書評検索結果
180件中 49~52件目
「イノベーターの条件」P・F・ドラッカー著
投稿日 2017/02/23
本書はドラッカーの過去の著作からテーマに沿ったものを抽出し、加筆・訂正を加えて、新たに編纂したものです。
ドラッカーはマネジメントやビジネスの研究者として著名ですが、本人は社会生態学者を自称していました。本書では昨今論じられるSociety5.0に通じる「ニューソサエティ」について、歴史分析に基づいた解説を試みています。
比較的論理的に動く経済に対し、社会生態は必ずしもそうでなく、捉えどころがないようにも感じますが、経済が社会の上に構築されているとするならば、社会形態論を尊重し、本書で学ぶ意義があるでしょう。
例えばドラッカーが繰り返して紹介する、第一次産業から二次、三次産業へ従事者が移動するというペティ・クラークの法則や、肉体労働から知識労働への価値の増加、そして高齢者人口が増えることによる意識変化などは、確実に製造業へも影響を与え、真摯な対応を迫ります。
先進国における豊かさをさらに増加するためには、社会人になってからも学習を継続し、その知識を生産性向上に活用せよとドラッカーは提言します。
表面的な効果だけを狙うノウハウ本に飽き足らず、事物の根源から行動しようとするイノベーターにおススメです。
「オープンサービスイノベーション」H.チェスブロウ著
投稿日 2017/02/08
本書は、オープンイノベーションの父として知られる著者が、
製品ではなくサービス分野でのオープンビジネスを解説したものです。
もともとサービス業は製造業と異なり
事業の付加価値生産過程がほぼ丸見えであるため
また規模の効果が活かしやすいために
他社との協業関係が気づきやすい側面があります。
本書ではフェデックスやらアマゾンやら豊富な事例が示されますが
もはやオープンであることに驚きはなく、
ビジネスモデルをどう組み立てるかの自在な工夫と実行こそが
頭痛の種であると気づかされ、
製造業もその流れの中に飲み込まれつつある印象を受けます。
自由奔放なサービス業を参考にしたい戦略策定担当者におススメです。
「ものづくり道」西堀榮三郎著
投稿日 2017/01/25
本書は、日本品質管理の元祖と言われる著者が、80歳を過ぎてそれまでに思考し、行動したことを集大成した書籍です。
日本初の南極越冬隊長であり、チョモランマ登山総隊長であり、原子力研究所理事であり、東芝の革新的真空管開発者というととんでもないスーパーマンをイメージしますが、実体は人間味あふれる真のリーダーであったことが分かります。
革新的な発想法から部下やチームの動かし方まで、すべての技術者に参考になる考え方であふれています。
特に「技術の目的は人類の福祉」という主張は私の持論とも重なり、技術者が肝に銘ずべきです。
政治家や法律家、経済人は、豊かさの分配で人類に貢献しますが、豊かさの総量を増やすことができるのは技術者なのです。
ものづくりの王道を極めたい技術者におススメの一冊です。
「科学技術計算のためのPython ~ 確率・統計・機械学習~」José Unpingco(原著)、石井一夫(翻訳)、加藤公一(翻訳)、小川史恵(翻訳)
投稿日 2017/01/16