書評検索結果
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「ものづくりに役立つ経営工学の事典」日本経営工学会編
投稿日 2016/12/20
本書は、1911年にF.テイラーが「科学的管理法」を提唱してから100年という節目で、経営工学を見直し整理しようという目的で日本経営工学会が企画して出版しました。
この学会がカバーする広いエリアを大きく10分類した後、さらに180の項目に細分し、それらをすべて見開き2ページで「解説」「歴史と課題」「活用と展開」「参考文献」という統一された形式で記述しているため、業務にあたって疑問が生じた時に、ざざっと大くくりで調べることができ、さらに詳しく知りたければ、示された参考文献を取り寄せることができます。
ものづくりドットコムのコンセプトとも通じるところがあり、経営工学を身近に感じてもらえるのではないでしょうか。
ちなみに「製品計画」と「製品設計」の項目は、熊坂が執筆を担当しています。
あらゆる製造業の図書室に常備する一冊としておススメです。
「あたらしい人工知能の教科書 プロダクト/サービス開発に必要な基礎知識 」 多田 智史著, 石井 一夫監修
投稿日 2016/12/19
本書は、若手エンジニア向けに書かれた人工知能の教科書です。人工知能に関連することは進歩が早く、新しいキーワードが次々と出てきます。その範囲は広範に渡っており、全体を把握することは容易でありません。
本書はこれら人工知能に関連するプロダクトやサービスの開発に携わるエンジニア(プログラマ、データベースエンジニア、組込みエンジニアなど)が、最初にこの分野を敷衍するために必要な知識を集約しました。このため、顧客対応に必要な人工知能の基本的な知識を網羅しています。
IT勉強会で話題となっている新しい話題も取り込んでおり、今人工知能の分野で何が話題になっており、それらがどのようなものであるのかを、ざっくりと掴むには最適な書籍と言えます。
「機能性評価による機械設計」上野憲造著
投稿日 2016/12/07
本書の著者は、日産で有名な櫻井眞一郎さんの元でスカイラインの設計に従事していた時期があり、体系的な技術設計論で定評があります。
本書は20年前の出版でありながら、品質工学を分かりやすく解説しています。むしろその時代だからこそ、今のように各論に走らずオーソドックスに書くことができたのかもしれません。
前半の解説編は主に自動車を構成する機構を例に、数式の少ない上野さん流の話し言葉で書かれ、後半は自動車に限定しない他社事例を9件取り上げています。
いずれも機構設計に絞って、安定性向上、ばらつき削減を狙う実験であり、機械技術者には大いに参考となるでしょう
「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの イノベーションと企業家精神を読んだら」岩崎夏海著
投稿日 2016/11/23
本書は、言わずと知れた「もしドラ」の続編で、「もしイノ」と略して呼ばれるようです。
正直先日の交流会で著者の講演を聞かなければ、読み損ねていたかもしれないのですが、当社の英語名称が「Industrial Innovation Institute Inc.」である以上、このイノベーション関連書(?)を読む必然性があります。ちなみに講演会の内容は、日本国民全体の意識イノベーションを求める至極まっとうな内容でした。
前作に比べてドラッカー書からの引用が多く、解説風の記述も多いように思われました。一方野球部を題材にしているにも関わらず、小説全体の3分の2くらいまで行かないと野球をする部員は現れないという変わった構成です。
そして後半の野球試合は前作同様に荒唐無稽というべきですが、前半の一般常識をことごとくひっくり返す一連の活動は、さすが秋元康氏と共にAKB48を企画した著者だけあって予定調和を裏切り続けます。
ここまでやって初めてイノベーションであると気づかせてくれるところが本書の価値だと思いました。
革新的な新製品、あるいは業務の革新を命じられて手の付け所に困っているあなたに絶賛おススメの一冊です。