<QCの基本に立ち返って戦略を考える>
一石三鳥;感染拡大防止と医療従事者の負荷軽減と経済復興
1.着眼大局
富士フィルムの古森重隆会長は著書「魂の経営」の中で、有事に際して経営者がやるべき4つのこととして、1.読む(正確に現状を把握する)・・QCの基本項目でいえば ①先入観に捉われず事象を虚心坦懐に観察して事実を知る、2.構想する(どこに向かうか、何をすべきか)・・QCでいえば ⑤目的を正しく認識し適切な目標を設定する、ここまでが「着眼大局(戦略)」です。
この事例の(その1)を書いた5/22東京の新規感染者は10人程度と下ってきていましたが、第2波に備えた議論が始まっていました。中国・武漢では第2波が起り「社会の不安を除く」目的で5/14ー6/1にかけ、全住民990万人にPCR検査を実施、北京では6/11ー7/3で1000万人に対してPCR検査を実施しました。その後は新規感染者はゼロと報道され(信憑性に?があるものの)、欧米が四苦八苦している中で中国がコロナウィルス抑え込みに成功したと世界にアピールしたことは戦略的な成功といえましょう。
また、ドイツ・バイエルン州では第2波を防ぐため「1000万人すべての住民に無料でPCR検査実施の方針」との報道がされています(7/7)。日本ではコロナウィルスの型の分析が進み、最初が武漢型、次が欧州型で、その後変異し今は東京型の感染が拡大してきて新宿がエピセンター(感染源)になってきている(児玉龍彦・東大先端科学技術研究センター名誉教授)といわれています。
このように目まぐるしく変わる世界の状況(情報)、日本の状況を読んで、日本が向かうべき道を構想したのが、この事例(その2)の「隠れた感染者を早期に見付けて隔離しコロナが街中に居ない<安心>街づくり」を目的とした「全員検査大作戦」です。
2.着手小局
古森会長の次の二つは、3.伝える(経営者の危機に立ち向かう強い意志を組織の隅々まで伝える)・・QCでいえば “⑦PDCAを(正しく)回す”のPで、実施「D」する前の実施計画と十分な意思疎通です。実施計画には(感染者を隔離できなければ目的が達成されないので)陽性者を隔離するホテル確保が欠かせません。都の患者は、自宅待機363人、入院・療養を調整中501人(7/21)で、ホテルの確保が急務です。新型コロナ危機に関して筆者は市井(しせい)の市民の立場で(その2)に書いたように「全員検査大作戦」を伝える書面を然るべき自治体の長に送りました。組織の中であれば、強い意志と真心であらゆる手段を使って全ての関係者と意思疎通を図ることです。
最後は、4.実行する(先頭に立ち断固としてやり抜く)・・QCでいえば ⑦PDCAを(正しく)回す、の「D」ですが、初めてのことなので、、まず限られた範囲で試行して成功するやり方を確かめてから次に進むことが成功のカギです。これが「戦略を実行するための着手小局(作戦)」です。以下に、筆者が関係者に送った書面を紹介します。組織の中であれば、強い意志と真心をもって陣頭指揮を執って進めることです。
<7/13 の書面の要旨>
(略)
「歌舞伎町_全員検査で安心街づくり作戦」
要点1:実施計画を立て順に
新宿区役所・大久保病院(隗より始めよ)、ホストクラブ・飲食店の集中地区、・・
要点2:「全員検査」を
区長からの熱いメッセージで安心街づくりに協力をお願い。陽性が分かるのは“怖い”とか“バレたらまずい”という人にも検査を受けることがプラスになるよう工夫して。
要点3:速やかに(1回目は3週間、以降は2週間で)実行し
1次検査:唾液検体10人混合1ロットの(1人1人検査の10倍の検査能力)
2次検査:1次検査で陽性になったロットは1人1人検査し、感染者を確定する。
要点4:感染者を隔離し
要点5:歌舞伎町を<安心>な街にする
ああだこうだ理屈をいう人にもOne Teamで安心な歌舞伎町を作ろうよ!と真摯に対話し・・「新規感染者ゼロ」を達成して歌舞伎町が<安心>であるとアナウンス。
<7/20 の書面の要旨>
(略)
都の感染者が連日300人近くになり事態はますます急を要します故、四度目の書面を速達・親展で差し上げます。児玉先生が国会で話されたように、今...