部品加工の仕掛品在庫 受注生産型企業のための在庫管理法とは(その2)

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◆追番管理で部品加工メーカーの仕掛品在庫を管理する 

 
 部品加工を主体とする繰返し型の製造受注生産(MTO)型の中小製造工場には、仕掛品在庫の推移を的確につかめるシステムの構築がもっとも重要です。そして、こうした仕掛品在庫の管理方法としてうってつけの手法が「追番管理」です。生産の状況をタイムリーに把握できるとともに、急激な需要増の際の納期回答にも活用できます。
 
 

2. 追番管理とは

 
 「追番管理」とは「流動数曲線管理」とも呼ばれており、戦前の中島飛行機が発祥といわれている日本生まれの生産管理手法です。製造工程での製造個数を基準日からの累積数量を集計することで生産の進捗状況を管理するものです。トヨタ系の部品会社やキヤノンの工場などでは現役で活用されていますが、追番管理をサポートする生産管理パッケージシステムがほとんどないため、生産管理畑の人でもほとんど聞いたことがないという人もいるでしょう。
 
 追番管理は従来から繰返し型の大量生産品の製造管理に適した生産管理手法であることが知られています。特にMRP生産管理システムが苦手としている仕掛品在庫管理や納期管理に効果を発揮するのです。既存の生産管理システムで仕掛品在庫を管理しようとしてうまくいかない工場も多いようですが、そうした工場にとっては救いの神となる可能性の高い生産管理手法です。
 
 追番管理の基本は累積製造数字の見える化にあります。それを実現するための基本的なアプローチは図1のような累積製造数字のグラフ(流動数曲線グラフ)を作って製造の進捗状況を監視することです。流動数曲線グラフを見るだけで、進捗状況、仕掛品在庫量、納期、工程バランスなどがすぐに把握できるのです。
 
生産管理図1. 追番管理に用いる流動数曲線グラフ
 
 追番管理に用いる累積製造数字は個別品目単位の累積製造数でもかまわないですし、対象生産ラインを流れる製造品全体の累積製造数でもかまわないのです。累積製造数は一般的な生産管理システムからも容易に入手できます。その累積製造数を流動数曲線グラフ化するだけで進捗情報を容易に確認することができるようになります。
 
 そこで、実際に部品加工工場が使うことを想定した簡単な流動数曲線グラフの見方を示します。グラフをみただけで、工程間の製造スピードの差や、滞留在庫、投入から完了までのリードタイムなどを簡単に把握することができることが理解していただけると思います。
 

(1) 進捗の確認(図2)

 
 流動数曲線グラフの累積生産計画線と累積生産実績線を比べることで、生産計画に対する現場の進捗状況の確認が容易にできます。また、予定生産量に対して実際の生産量が伸び悩んでいるといったことも把握できます。この使い方は追番管理とはいわなくてもすでに採用し...

◆追番管理で部品加工メーカーの仕掛品在庫を管理する 

 
 部品加工を主体とする繰返し型の製造受注生産(MTO)型の中小製造工場には、仕掛品在庫の推移を的確につかめるシステムの構築がもっとも重要です。そして、こうした仕掛品在庫の管理方法としてうってつけの手法が「追番管理」です。生産の状況をタイムリーに把握できるとともに、急激な需要増の際の納期回答にも活用できます。
 
 

2. 追番管理とは

 
 「追番管理」とは「流動数曲線管理」とも呼ばれており、戦前の中島飛行機が発祥といわれている日本生まれの生産管理手法です。製造工程での製造個数を基準日からの累積数量を集計することで生産の進捗状況を管理するものです。トヨタ系の部品会社やキヤノンの工場などでは現役で活用されていますが、追番管理をサポートする生産管理パッケージシステムがほとんどないため、生産管理畑の人でもほとんど聞いたことがないという人もいるでしょう。
 
 追番管理は従来から繰返し型の大量生産品の製造管理に適した生産管理手法であることが知られています。特にMRP生産管理システムが苦手としている仕掛品在庫管理や納期管理に効果を発揮するのです。既存の生産管理システムで仕掛品在庫を管理しようとしてうまくいかない工場も多いようですが、そうした工場にとっては救いの神となる可能性の高い生産管理手法です。
 
 追番管理の基本は累積製造数字の見える化にあります。それを実現するための基本的なアプローチは図1のような累積製造数字のグラフ(流動数曲線グラフ)を作って製造の進捗状況を監視することです。流動数曲線グラフを見るだけで、進捗状況、仕掛品在庫量、納期、工程バランスなどがすぐに把握できるのです。
 
生産管理図1. 追番管理に用いる流動数曲線グラフ
 
 追番管理に用いる累積製造数字は個別品目単位の累積製造数でもかまわないですし、対象生産ラインを流れる製造品全体の累積製造数でもかまわないのです。累積製造数は一般的な生産管理システムからも容易に入手できます。その累積製造数を流動数曲線グラフ化するだけで進捗情報を容易に確認することができるようになります。
 
 そこで、実際に部品加工工場が使うことを想定した簡単な流動数曲線グラフの見方を示します。グラフをみただけで、工程間の製造スピードの差や、滞留在庫、投入から完了までのリードタイムなどを簡単に把握することができることが理解していただけると思います。
 

(1) 進捗の確認(図2)

 
 流動数曲線グラフの累積生産計画線と累積生産実績線を比べることで、生産計画に対する現場の進捗状況の確認が容易にできます。また、予定生産量に対して実際の生産量が伸び悩んでいるといったことも把握できます。この使い方は追番管理とはいわなくてもすでに採用している工場も多く、現場の掲示板にこのグラフが貼り出されているのをよく目にします。なお、部品加工工場の生産量が減る要因としては注文減少以外にも現場判断による過度な外注依存が原因になっていることが多いので注意が必要です。次回も、追番管理の解説を続けます。
 
生産管理
図2. 進捗管理に用いる
 
 この文書は、月刊「工場管理」Vol.60 No.10掲載記事から連載にしたものです。
 
  

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この記事の著者

本間 峰一

高額投資したにもかかわらず効果の上がっていない生産管理システムを利益に貢献するシステムに再生させます!

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