「IEの拡がりと進化」(経営システム1月号)を読んで

更新日

投稿日

 経営工学会の機関紙である「経営システム」の2013年1月号は「これからのIE的課題」を特集しています。その中で日本IE協会二ノ宮滋さんの記事「IEの拡がりと進化」は、広くものづくり産業全体に関連する内容でしたので、要約して紹介します。

 二ノ宮さんが日立製作所に入社した70年代の日本は、作れば売れる大量生産の時代で、Taylor以来の古典的IE(Industrial Engineering)が大活躍した時代でした。その後多品種少量生産に移行しても、FA/JIT/TPM/FMSなどを取り込みながらIEの有効性は衰えませんでした。 しかし90年代に入るとバブル崩壊と共に生産が停滞するだけでなく、変種変量生産となり多種多様な課題解決は古典的IEだけで解決する事ができなくなり、SCMの観点を導入した全体最適化で戦略的なものづくりが必要とされ、さらに2000年を過ぎてそれらがグローバルに展開されるようになりました。

 日本のものづくりは、チームワーク、勤勉性、高度な教育、生産技術力の蓄積などの強みがある一方で、バリューチェーン全体を通じた革新的な企画・設計力や海外市場ニーズへの対応力が弱く、部分最適になりやすい傾向があります。 生産の最適化に限定された古典的IEから、バリューチェーン全体の価値を最大限に引き出す新IEに進化して、それを担う人材も育成していく必要があります。

 

 以上が要約で、以下筆者の感想です。

 道具は時代の要請に応じて進化していか...

 経営工学会の機関紙である「経営システム」の2013年1月号は「これからのIE的課題」を特集しています。その中で日本IE協会二ノ宮滋さんの記事「IEの拡がりと進化」は、広くものづくり産業全体に関連する内容でしたので、要約して紹介します。

 二ノ宮さんが日立製作所に入社した70年代の日本は、作れば売れる大量生産の時代で、Taylor以来の古典的IE(Industrial Engineering)が大活躍した時代でした。その後多品種少量生産に移行しても、FA/JIT/TPM/FMSなどを取り込みながらIEの有効性は衰えませんでした。 しかし90年代に入るとバブル崩壊と共に生産が停滞するだけでなく、変種変量生産となり多種多様な課題解決は古典的IEだけで解決する事ができなくなり、SCMの観点を導入した全体最適化で戦略的なものづくりが必要とされ、さらに2000年を過ぎてそれらがグローバルに展開されるようになりました。

 日本のものづくりは、チームワーク、勤勉性、高度な教育、生産技術力の蓄積などの強みがある一方で、バリューチェーン全体を通じた革新的な企画・設計力や海外市場ニーズへの対応力が弱く、部分最適になりやすい傾向があります。 生産の最適化に限定された古典的IEから、バリューチェーン全体の価値を最大限に引き出す新IEに進化して、それを担う人材も育成していく必要があります。

 

 以上が要約で、以下筆者の感想です。

 道具は時代の要請に応じて進化していかねばなりませんが、どうしても過去の成功体験に囚われて躊躇しがちです。改善は従来の仕組みを見直すところからスタートしますが、革新は理想像を描くところから始まり、過去のしがらみから解き放たれたところで創出されます。 Taylorから100年を経て、新たなIEの姿に期待したいものです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

熊坂 治

ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。

ものづくり革新のナレッジを広く共有、活用する場を提供することで、製造業の課題を解決し、生産性を向上します。


「IE」の他のキーワード解説記事

もっと見る
改善・改革の実践的な方法【厳選記事紹介】おすすめセミナーもご紹介

  ◆改善・改革の実践的な方法 多くの方々が、どんな道具を使ったら効果的に問題を解決できるのか思案しておられるかと思います。 &nbs...

  ◆改善・改革の実践的な方法 多くの方々が、どんな道具を使ったら効果的に問題を解決できるのか思案しておられるかと思います。 &nbs...


IE活用で生産現場を改善する最先端手法をインタビュー

【PR】 作業分析ソフト「OTRS」で現場の課題を見える化  製造業で「生産性を向上させる」ことは、企業の存続という点から非常に重要であり「生産・...

【PR】 作業分析ソフト「OTRS」で現場の課題を見える化  製造業で「生産性を向上させる」ことは、企業の存続という点から非常に重要であり「生産・...


IPI(Integrated Process Innovation)とは、改善・改革の実践的な方法を知る

   「モノづくり革新は“頭と道具の使いよう”」をモットーに活動している鈴木甫です。多くの方々が、どんな道具を使ったら...

   「モノづくり革新は“頭と道具の使いよう”」をモットーに活動している鈴木甫です。多くの方々が、どんな道具を使ったら...


「IE」の活用事例

もっと見る
動作分析でムダを“見える化”~作業改善でコスト削減と売上アップ

  日本の製造業におけるものづくりの生産性や品質などを支えている「カイゼン」は、海外でも「Kaizen」として広く知られ、多くの企業に取り入れ...

  日本の製造業におけるものづくりの生産性や品質などを支えている「カイゼン」は、海外でも「Kaizen」として広く知られ、多くの企業に取り入れ...


現場ムダ取りのはじめ方(書き起こし記事)

概要:従来から生産性を向上させる手法として用いられているインダストリアル・エンジニアリング(IE)。このセミナーではIEを知らない方でもIEに準拠した...

概要:従来から生産性を向上させる手法として用いられているインダストリアル・エンジニアリング(IE)。このセミナーではIEを知らない方でもIEに準拠した...


IEとOTRS

進化を続けるIEと活用をサポートするOTRS 1.IEの定義 IE(industrial engineering:産業工学)は多くの産業現場で生産...

進化を続けるIEと活用をサポートするOTRS 1.IEの定義 IE(industrial engineering:産業工学)は多くの産業現場で生産...