新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方
前回に続いて、3.2.3 各ステップの詳細説明のStep 6から解説を続けます。
Step 6:連関図(Ⅰ)の作成
序論のN7活用上のポイントで、N7は、“最低3回描く”としましたが、スタッフワークの場合、データ数はだいたい100枚を超す(筆者の経験では286枚が最高)ことが多く、完全な書きなおしは大変なので、以下のポイントを参考にしてベースレイアウトは最後まで使うつもりで作成するのがよいでしょう。ただ、ポイント1の詳細説明で言及するようにあまり神経質になる必要はないのです。
【ポイント 1】関連のありそうなカードを集めてグループ分けをする。
矢線の錯綜を少しでも減らす意味だけなのであまり神経質になる必要はないでしょう。特に、ポイント6で紹介する矢線便乗法を採用すると矢線の交錯はあまり気にする必要はないから尚更です。ただ、このような姿勢でデータを一通り見ておくのは、次の熟成のためにはよいのです。
【ポイント 2】データカードだけをできるだけ間をあけてレイアウトする。
模造紙の上段にテーマを大書し、その下を15cmくらいあけ、左右下を紙端から10cmくらいあけたスペースに、できるだけ間をあけてグループ分けしたもの同士が近くなるように、データカードをレイアウトします。この段階では、テーマカードのレイアウトはしない。(理由は、ポイント8参照)
【ポイント 3】蝋紙の左端5mmくらいを切り取りデータカードを仮貼りする。
蝋紙を切り取った後の5mmくらいの糊部で、データカードを模造紙に仮貼りする。
【ポイント 4】仮貼り状態でコピーして原紙とする。
大型コピー機が手元になくても、後々の手間を考えると、借りてでもコピーをした方がよい。
【ポイント 5】メンバー全員で“原因→結果”の要領で関連するカード間を矢線で結ぶ。
濃いめ(2B以上)の鉛筆を使い矢線で結線する。方法としては、メンバーが提案した結合を皆で確認し合いながら矢線を引いていくのと、各人が個々に引いたものを後で確認し合うのと2通りある。後者の場合は、線の色を変えたり、イニシャルをマークしたりして、後でだれの結線か分かるようにしておく必要があります。方法論的には大差ないが、メンバーが不慣れな場合や、相互理解の不十分な部門間にまたがる問題がテーマのときは、前者の方が望ましく、慣れてくると後者の方が効率的です。
この最初の結線だけは、必ず解析メンバー全員で実施する。かける時間のめどは2~3時間で、だいたいk=1.0前後の熟成度となり、メンバーの頭の中には、ぼんやりとではですが、問題の全貌が把握されます。このステップで、データ及び問題の全貌に対するメンバーの共通認識が得られるので、これ以降は、全員がそろうことにこだわらなくても、大きな支障にはならないのです。
【ポイント 6】“矢線便乗法”を活用する。
この“矢線便乗法”というのは、矢線が錯綜する連関図において、何本もの矢線が束のようになって同じ方向に向かっているのを見て思いついた便法です。後ほど具体例を紹介しますが、ここではモデル的にその効果のほどを図示します。
図から分かる通り、同じ方向に向かう矢線がある場合、最寄りの位置で矢線の矢印をその矢線に乗せ、目指すカードの近くで矢線を分岐させることにより、結線を簡素化できる。Aを“合流型”、Bを“分岐型”と呼びます。
図3-1 通常の結線
図3-2 矢線便乗法による結線
【ポイント 7】メンバー合意の上で、中継カードを追加する。
因果関係がはっきりしているが、飛躍があり過ぎて結線が躊躇されるような場合、メンバーで検討し、両カードとの結合度がより高い“中継カード”を追加するとよい。ここで対象とするような複雑なテーマの場合は、最終的に5~10%くらいの枚数が追加されるのが普通で、これらのカードが、後々活躍することが多いのです。
【ポイント 8】テーマへの結線はしない。
次節で、具体的な事例をもとに説明しますが、熟成度向上を妨げる最大の要因は“早い段階における、安易なテーマカードへの結線”です。というのは、熟成度指数kが1前後の時点で、カード同士の結線がほとんど進展しないときが訪れますが、ここでテーマカードに結線してしまうと、それ以上の要因相互の関連が見えなくなってしまうからです。ポイント2で、テーマカードのレイアウトを禁止したのは、ガイドラインk=1.8とともに、この時期を乗り切るためのノウハウです。
【ポイント 9】熟成・検討用にA2サイズに縮小コピーしてメンバーに配布する。
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