追番管理 受注生産型企業のための在庫管理法とは(その1)

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◆追番管理で部品加工メーカーの仕掛品在庫を管理する

 生産管理
 部品加工を主体とする繰返し型の製造受注生産(MTO)型の中小製造工場には、仕掛品在庫の推移を的確につかめるシステムの構築がもっとも重要です。そして、こうした仕掛品在庫の管理方法としてうってつけの手法が「追番管理」です。生産の状況をタイムリーに把握できるとともに、急激な需要増の際の納期回答にも活用できます。
 
 

1. 部品加工メーカーにとっての生産管理

 
 『〇〇生産管理システムは最適な生産管理を実現します』生産管理パッケージベンダーの宣伝文句では、そのベンダーの生産管理パッケージを導入しさえすれば、在庫、納期から原価まですぐに適切に管理できるようなことを謳っていることが多いようです。その宣伝文句を鵜呑みにして自社で何を管理すべきかを十分に検討しないままに安易に生産管理システムを導入してしまう工場が後を絶たないのです。しかし、こうしたシステム導入では、工場の経営効率を高めていくことは難しいようです。特に「どんな製造業種にも対応できる」といった謳い文句の汎用型パッケージ製品は、ベンダー自身が工場の生産管理の本質を理解していないものが多いので導入には注意が必要です。
 
 生産管理ステムの導入にあたっては、対象工場の製品、製造方法、特性に合った生産管理システムの選択が重要であり、それなしでの導入はお金をムダに使っていることになりかねないのです。日本の製造業者の大半が受注生産型企業です。中でも部品加工を主体とする繰返し型の製造受注生産(MTO)型の中小製造工場が多いのです。こうした工場で必要とされる生産管理は、計画生産(MTS)型の大工場や個別設計受注生産ETO)型の装置メーカーなどが利用している生産管理システムとは大きく異なります。ところが、部品加工工場がベンダーの宣伝文句に乗せられて総花的な生産管理システムを導入して生産活動に混乱をきたしてしまっているのをよく目にします。そこで、本項の主題である追番管理の説明に入る前に部品加工メーカーにはどんな生産管理システムが求められているのかに関してまとめます。
 
 日本の多くの部品加工メーカーは日常的に取引先からのコストダウン要求にさらされています。そのためもあって経営者は個別製品の原価管理を徹底しなければ生きていけないと思い込みがちです。その結果、ベンダーからの各製造工程の製品加工時間や要員作業時間を精緻に測定して製品別の原価計算を行うシステムが必要といった提案をつい受け入れてしまいやすいのです。しかし、こうした個別製品単位の原価計算をいくら精緻に実施しても固定費負担が中心の部品加工工場の利益創出面ではあまり意味をなさないでしょう。こうしたタイプの工場の利益は個々の製品の製造時間よりも、工場全体の操業度や内製化率に大きく左右されるのです。
 
 利益創出という観点から部品加工メーカーの生産管理システムに求められているのは、個々の製品の原価管理よりも工場の製造工程が高い操業度を維持しながら淀みなく動いているようにするための監視で
あり、これが欠けていてはいくら個別製品の加工時間を測定してもほとんど役に立たないのです。すなわち部品加工メーカーに必要な生産管理システムは、本来の製造能力もしくは生産計画に比べて、製造実績進捗が劣っていないか、特定の製造工程の能力が注文量に追いつかないことで納期遅れや仕掛品在庫が増加していないか、工程バランスが崩れることで仕掛品在庫が急増していないか、こういったことをできるだけリアルタイムで掴むこ...

◆追番管理で部品加工メーカーの仕掛品在庫を管理する

 生産管理
 部品加工を主体とする繰返し型の製造受注生産(MTO)型の中小製造工場には、仕掛品在庫の推移を的確につかめるシステムの構築がもっとも重要です。そして、こうした仕掛品在庫の管理方法としてうってつけの手法が「追番管理」です。生産の状況をタイムリーに把握できるとともに、急激な需要増の際の納期回答にも活用できます。
 
 

1. 部品加工メーカーにとっての生産管理

 
 『〇〇生産管理システムは最適な生産管理を実現します』生産管理パッケージベンダーの宣伝文句では、そのベンダーの生産管理パッケージを導入しさえすれば、在庫、納期から原価まですぐに適切に管理できるようなことを謳っていることが多いようです。その宣伝文句を鵜呑みにして自社で何を管理すべきかを十分に検討しないままに安易に生産管理システムを導入してしまう工場が後を絶たないのです。しかし、こうしたシステム導入では、工場の経営効率を高めていくことは難しいようです。特に「どんな製造業種にも対応できる」といった謳い文句の汎用型パッケージ製品は、ベンダー自身が工場の生産管理の本質を理解していないものが多いので導入には注意が必要です。
 
 生産管理ステムの導入にあたっては、対象工場の製品、製造方法、特性に合った生産管理システムの選択が重要であり、それなしでの導入はお金をムダに使っていることになりかねないのです。日本の製造業者の大半が受注生産型企業です。中でも部品加工を主体とする繰返し型の製造受注生産(MTO)型の中小製造工場が多いのです。こうした工場で必要とされる生産管理は、計画生産(MTS)型の大工場や個別設計受注生産ETO)型の装置メーカーなどが利用している生産管理システムとは大きく異なります。ところが、部品加工工場がベンダーの宣伝文句に乗せられて総花的な生産管理システムを導入して生産活動に混乱をきたしてしまっているのをよく目にします。そこで、本項の主題である追番管理の説明に入る前に部品加工メーカーにはどんな生産管理システムが求められているのかに関してまとめます。
 
 日本の多くの部品加工メーカーは日常的に取引先からのコストダウン要求にさらされています。そのためもあって経営者は個別製品の原価管理を徹底しなければ生きていけないと思い込みがちです。その結果、ベンダーからの各製造工程の製品加工時間や要員作業時間を精緻に測定して製品別の原価計算を行うシステムが必要といった提案をつい受け入れてしまいやすいのです。しかし、こうした個別製品単位の原価計算をいくら精緻に実施しても固定費負担が中心の部品加工工場の利益創出面ではあまり意味をなさないでしょう。こうしたタイプの工場の利益は個々の製品の製造時間よりも、工場全体の操業度や内製化率に大きく左右されるのです。
 
 利益創出という観点から部品加工メーカーの生産管理システムに求められているのは、個々の製品の原価管理よりも工場の製造工程が高い操業度を維持しながら淀みなく動いているようにするための監視で
あり、これが欠けていてはいくら個別製品の加工時間を測定してもほとんど役に立たないのです。すなわち部品加工メーカーに必要な生産管理システムは、本来の製造能力もしくは生産計画に比べて、製造実績進捗が劣っていないか、特定の製造工程の能力が注文量に追いつかないことで納期遅れや仕掛品在庫が増加していないか、工程バランスが崩れることで仕掛品在庫が急増していないか、こういったことをできるだけリアルタイムで掴むことができるようにするための生産管理システムです。
 
 特に工場の生産がうまく機能しているのかを見極めるには各工程や工程間の仕掛品在庫に増減があるかが有効な判断指標となるので、部品加工メーカーの工場経営をする上では仕掛品在庫の推移を的確につかめるシステムの構築がもっとも重要です。
 
 そして、こうした部品加工メーカーにおける仕掛品在庫の管理方法としてうってつけの生産管理手法が本項のテーマである「追番管理」です。
 
 次回は、追番管理から解説を進めます。
 
この文書は、月刊「工場管理」Vol.60 No.10掲載記事から連載にしたものです。
 
  

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この記事の著者

本間 峰一

高額投資したにもかかわらず効果の上がっていない生産管理システムを利益に貢献するシステムに再生させます!

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