留まらない現実的な推論が見事です。

強いて言うなら、最も難しいOIBMSの具体的実現方法を是非伝授して欲しかったものです。

「最強のMOT戦略チャート」出川通著

投稿日 2017/09/07

本書は、自らがベンチャー起業家であり、多くのMOT解説書を出版した著者によるMOT(技術経営)ワークブックです。

全ページの分をチャート、グラフ、図表で構成し一目でMOTの構造、要点、ツールが理解できるように工夫されています。やや捉えどころのないMOTが、この構成によってぐっと身近に感じられるでしょう。

もともと産学協働ベンチャーを経験していることもあり、その部分やプロジェクトマネジメントなど、著者のお得意分野が充実している点も特徴です。

とにかくさらっとMOTの概要を概観したい大中規模製造企業の開発部長におススメです。

「MOT"技術経営"入門」延岡健太郎著

投稿日 2017/08/23

本書は、日本のMOT界を牽引する一橋大学イノベーション研究センターの所長である著者による技術経営の入門書です。

これは私が7年前MOT大学院に入学した直後、真っ先に購入した一冊でもあります。

MITで最先端のMOTを吸収してきた著者は、価値創造は得意ながら価値獲得は苦手とする日本の技術者と技術系管理職に対して技術経営の構造と近年の傾向、その対処法までを示します。

出版以来10年が経過して、その主張は工業界に浸透し、新鮮さは減じてきたものの、重要性はむしろ高まっています。

もしあなたの書棚にまだMOT関係書がないのなら、基本事項を網羅した本書はおススメの一冊です。

「品質を獲得する技術」宮川雅己著

投稿日 2017/08/03

設計品質向上に品質工学が「良さそうだ」という認識はあるものの、踏ん切りがつかない管理職は多いように思われます。実践者は盲目的に使っている一方で、非実践者は効用が理解できないという分化があります。本書は応用統計学を専門とする学術家である著者が、実学の観点で品質工学を評価したものです。

品質工学を理解したい、あるいは使えるようになりたいならば他書を参考にすべきですが、それらを読んでも、まだ第一歩を踏み出せない場合にこの書はあなたの組織に有効か否かの示唆を与えてくれるでしょう。それでなくても各章の「まとめ」は、品質工学だけでなく設計品質あるいは品質問題未然防止の大きなヒントになることを約束します。

設計品質問題や品質工学導入の是非に悩む技術部長さんにおススメの一冊です。