【目次】
第4章 親和図法の使い方 ←今回
第5章 マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章 マトリックス図法の使い方
第7章 系統図法の使い方
第8章 アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章 PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方
新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方
4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ
4.2.3 各ステップの詳細説明
言語データの収集方法はいろいろあり、N7提唱の書では、系統的なアプローチにより6種類に整理し[1](96p図5-3)、それぞれを使用目的に対して適合性評価を行っています[1](96p表5-1)。ここでは、BS(ブレーンストーミング)法を採用しています。
このBS法には、批判厳禁、量を求める、自由奔放、結合改善(他人の意見に触発されてのアイデア供出)の四原則があります。このうち“自由奔放”というのは、人によっては性格的に抵抗を感じることがあるので、“自分の意見も批判するな”[2](35p)とした方が、本旨に沿っていて無難です。
なお、このステップは重要で、勝負のほとんどが決まってしまうといっても過言ではなく、慎重な運営が求められるので、そのポイントを次にまとめました。
【ポイント1】メンバーは事前に勉強する。
この連載で取り上げるような挑戦的テーマの場合、データ収集にBS法を採用して心配なのは、入手データの質と客観性です。その懸念点をカバーするために、メンバーは本や文献による勉強(文献調査法)やテーマに対する見識の高い先生や友人との面談(面接調査法)によりテーマに対する見識の向上を図っておくことが必要です。
ただし、これは本書が限定している“混沌から脱出するためのデザインアプローチ”すなわち“システムデザインに関するテーマ”の場合であって、“研究開発や具体的な問題解決におけるアイデア抽出”といったことを目的としたBSの場合は、事前のテーマ提示は、アイデアの固定化を生み逆効果になるので使い分けに注意する必要があります。
【ポイント2】リーダーやトップの発言は最後にする。
リーダーやトップは当然のことながらメンバーよりも見識の高いデータを豊富に持ち合わせていますが、よほどのことがない限りメンバーの発言が一通り網羅されて一段落するまで発言を控えることが望ましいでしょう。
理由は、事例をあげて後述しますが、BSで入手したデータによる、メンバーとリーダーやトップとの“意識のズレ”把握に欠かせないからです。
【ポイント3】データソースをはっきりさせておく。
事前の勉強により入手したデータの場合は、そのデータソースも添えて発言し記録します。発言者の言及がなくてもそれらしい場合はリーダーが聞き出しておくことです。これは、にわか勉強による誤解の検出・矯正が必要な場合の的確な対処のためです。
【ポイント4】リーダーやトップの発言に啓発されての発言は分かるようにしておく。
これは、A型図解から、リーダーやトップとメンバーの意識のズレを解析し、実施項目の優先順序に反映する方法を後述しようと考えていますが、その場合、同じ発言者からのデータでも、リーダーやトップとの意識のズレという観点からは、別扱いの必要があるためです。ただし、これはあくまで参考までのことゆえ、厳密である必要はないでしょう。
【ポイント5】極力全員からまんべんなく発言できるようにする。
このポイントの目指すところは、全員にこだわっているわけではなく、通常の挙手発言では、無口な人や小心者のデータが埋没してしまうのを防ごうとするものです。これについては、三菱樹脂㈱の開発による、メンバーが順番に発言する“順番BS(MBS)”[2](40p-44、282)[3](354p-355)が有効です。
【ポイント6】発言は、発言者名をつけて発言順に記録する。
発言順番は、ポ...