書評検索結果
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「ザ・ゴール」E.ゴールドラット著
投稿日 2011/10/17
米国で1984年に発表された本書は、参考にした生産者が大きく生産性を改善
する例が相次いだことから、大きく販売部数を伸ばしましたが、作者は当時
強い競争力を誇っていた日本にだけは翻訳権を出さず、邦訳は2001年まで待
つ事になりました。世界中でこれまで1000万部以上が購入され、日本でも今
年「もしドラ」に抜かれるまでは、ビジネス書でのセールス記録を持ってい
たほどです。
ビジネス書に分類されるものの、完全に小説形態でかかれており、主人公ア
レックスと気持ちが一体化したまま一気に読み切れます。
TOCの論理以上に小説としての完成度の高さが「もしドラ」と共通する
ポイントで、製造業関係者であれば必読の一冊と断言します。
「失敗学と創造学」濱口哲也著
投稿日 2011/10/04
失敗学の元祖であり、福島第一原発の事故調査特別委員会トップに就任し
た畑村洋太郎教授のまな弟子である東京大学濱口教授の初単著です。
本書では失敗事例から原因の上位概念を探索し、類似の失敗を広く未然防
止する失敗学を解説した後、全く新しい機能を実現する創造学についても
同様の構造を使って可能になると主張します。すなわち、思考展開図とい
う形式により現在の要求機能を下位概念に展開してゆき、それでも新規性、
優位性がなければさらに下位に分解したり、並列の機能に移動したりして
競争優位のポジションを探索するというわけです。筆者は弁証法にも似る
この考えを「土俵ずらし」と呼び、大発明のためにはQFD/TRIZ以上
に有効であると訴えます。
「おはなし新商品開発」
投稿日 2011/09/17
日本規格協会の「おはなし」シリーズは、専門外分野の人が容易にその知
識を習得できるようにというコンセプトで、35年にわたり100点以上が出版
されてきました。本書は2007年発行ですから、かなり新しい方です。
普通の「入門書」風が多いシリーズ中で、本書は文字通りの「おはなし」
=小説仕立てになっており、中小企業の悩める2代目がコンサルティング
やセミナーを通じて、TOC思考プロセス、SWOT、QFD、FMEA、FTA、DR、コン
カレントエンジニアリングといった開発ツールとプロセスを学んでいくス
トーリーの中で、主人公と一緒に理解を進めます。
筆頭著者である東工大の圓川教授はTOCの大家でもあることから、ゴールド
ラットの「ザ・ゴール」シリーズスタイルを踏襲したのかもしれません。
「ものづくりの教科書 革新のための7つの手法」
投稿日 2011/09/05
「日経ものづくり」の'04年4月号から'06年7月号にかけて「なるほどtheメ
ソッド」シリーズとして掲載された中から、7つの手法を加筆修正して発行
された書籍です。
数多の中から私が選んでも、これらになると思う有効な手法ばかりですし、
各分野の第一人者が執筆しているため、概要を知るのに適しています。
この本をきっかけとしてさらに学習し、実践で成果をあげてほしいものです。
既に絶版で、昨年10月に4つの手法を加えて価格15000円の「商品企画・開発
・生産現場の組織力を高める実践ものづくりイノベーション」と衣替えしま
したので、書店で見つかればお買い得です。