活用事例によるノウハウの説明 新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方(その13)

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【目次】
序論   ←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←今回
第4章  親和図法の使い方  
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方

 
 前回に続いて、3.3 事例に見る連関図法による混沌解明のノウハウ、から続けます。
 

3.3.3 活用事例によるノウハウの説明

 
 ここでは、前節において詳述した“混沌解明の14ステップ”について、文章では伝えきれなかった勘どころを具体的事例を使って説明します。説明の仕方としては、逐一ステップを踏むのではなく、14ステップ方式による節目の連関図を使って、その前後に関するノウハウを含めて説明することにしました。
 

(1) 2次熟成連関図(図3-4)について

 
 まず、今回の説明用事例の起点である図3-4について説明します。尚、図3-4.連関図「なぜクレームが減らないのか」オリジナルの再現(2次熟成結果)k=1.95は、前回の連関図法の使い方(その11)にあります。
 

ⅰ) 熟成度

 
 2次熟成連関図(図3-4)の熟成度(k=1.95)はガイドライン(k=1.8)をクリアし、結論の把握もなされています。しかし、ここで目指す“連関図と結論の関連を明確にし、第三者に対する説得力を持つリポートの作成”には、まだ熟成不十分、というのが筆者の実感です。
 
 それではガイドラインの意味がないのではないかと思われるかもしれませんが、それは結論から分かるように、本社や顧客が深く関わるスタッフワークレベルの連関図でありますが、そのわりにはデータ数が38と少ない上、解析者である筆者がデータの背景をよく知らないため、その分より高い熟成度が求められるという特殊事情とみるべきです。
 
 要するに、ガイドラインは“問題の核心をつかみ得るタイミングの目安”であり、「k=1.8」が目的化することは厳に避けなければならないのです。
 

ⅱ) データの量と質

 
 ここで問題となるのが、データの少ない理由が、解析時には補いようのない欠落によるためではないかという心配、すなわち、採取データに対する信頼性の問題です。
 
 SQCの場合は、ヒストグラムによる正規性のチェックといった手段がありますが、言語データの場合はそのような確認方法は存在しないのです。これが、前回、データ採取に関し慎重を期す必要性を強調したゆえんです。ただ、この事例の場合は、データの質、解析対象領域に対する網羅性とも解析に堪え得るものであるというのが、2次熟成の時点で下した筆者の判定であり、この点もこの事例を採用した理由の一つです(データの網羅性に欠如がある場合は、引き出された結論に疑念が生じることで分かる)。
 

ⅲ) 熟成度アップ時の留意点

 
 この事例に限ったことではないのですが、最終段階における熟成度アップには、データ相互の連関追求において、データの背景に潜むデータ採取母体、及び関連業界の情報を十分加味する姿勢が大切です。そして、それらの情報の質と量、及び連関追求への加味の仕方が、結論のレベルを大きく左右するので、解析者は心する必要があります。
 

(2) 3次熟成連関図(図3-5)について

 
  新QC7つ道具 図3-5. 連関図「なぜクレームが減らないのか」(3次熟成結果)k=2.28
 【 画 像 ク リ ッ ク で 拡 大 】
 
 前述した通り、2次熟成結果(図3-4)では最終結論を引き出すには熟成不十分ということで、図3-4上でさらなる熟成を重ねた結果が図3-5です。熟成度指数もk=2.28と高く、結論に対する確信度も増し、最終結論抽出に取りかかる条件は整ったのですが、図3-5は、矢線の錯綜が激しくてデータ相互の連関が分かりにくく、結論説明のベースとするには無理があるのではないかと感じられました。そこで、リポートに添付する最終版の連関図は、図3-5と同じ内容のものを前述の“矢線便乗法”を用いて作図しました。
 
 この矢線便乗法は前節において、ステップに従って作図の仕方を詳述しましたが、そこで分かりにくかったところも、このサンプルと対比しながらレビューしてもらえば納得していただけるものと思います。
 

(3) リポートに添付する最終連関図(図3-6)について

 
 新QC7つ道具  図3-6. 連関図「なぜクレームが減らないのか」(最終版:矢線便乗型)
 【 画 像 ク リ ッ ク で 拡 大 】
 
 前項で説明した“矢線便乗法”を用いて作図した図3-6の見やすさは、図3-5と比較してもらえれば一目瞭然でしょう。一般的な最終連関図作成のポイント6つを次に列記します。
 

ⅰ) テーマカードの左右のスペースの使い方

 
 それぞれ、左側は連関図の“概要説明(通常は結論も含める)”、右側は結論引き出しに活用した4種類のカードに対する説明の表のためのスペースである。このサンプルでは、スペースが限定されたので窮屈になっているが、普通はかなり広く(15cmくらい)取り、カード追加用スペースとしても活用します。
 

ⅱ) カードの追加の仕方

 
 上述したように、通常は上部のスペースを使いますが、追加カードが、近くにある2枚のカードに対する“中継カード”のような場合は、両カードの中間の適当な位置に追加する方が分かりやすいでしょう。その場合、カードの大きさなどにはこだわらなくてよいのです。
 

ⅲ) カードに対するナンバリング

 
 このサンプルは、オリジナルのナンバリングを採用したしたので、ナンバーが入り乱れていますが、14ステップ方式の場合は、最初のレイアウトが大幅に変わることはないので、左端上から順番にナンバリングするのが見やすく、諸検討に好都合です。
 

ⅳ) 矢線の引き方

 
 矢線の錯綜を避けるために“矢線便乗法”(3.2.2 Step 6のポイント6参照)を用いるとともに、矢線は水平と垂直に引くようにします。これにより、矢線の交錯は必ず直角になるので辿る矢線を見失う心配がなく、半円形の矢線またぎマークによる煩雑さと手間を避けることができます。
 

ⅴ) 関連カードNo.の表示

 
 最終カード...
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第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
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第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方

 
 前回に続いて、3.3 事例に見る連関図法による混沌解明のノウハウ、から続けます。
 

3.3.3 活用事例によるノウハウの説明

 
 ここでは、前節において詳述した“混沌解明の14ステップ”について、文章では伝えきれなかった勘どころを具体的事例を使って説明します。説明の仕方としては、逐一ステップを踏むのではなく、14ステップ方式による節目の連関図を使って、その前後に関するノウハウを含めて説明することにしました。
 

(1) 2次熟成連関図(図3-4)について

 
 まず、今回の説明用事例の起点である図3-4について説明します。尚、図3-4.連関図「なぜクレームが減らないのか」オリジナルの再現(2次熟成結果)k=1.95は、前回の連関図法の使い方(その11)にあります。
 

ⅰ) 熟成度

 
 2次熟成連関図(図3-4)の熟成度(k=1.95)はガイドライン(k=1.8)をクリアし、結論の把握もなされています。しかし、ここで目指す“連関図と結論の関連を明確にし、第三者に対する説得力を持つリポートの作成”には、まだ熟成不十分、というのが筆者の実感です。
 
 それではガイドラインの意味がないのではないかと思われるかもしれませんが、それは結論から分かるように、本社や顧客が深く関わるスタッフワークレベルの連関図でありますが、そのわりにはデータ数が38と少ない上、解析者である筆者がデータの背景をよく知らないため、その分より高い熟成度が求められるという特殊事情とみるべきです。
 
 要するに、ガイドラインは“問題の核心をつかみ得るタイミングの目安”であり、「k=1.8」が目的化することは厳に避けなければならないのです。
 

ⅱ) データの量と質

 
 ここで問題となるのが、データの少ない理由が、解析時には補いようのない欠落によるためではないかという心配、すなわち、採取データに対する信頼性の問題です。
 
 SQCの場合は、ヒストグラムによる正規性のチェックといった手段がありますが、言語データの場合はそのような確認方法は存在しないのです。これが、前回、データ採取に関し慎重を期す必要性を強調したゆえんです。ただ、この事例の場合は、データの質、解析対象領域に対する網羅性とも解析に堪え得るものであるというのが、2次熟成の時点で下した筆者の判定であり、この点もこの事例を採用した理由の一つです(データの網羅性に欠如がある場合は、引き出された結論に疑念が生じることで分かる)。
 

ⅲ) 熟成度アップ時の留意点

 
 この事例に限ったことではないのですが、最終段階における熟成度アップには、データ相互の連関追求において、データの背景に潜むデータ採取母体、及び関連業界の情報を十分加味する姿勢が大切です。そして、それらの情報の質と量、及び連関追求への加味の仕方が、結論のレベルを大きく左右するので、解析者は心する必要があります。
 

(2) 3次熟成連関図(図3-5)について

 
  新QC7つ道具 図3-5. 連関図「なぜクレームが減らないのか」(3次熟成結果)k=2.28
 【 画 像 ク リ ッ ク で 拡 大 】
 
 前述した通り、2次熟成結果(図3-4)では最終結論を引き出すには熟成不十分ということで、図3-4上でさらなる熟成を重ねた結果が図3-5です。熟成度指数もk=2.28と高く、結論に対する確信度も増し、最終結論抽出に取りかかる条件は整ったのですが、図3-5は、矢線の錯綜が激しくてデータ相互の連関が分かりにくく、結論説明のベースとするには無理があるのではないかと感じられました。そこで、リポートに添付する最終版の連関図は、図3-5と同じ内容のものを前述の“矢線便乗法”を用いて作図しました。
 
 この矢線便乗法は前節において、ステップに従って作図の仕方を詳述しましたが、そこで分かりにくかったところも、このサンプルと対比しながらレビューしてもらえば納得していただけるものと思います。
 

(3) リポートに添付する最終連関図(図3-6)について

 
 新QC7つ道具  図3-6. 連関図「なぜクレームが減らないのか」(最終版:矢線便乗型)
 【 画 像 ク リ ッ ク で 拡 大 】
 
 前項で説明した“矢線便乗法”を用いて作図した図3-6の見やすさは、図3-5と比較してもらえれば一目瞭然でしょう。一般的な最終連関図作成のポイント6つを次に列記します。
 

ⅰ) テーマカードの左右のスペースの使い方

 
 それぞれ、左側は連関図の“概要説明(通常は結論も含める)”、右側は結論引き出しに活用した4種類のカードに対する説明の表のためのスペースである。このサンプルでは、スペースが限定されたので窮屈になっているが、普通はかなり広く(15cmくらい)取り、カード追加用スペースとしても活用します。
 

ⅱ) カードの追加の仕方

 
 上述したように、通常は上部のスペースを使いますが、追加カードが、近くにある2枚のカードに対する“中継カード”のような場合は、両カードの中間の適当な位置に追加する方が分かりやすいでしょう。その場合、カードの大きさなどにはこだわらなくてよいのです。
 

ⅲ) カードに対するナンバリング

 
 このサンプルは、オリジナルのナンバリングを採用したしたので、ナンバーが入り乱れていますが、14ステップ方式の場合は、最初のレイアウトが大幅に変わることはないので、左端上から順番にナンバリングするのが見やすく、諸検討に好都合です。
 

ⅳ) 矢線の引き方

 
 矢線の錯綜を避けるために“矢線便乗法”(3.2.2 Step 6のポイント6参照)を用いるとともに、矢線は水平と垂直に引くようにします。これにより、矢線の交錯は必ず直角になるので辿る矢線を見失う心配がなく、半円形の矢線またぎマークによる煩雑さと手間を避けることができます。
 

ⅴ) 関連カードNo.の表示

 
 最終カード2枚の上、及びテーマカードへの点線横にある数字は、それぞれに矢線を送っているカードのNo.である。この連関図の場合、スペースの関係で、表示は最終カードだけになっているが、リポートの中で重要な位置を占めるカードの場合、このような関連カードNo.を表示しておくと、リポートの理解がしやすく、後々好都合です。
 

ⅵ) カードの彩色

 
 印刷の都合上、モノクロームになっていますが、通常は右上の表に記載した色で4種類のカードに彩色しています。こうすることによって連関図の理解がしやすくなるので、面倒でもこの図も彩色されることをお勧めします。
 
 次回は、Step13のリポートの作成についてから、解説を続けます。
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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