連関図の熟成 新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方(その7)

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【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←掲載済
第2章  挑戦管理とN7の選択←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←今回 
第4章  親和図法の使い方   
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方 
第6章  マトリックス図法の使い方 
第7章  系統図法の使い方 
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方 
第9章  PDPC法の使い方 
第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方

 
 前回に続いて、3.2.3 各ステップの詳細説明のStep 7から解説を続けます。
 

Step 7:連関図(Ⅰ)の熟成

 
 連関図(Ⅰ)のコピーに対する各人の熟成・検討 (注3-10)と、それらをもとにしたミーティングでの熟成・検討の2段階で実施します。
 
 (注3-10)各人の熟成・検討結果は、追加した矢線やカードがはっきり分かる形で記入しておく。
 

【ポイント 1】各人が追加した矢線やカードは追加者が分かるようにしておく。

 
 実用上は、ミーティングで熟成・検討結果を漏れなく報告できればよいのだが、後日疑問が出たりした際のフォローを確実にするためです。
 

【ポイント 2】熟成度k=1.5をめどに、データ相互の連関を追求する。

 
 ケースバイケースですが、だいたい3~4時間がめどです。経験的にいって、最初の1~2時間は、矢線やデータの追加が遅々として進まない (注3-11)。この間は非常に苦しいが、ひたすらデータ相互の連関追求を続けていると、熟成度がk=1.1を超えるあたりから堰を切ったように進展がみられる(注3-12)ので、諦めないことが肝心です。
 
 (注3-11) 頭にインプットされたデータに触手が現われ、関連データを求めて触手を成長させていくような感じであり、その成長度や方向の正確さは、ステップ6での各データの内容把握状況によるようです。
 
 (注3-12) この急激な進展のきっかけは、的を射た“中継カードの追加”であることが多い。
 

Step 8:連関図(Ⅱ)の作成

 
 連関図(Ⅱ)は新調せず、連関図(Ⅰ)(注3-13)に、ステップ7での熟成結果をもとに、矢線とカードを追記したものを連関図(Ⅱ)(注3-14)とします。このステップでの課題は、テーマカードへの矢線を数本にまで絞り込むところまで熟成度を上げることです。
 
 (注3-13) 連関図(Ⅱ)作成のために矢線やカードの追記をする前に、連関図(Ⅰ)の状態のコピーを取っておくと、熟成の経過が分かり、後々の参考になります。
 
 (注3-14) カードを追加するスペースがない場合は、カードの形状にこだわらなくてもよいし、それでも取れないときは、矢線を引き直してスペースを確保する。見にくくても分かればよい。
 

【ポイント 1】熟成結果の追記はメンバー合意の上で行う。

 
 各人が個々に実施した熟成結果は勝手に記入せず、熟成過程・結果の説明を付して矢線やカードの追加・修正を提案し、メンバー全員の合意した結論を反映します。特に、後述する“まとめカード”は、対策案の大枠につながることが多いので、データの表現も含め、その点に十分配慮して追加します。
 

【ポイント 2】テーマカードへの矢線数を徹底的に絞り込む(多くても数本まで)。

 
 熟成が進みk=1.8に近づいてくると、データ相互の連関追求が行き詰まって進まなくなるのです。この状態は、連関図作成の最終段階、すなわち、テーマカードへの結線を開始する段階に入ったことになりますが、ここでのポイントは、テーマカードへの矢線数の絞り込みであり、多くても“数本に絞り込むこと(注3-15)”です。しかし、ここで取り上げるようなテーマの場合は、既存データ相互の連関追求だけでは、テーマカードへの結線しか行き場のないカードが十数枚存在する状態で行き詰まり、それ以上の絞り込みができなくなることがほとんどです。この事態を打開する手段が、何枚ものカードをまとめてテーマカードへ導く“まとめカード”の創出(注3-16)です。
 
 (注3-15) “テーマカードへの矢線、数本以下”というのは、k=1.8としたガイドラインへの追加事項のような印象を与えるが、この絞り込みができてはじめてk=1.8をクリアできるのであり、ガイドラインへの追加事項というよりは、ガイドラインクリアのための最終関門といえます。
 
 (注3-16) たとえば“なぜ品質不具合が発生するのか?”がテーマの連関図において、データ相互の連関追求が行き詰まった時点で、「異品出荷する」「倉庫の雨漏りで製品が錆びる」「通い箱が劣化しており、輸送途上で製品が傷む」「最終自働検査機のエジェクターの作動不良で製品が傷む」などのデータは、テーマカードへの結線しか行き場がないのです。かといってこれらを結線したのでは、収拾がつかなくなります。この事態を救うのが、まとめカード“良品を不良品にしている”であり、このカードの追加により、関係者の視点が変わり、新たなデータの追加につながり、連関図から引き出す結論と対応策のレベルが向上します。
 
 

【ポイント 3】解析のための予備検討を実施する。

 
 テーマカードへの結線を数本に絞り込んだ時点で、連関図の熟成度はk=1.8近くなっており、解析者の脳裏には、かなりのレベルまで問題の全貌と重要項目が見えてくるので、連関図から結論を引き出すための準備に入ります。
 
 ただ、問題なのは、連関図から、どのようにして「問題の全貌をとらえ、重点項目を絞り込むか」である。今のところ確立された普遍的手段はなく、ここで取り上げてい...
【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←掲載済
第2章  挑戦管理とN7の選択←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←今回 
第4章  親和図法の使い方   
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方 
第6章  マトリックス図法の使い方 
第7章  系統図法の使い方 
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方 
第9章  PDPC法の使い方 
第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方

 
 前回に続いて、3.2.3 各ステップの詳細説明のStep 7から解説を続けます。
 

Step 7:連関図(Ⅰ)の熟成

 
 連関図(Ⅰ)のコピーに対する各人の熟成・検討 (注3-10)と、それらをもとにしたミーティングでの熟成・検討の2段階で実施します。
 
 (注3-10)各人の熟成・検討結果は、追加した矢線やカードがはっきり分かる形で記入しておく。
 

【ポイント 1】各人が追加した矢線やカードは追加者が分かるようにしておく。

 
 実用上は、ミーティングで熟成・検討結果を漏れなく報告できればよいのだが、後日疑問が出たりした際のフォローを確実にするためです。
 

【ポイント 2】熟成度k=1.5をめどに、データ相互の連関を追求する。

 
 ケースバイケースですが、だいたい3~4時間がめどです。経験的にいって、最初の1~2時間は、矢線やデータの追加が遅々として進まない (注3-11)。この間は非常に苦しいが、ひたすらデータ相互の連関追求を続けていると、熟成度がk=1.1を超えるあたりから堰を切ったように進展がみられる(注3-12)ので、諦めないことが肝心です。
 
 (注3-11) 頭にインプットされたデータに触手が現われ、関連データを求めて触手を成長させていくような感じであり、その成長度や方向の正確さは、ステップ6での各データの内容把握状況によるようです。
 
 (注3-12) この急激な進展のきっかけは、的を射た“中継カードの追加”であることが多い。
 

Step 8:連関図(Ⅱ)の作成

 
 連関図(Ⅱ)は新調せず、連関図(Ⅰ)(注3-13)に、ステップ7での熟成結果をもとに、矢線とカードを追記したものを連関図(Ⅱ)(注3-14)とします。このステップでの課題は、テーマカードへの矢線を数本にまで絞り込むところまで熟成度を上げることです。
 
 (注3-13) 連関図(Ⅱ)作成のために矢線やカードの追記をする前に、連関図(Ⅰ)の状態のコピーを取っておくと、熟成の経過が分かり、後々の参考になります。
 
 (注3-14) カードを追加するスペースがない場合は、カードの形状にこだわらなくてもよいし、それでも取れないときは、矢線を引き直してスペースを確保する。見にくくても分かればよい。
 

【ポイント 1】熟成結果の追記はメンバー合意の上で行う。

 
 各人が個々に実施した熟成結果は勝手に記入せず、熟成過程・結果の説明を付して矢線やカードの追加・修正を提案し、メンバー全員の合意した結論を反映します。特に、後述する“まとめカード”は、対策案の大枠につながることが多いので、データの表現も含め、その点に十分配慮して追加します。
 

【ポイント 2】テーマカードへの矢線数を徹底的に絞り込む(多くても数本まで)。

 
 熟成が進みk=1.8に近づいてくると、データ相互の連関追求が行き詰まって進まなくなるのです。この状態は、連関図作成の最終段階、すなわち、テーマカードへの結線を開始する段階に入ったことになりますが、ここでのポイントは、テーマカードへの矢線数の絞り込みであり、多くても“数本に絞り込むこと(注3-15)”です。しかし、ここで取り上げるようなテーマの場合は、既存データ相互の連関追求だけでは、テーマカードへの結線しか行き場のないカードが十数枚存在する状態で行き詰まり、それ以上の絞り込みができなくなることがほとんどです。この事態を打開する手段が、何枚ものカードをまとめてテーマカードへ導く“まとめカード”の創出(注3-16)です。
 
 (注3-15) “テーマカードへの矢線、数本以下”というのは、k=1.8としたガイドラインへの追加事項のような印象を与えるが、この絞り込みができてはじめてk=1.8をクリアできるのであり、ガイドラインへの追加事項というよりは、ガイドラインクリアのための最終関門といえます。
 
 (注3-16) たとえば“なぜ品質不具合が発生するのか?”がテーマの連関図において、データ相互の連関追求が行き詰まった時点で、「異品出荷する」「倉庫の雨漏りで製品が錆びる」「通い箱が劣化しており、輸送途上で製品が傷む」「最終自働検査機のエジェクターの作動不良で製品が傷む」などのデータは、テーマカードへの結線しか行き場がないのです。かといってこれらを結線したのでは、収拾がつかなくなります。この事態を救うのが、まとめカード“良品を不良品にしている”であり、このカードの追加により、関係者の視点が変わり、新たなデータの追加につながり、連関図から引き出す結論と対応策のレベルが向上します。
 
 

【ポイント 3】解析のための予備検討を実施する。

 
 テーマカードへの結線を数本に絞り込んだ時点で、連関図の熟成度はk=1.8近くなっており、解析者の脳裏には、かなりのレベルまで問題の全貌と重要項目が見えてくるので、連関図から結論を引き出すための準備に入ります。
 
 ただ、問題なのは、連関図から、どのようにして「問題の全貌をとらえ、重点項目を絞り込むか」である。今のところ確立された普遍的手段はなく、ここで取り上げているような、カード数が100を超え、時には二百数十になるようなテーマの場合は、お手上げとなります。この点について、数例の悪戦苦闘の取り組みを経て行き着いた筆者なりの結論は「表3-3に示す6種類のカードを、連関図からの結論引き出しのガイドにする」というもので、ここでいう“解析のための予備検討”とは、グループ討議により、6種類のカードのめどをつけることです。
 
表3-3 連関図解読時、結論引き出しをガイドするカードと活用上の注意点
 QC7つ道具
 
 次回は、Step9:連関図(Ⅱ)の解析から解説を続けます。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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