間接部門の生産性については、製造業では、あまり議論されませんが、実はモノづくり工場の生産性は、間接部門が握っていると言っても過言ではないでしょう。
1. 日本の労働生産性
日本生産性本部によれば、日本人の1人あたり労働生産性は、経済協力開発機構の加盟国34か国中、20位前後で、ここ20年以上、先進7か国では最低レベルの状況が続いてます。日本人の生産性が、2位のアメリカの3分の2に過ぎないと聞くと、「なぜ」と感じる人も多いと思います。いくら生産現場の業務の効率化が進んでも、営業部門や工場の購買部門、生産管理部門などの人に聞くと、毎日残業しても仕事が終わらないどころか溜まっていくばかり、と嘆く声も聞かれます。
2. 間接部門の仕事の特徴
日本では、1人1人が長時間、沢山の仕事をこなして評価される文化が、まだ根強く残っています。また、社員数が増えない最近の職場は、忙しくて後輩をじっくり育てる余裕も無いため、先輩たちは「自分でやった方が早い」となってしまい、若手のスキルは伸び悩んでいます。「スキルがない若手には任せられない」と、中堅層はさらに仕事を抱え込み、学びのチャンスがない若手は、効率的な仕事の方法が分からず、結局みんなでダラダラ残業をする。そんな悪循環が、職場の「生産性」を低下させているのです。
一部の社員だけが仕事を抱え込むのは、これ以外にも原因があります。組織、チームとして仕事を分担する、「組織の力で仕事をする」という意識が薄いためです。他人に初めての仕事を委ねるのは、時間もかかるし、面倒なことです。それでもチーム内に「自分と同じ仕事ができる人」を増やすことは、長期的にみれば全体の経験値を上げることにつながり、さらに、「自分でやった方が」と仕事を抱え込んでいては、今後も同じような仕事を全部自分でやらなければならず、組織としての能力を十分に発揮できない事になり、生産性も向上しません。
3. 間接部門の業務改善
本来、「その人にしかできない仕事」というのは、そこまで多くないはずであって、それを、この人がいないと仕事が回らないと言うのは、組織マネジメントの怠慢というしかありません。では、間接部門の業務をどのように改善し、効率化を図って行けばいいでしょうか。
業務効率化の手順を整理すると次7点となります。
(1)業務の棚卸
(2)業務の明確化「見える化」
(3)業務改善チームの結成
(4)改善計画立案(達成すべき指標設定)
(5)業務フロー、マニュアルの作成
(6)運用と課題抽出
(7)フィードバックと更なる改善
業務の棚卸とは、間接部門業務に対して、業務を全て書き出しその構成を整理して一つひとつの業務に対して業務目的は何か、何時間かかるか、毎日、毎月、毎年何回発生するか、スキルが必要かどうか、標準化が進んでいるかなどを調査することです。このように現状の「業務を見える化」した後、業務フローを作成し、時間分析な...