-3 QCによる「新型コロナ危機への対応・・第2波入口戦略」(その3)

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<QCの基本に立ち返って考える>

  一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減、経済復興

 以下、QCの基本に立ち返って、なぜ「全員検査大作戦」が重要なのかについて考察します。

QCの基本は以下に示す12項目(12ヶ条)です。

① 先入感に捉われず、事象を虚心坦懐に観察して事実を知る
② 分けて考える(層別)
③ 工程(プロセス)で考える
④ 見える化
⑤ 目的を正しく認識し適切な目標を設定する
⑥ 源流検査(不良が発生する前に異常を検知し行動する)とポカヨケ
⑦ PDCAを回す(新型コロナの怖さを知り検査・隔離をプラスに感じるインセンティブ)
⑧ 受け入れで不良を入れない
⑨ 4つのM*ベストな状態にする. *原材料・機械設備・人(作業者)・方法(製造・検査)
⑩ バラツキを減らす
⑪(社会的)損失を減らす
⑫ 自由度を増す

 以下、前回の(その3)-2に続けて項目⑥から考察します。

⑥ 源流検査(不良が発生する前に異常を検知して行動する)とポカヨケ

 新郷重夫氏が開発した“ものづくり”における究極の“不良ゼロ”方式です。不良が発生する前には工程に何らかの異常(温度とか振動とか)が発生するので、その異常を検知して不良が発生する前に手を打ち、不良発生を未然に防ぐのです。“炭鉱のカナリア”はこの応用。炭鉱夫はカナリアを連れて坑内に入る。有毒ガスが発生した場合、人間より先にカナリアが察知して鳴き声が止むことから災害を未然に防げるのです。

 また、有毒物質が工場排水に混ざって排出される問題は、排水を引いた池に鯉を飼って異常を検知すれば未然に防止出来る(これが出来ていれば水俣病は防げた)のです。新型コロナウィルスについていえば“発症”が不良に当ります。感染すると無症状でもウィルスが居るという“異常”が発生するので、全ての住民・滞在者を対象に*検体を取ってPCR検査などで“異常”を検知し、陽性者を隔離することで感染拡大は未然に防げます。これで一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興が実現します。

 *また、クラスターが発生したホストクラブ(店舗)での“集団検査”を一歩進め、その地区全店舗の従業員とその寮なども含めた全ての関係者を対象にした「全員検査」を行うことで、その地区が<安心>して行ける地区となります。感染者が1%もいない所で全員検査など無駄だという声もありますが、全員検査で全ての陽性者を隔離してこそ<安心>な街づくりになるのです。

 「源流検査」は全数検査することに意味があります。抗体検査やK値(週単位感染者/累積感染者)は抜取検査として感染多発地区を見付けるのに役立ちますが、その後は、感染多発地区で「全員(全数)検査」し、最終的に首都圏全域を<安心>な街にすることです。特に、夏場はコロナ感染症と症状が似ている“熱中症”の患者が増えることが予想される上、秋冬にはインフルエンザとのダブルパンチも予想される中、東京はこの5日間感染者が100人超になってはいますが、まだ何とかなる今のうちに「全員検査大作戦」を実行することで、感染者を早期に発見して隔離(ホテル等で休養)する…。このメッセージを何としてでも行政の首長に伝えて、理解し「決断」し実行してもらうことが急務です。

⑦ PDCAを回す

 PDCAは回し方によりプラスにもマイナスにも作用します。実行した結果を褒めてプラスのスパイラルを回すことが成功のカギです。ただ、新型コロナウィルスについては、感染者を白い目で見る傾向があり、感染していたら嫌われる(仕事がなくなって生活に困る)と検査を避けたりする傾向があります。これを、全員が検査を受け、陽性者は必ず(自宅ではなく)ホテル等で(隔離ではなく)休暇を取って休養し、休暇・休業に対しては必要な補償をすることで、検査を受けることが<安心>な街づくりに貢献しているという実感を持ってもらえるようにすることが重要です。

 今の感染者の表示は集団検査の感染者数・陽性者数を通常の検査と分けていないため、集団検査したから陽性者率が上がったと言い訳しています。これでは「心をひとつに」出来るわけがないのです。「全員検査」は検査数と結果を通常の検査とは分けて表示して、皆に全体像が分るようにします。これが“マスクと三蜜回避”に代わる真の「新しい生活様式」ではないでしょうか。「全員検査」で「心をひとつに」し、感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興を実現するようにPDCAを回して、<安心>と自由のある社会に致しましょう。

⑧ 受入検査で不良を入れない

 ものづくりの世界では、グローバル化が進んで海外から部品などを購入することが多くなり、受入検査の重要性が増しています。納入業者が品質向上に積極的に取り組むメリットを感じるような受入検査の工夫が必要です。台湾では、武漢の情報が入るや否やSARSの経験から学んだ臨戦態勢で厳しい入境管理を行い感染者の入境を防ぎました。日本ではオリンピックや習主席訪日などがブレーキになったのではないでしょうか。第2波の防止には何といっても水際作戦が重要ですが現時点で対応は十分できているでしょうか。

⑨ ベストコンディション(4つのM*をベストな状態にする)

*原材料・機械設備・人(作業者)・方法(製造・検査)

 ものづくりの現場では、原材料Material・機械設備Machine・人(作業者)Man・方法(製造・検査)Methodをベストな状態にすることで不良が出ないようにします。感染症では、感染拡大防止と医療と分けて考える必要があります。医療は医療の専門家に任せるとして、感染拡大防止はまず「無症状も含めた感染者を早期に感度良く発見する」検査方法の確立が望まれます。いま多くの検査方法が開発されてきているので、数多くの試験を通して「早期に感度良く見付ける」ベストな方法が確立されることを願っています。

⑩ バラツキを減らす

 ものづくりでは、バラツキを減らすことが不良を減らし精度を上げ、顧客の信頼を勝ち取ることになります。田口メッソドでバラツキの少ない設計をし、ベストコンディションで操業でのバラツキを減らすのです。感染症では検査の信頼度が重要で、PCR検査は検査技師の熟練度によってバラツキが出るのを、日本の企業がバラツキの少ない全自動検査装置を開発して世界に貢献している。検査分野でのバラツキの少ない信頼度の高い技術を開発することが真の「日本モデル」になります。

⑪(社会的)損失を減らす

 品質工学(タグチメッソド)の根底にある...

<QCの基本に立ち返って考える>

  一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減、経済復興

 以下、QCの基本に立ち返って、なぜ「全員検査大作戦」が重要なのかについて考察します。

QCの基本は以下に示す12項目(12ヶ条)です。

① 先入感に捉われず、事象を虚心坦懐に観察して事実を知る
② 分けて考える(層別)
③ 工程(プロセス)で考える
④ 見える化
⑤ 目的を正しく認識し適切な目標を設定する
⑥ 源流検査(不良が発生する前に異常を検知し行動する)とポカヨケ
⑦ PDCAを回す(新型コロナの怖さを知り検査・隔離をプラスに感じるインセンティブ)
⑧ 受け入れで不良を入れない
⑨ 4つのM*ベストな状態にする. *原材料・機械設備・人(作業者)・方法(製造・検査)
⑩ バラツキを減らす
⑪(社会的)損失を減らす
⑫ 自由度を増す

 以下、前回の(その3)-2に続けて項目⑥から考察します。

⑥ 源流検査(不良が発生する前に異常を検知して行動する)とポカヨケ

 新郷重夫氏が開発した“ものづくり”における究極の“不良ゼロ”方式です。不良が発生する前には工程に何らかの異常(温度とか振動とか)が発生するので、その異常を検知して不良が発生する前に手を打ち、不良発生を未然に防ぐのです。“炭鉱のカナリア”はこの応用。炭鉱夫はカナリアを連れて坑内に入る。有毒ガスが発生した場合、人間より先にカナリアが察知して鳴き声が止むことから災害を未然に防げるのです。

 また、有毒物質が工場排水に混ざって排出される問題は、排水を引いた池に鯉を飼って異常を検知すれば未然に防止出来る(これが出来ていれば水俣病は防げた)のです。新型コロナウィルスについていえば“発症”が不良に当ります。感染すると無症状でもウィルスが居るという“異常”が発生するので、全ての住民・滞在者を対象に*検体を取ってPCR検査などで“異常”を検知し、陽性者を隔離することで感染拡大は未然に防げます。これで一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興が実現します。

 *また、クラスターが発生したホストクラブ(店舗)での“集団検査”を一歩進め、その地区全店舗の従業員とその寮なども含めた全ての関係者を対象にした「全員検査」を行うことで、その地区が<安心>して行ける地区となります。感染者が1%もいない所で全員検査など無駄だという声もありますが、全員検査で全ての陽性者を隔離してこそ<安心>な街づくりになるのです。

 「源流検査」は全数検査することに意味があります。抗体検査やK値(週単位感染者/累積感染者)は抜取検査として感染多発地区を見付けるのに役立ちますが、その後は、感染多発地区で「全員(全数)検査」し、最終的に首都圏全域を<安心>な街にすることです。特に、夏場はコロナ感染症と症状が似ている“熱中症”の患者が増えることが予想される上、秋冬にはインフルエンザとのダブルパンチも予想される中、東京はこの5日間感染者が100人超になってはいますが、まだ何とかなる今のうちに「全員検査大作戦」を実行することで、感染者を早期に発見して隔離(ホテル等で休養)する…。このメッセージを何としてでも行政の首長に伝えて、理解し「決断」し実行してもらうことが急務です。

⑦ PDCAを回す

 PDCAは回し方によりプラスにもマイナスにも作用します。実行した結果を褒めてプラスのスパイラルを回すことが成功のカギです。ただ、新型コロナウィルスについては、感染者を白い目で見る傾向があり、感染していたら嫌われる(仕事がなくなって生活に困る)と検査を避けたりする傾向があります。これを、全員が検査を受け、陽性者は必ず(自宅ではなく)ホテル等で(隔離ではなく)休暇を取って休養し、休暇・休業に対しては必要な補償をすることで、検査を受けることが<安心>な街づくりに貢献しているという実感を持ってもらえるようにすることが重要です。

 今の感染者の表示は集団検査の感染者数・陽性者数を通常の検査と分けていないため、集団検査したから陽性者率が上がったと言い訳しています。これでは「心をひとつに」出来るわけがないのです。「全員検査」は検査数と結果を通常の検査とは分けて表示して、皆に全体像が分るようにします。これが“マスクと三蜜回避”に代わる真の「新しい生活様式」ではないでしょうか。「全員検査」で「心をひとつに」し、感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興を実現するようにPDCAを回して、<安心>と自由のある社会に致しましょう。

⑧ 受入検査で不良を入れない

 ものづくりの世界では、グローバル化が進んで海外から部品などを購入することが多くなり、受入検査の重要性が増しています。納入業者が品質向上に積極的に取り組むメリットを感じるような受入検査の工夫が必要です。台湾では、武漢の情報が入るや否やSARSの経験から学んだ臨戦態勢で厳しい入境管理を行い感染者の入境を防ぎました。日本ではオリンピックや習主席訪日などがブレーキになったのではないでしょうか。第2波の防止には何といっても水際作戦が重要ですが現時点で対応は十分できているでしょうか。

⑨ ベストコンディション(4つのM*をベストな状態にする)

*原材料・機械設備・人(作業者)・方法(製造・検査)

 ものづくりの現場では、原材料Material・機械設備Machine・人(作業者)Man・方法(製造・検査)Methodをベストな状態にすることで不良が出ないようにします。感染症では、感染拡大防止と医療と分けて考える必要があります。医療は医療の専門家に任せるとして、感染拡大防止はまず「無症状も含めた感染者を早期に感度良く発見する」検査方法の確立が望まれます。いま多くの検査方法が開発されてきているので、数多くの試験を通して「早期に感度良く見付ける」ベストな方法が確立されることを願っています。

⑩ バラツキを減らす

 ものづくりでは、バラツキを減らすことが不良を減らし精度を上げ、顧客の信頼を勝ち取ることになります。田口メッソドでバラツキの少ない設計をし、ベストコンディションで操業でのバラツキを減らすのです。感染症では検査の信頼度が重要で、PCR検査は検査技師の熟練度によってバラツキが出るのを、日本の企業がバラツキの少ない全自動検査装置を開発して世界に貢献している。検査分野でのバラツキの少ない信頼度の高い技術を開発することが真の「日本モデル」になります。

⑪(社会的)損失を減らす

 品質工学(タグチメッソド)の根底にある重要な評価法で、製造した商品が社会に及ぼす損失を最小にするためのものです。今次の新型コロナウィルス感染症でいえば、感染拡大に伴って緊急事態宣言を出さざるを得なくなり、大きな経済損失を余儀なくされました。政府の特別支出だけでも1人10万円の給付金や企業への補償金など、社会的なに大きな損失で、これに<不安>から来る社会・経済活動の停滞による損失は計り知れないものがあります。このような社会的損失と「全員検査」体制を作るのに必要な費用(投資)とを比較して考えることが重要です。台湾のように感染拡大防止を戦略的に進めた国と日本の戦略ナシの現場努力で進めた国とヨーロッパで一番しっかりしているドイツと比較してみることが、単に日本の“接触8割削減”だけを検証するよりも大事だと考えます。

⑫ 自由度を増す

 タグチメッソドの究極の目的は生産性の向上による自由度の向上です。品質評価法→バラツキ・損失を設計段階で無くす→生産性向上→人も含めた資源消費を減す→余剰(自由)になった資源を別の価値創造に役立てる(自由度の向上)。新型コロナでは、「全員検査」により(少数の)感染者を早期に検知し隔離することでより多くの人が<安心>して、これまで通り自由に社会・経済活動を楽しむことが出来ます。

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この記事の著者

鈴木 甫

「生き残る」のは “強いもの” でも “賢いもの”でもなく「変化に対応できるもの」!「ポストコロナ『DX』の激変する環境に対応する企業支援」に真剣に取り組んでいます!            E-mail: h.suzuki@dr-practice.com

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