基本的ステップ 新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方(その8)

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  KJ法
 
【目次】
序論   ←掲載済
第4章  親和図法の使い方 ←今回
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方

 

4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ

 

Step 4: データの確認・整理

 
 データ採取時、真意や不明点の確認を行いますが、発言者の記憶が新しい段階でデータの確認・整理を行い、データに対する不明点、疑念点については発言者に確認しておくことです。
 

【ポイント 1】勝手な統合はしない。

 
 BS中は気づかなかったが、まったくといってもよいほどの同義データを発見することがあるのです。このような場合、統合に際しては必ず発言者に確認をすることです。ただ、親和図法の場合は、手法そのものがデータの親和性をベースとしたデータの統合、発展を目指す手法なので、原則として統合は解析時に譲るのが望ましいでしょう。
 

Step 5: カードの作成

 
 “通常1発言1カード”と思いがちですが、入手データをよく吟味し、独立した最小限の意味を持つセンテンスごとにカードに記入するのです[1](98p)。別の表現では「1つのカードは1つの志を持つように記す(F124)。」となるのです。具体的には、1発言が、2つや3つのカードを生むこともあるということです。
 
 このステップは、一見なんでもないように思えますが、“以後の作業の死命を制する出発点である[2](124p)”との認識が重要です。
 

【ポイント 1】カードサイズは23×53mm。

 
 一般的には、カード寄せをグループで実施することが多いので、全員が見るのに都合のよい、このくらいのサイズがふさわしいでしょう。ただ、人数が少なく、特に支障がない場合は、KJ手帳サイズ(15×40mm)の方が、後々の取り扱い上好都合です。
 

【ポイント 2】表現は、土の香りの漂うものにする。[1](96p)

 
 これは“親和図法の鉄則の1つ”といえますが、何をもって“土の香り”とするかが難しいのです。今のところ“生のデータそのまま”が“土の香りを漂わせている”といえるのではないかと思っています。
というのは、筆者の経験からすると“BSでの発言が、生のままだと、漠然とし過ぎていたり、テーマと関係なさそうな場合は、誘導尋問的に内容を絞り込む”といったことをしがちです。すると、そのデータ単独での内容は明快になるのですが、カード寄せ時の広がり(発想)の可能性が失われてしまうように思います。
 
 SQCでは、入手した計量値がバラツキのない場合は、解析のしようがなくて意味がなく、バラツキを把握できる計器(精度)での再測定が必要となります。このことは、計量値に“バラツキ”があるからこそ、それを解析することにより、データの背景が浮き彫りにされ、問題の本質把握につながり、SQC手法が意味を持つことを物語っています。
 
 一方、言語データの場合は、テーマに刺激されて引き出された“言語データ”の持つ“漠然さ”や、一見テーマとは無関係に思われる“茫漠さ”こそが、計量値の“バラツキ”に相当し、親和図法の解析対象といえるのではないでしょうか。
 
 すなわち、親和図法が “言語データ”に求める“土の香り”とは、発言者の無意識知に関わる、言語データの持つ“漠然さ”や“茫漠さ”のことであり、その中に秘められた“問題点の核心”や“打開策に対するヒント”を引き出すのが“親和図法”であると理解しているのです。
 

【ポイント 3】ナンバーと発言者を記入。

 
 ナンバーは、特段のニーズがなければ、発言順がよいでしょう。発言者については、A型図解は、関係者以外の目にも触れることになるので、いらぬ中傷ややゆを防ぐ意味で、解析者が分かる記号などで記入する配慮が必要です。
 

Step 6: データの吟味・熟成

 
 カードをトランプのように切って順序をランダムにし、“畳1畳半くらいのスペース[3](47p)”に、一望できるように広げ、データの“土の香り”を嗅ぎながら、データの語りかける“志”や、他のデータとの関係から生じる“意味の広がり”を汲み取るのです。
 
 このステップではカード寄せを行わず、ただひたすらにデータに耳を傾けます。
 

【ポイント1】一度、途方に暮れる。

 
 ここまでくると、解析者の念頭には、BSでの雰囲気、確認時の発言者の説明、データの整理やカードの準備を通じて得た感触などから、漠然とではあるが、いくつかのグループが頭の中にできつつあるのが普通です。
 
 これは、それまでいろいろな形でデータと取り組んできた成果であり、これを生かすことが解析時間の大幅な短縮を可能にするものとして大切にすべきです。というのが当初の筆者の考えでした。ところが、経験を重ねるうちに、この状態のままでカード寄せに入ると、作業は手際よくなるのですが、デ-タの持つ、より深い意味や、発言者が意識していない潜在的なデータの広がりを把握するチャンスを逸してしまう恐れがあることに気づいたのです。そこで、この懸念を取り除くために、“ただひたすらにカードの声に耳を傾ける”というこのステップを設けた次第です。
 
 感覚的には、当初念頭にあった“こんな感じかな?”というカード寄せのめど(だいたいが部分的なものだが…)が怪しくなり、“こんなことで島が10以下になるのかなあ?”といった不安感にとらわれるタイミングがあるが、この一種の“途方に暮れる感じ”に至るのがこのステップのポイントです。
 

【ポイント 2】カード1枚1分がめど。

 
 このめどは、上述の“途方に暮れる感じ”に至るタイミングから割り出したものですが、カードのデータを読む時間はだいたい10秒くらいなので、“カードを数回繰り返し読む”としてもよいでしょう。
 

【ポイント 3】カードを読むときは内容を納得してから次に進む。

 
 1つずつのカードの志を、耳を傾けて聴き(“聞き”ではない)、うなずいてから次に進む。[2](124p)
 
 次回は、Step 7: カード寄せから解...
 
  KJ法
 
【目次】
序論   ←掲載済
第4章  親和図法の使い方 ←今回
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方

 

4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ

 

Step 4: データの確認・整理

 
 データ採取時、真意や不明点の確認を行いますが、発言者の記憶が新しい段階でデータの確認・整理を行い、データに対する不明点、疑念点については発言者に確認しておくことです。
 

【ポイント 1】勝手な統合はしない。

 
 BS中は気づかなかったが、まったくといってもよいほどの同義データを発見することがあるのです。このような場合、統合に際しては必ず発言者に確認をすることです。ただ、親和図法の場合は、手法そのものがデータの親和性をベースとしたデータの統合、発展を目指す手法なので、原則として統合は解析時に譲るのが望ましいでしょう。
 

Step 5: カードの作成

 
 “通常1発言1カード”と思いがちですが、入手データをよく吟味し、独立した最小限の意味を持つセンテンスごとにカードに記入するのです[1](98p)。別の表現では「1つのカードは1つの志を持つように記す(F124)。」となるのです。具体的には、1発言が、2つや3つのカードを生むこともあるということです。
 
 このステップは、一見なんでもないように思えますが、“以後の作業の死命を制する出発点である[2](124p)”との認識が重要です。
 

【ポイント 1】カードサイズは23×53mm。

 
 一般的には、カード寄せをグループで実施することが多いので、全員が見るのに都合のよい、このくらいのサイズがふさわしいでしょう。ただ、人数が少なく、特に支障がない場合は、KJ手帳サイズ(15×40mm)の方が、後々の取り扱い上好都合です。
 

【ポイント 2】表現は、土の香りの漂うものにする。[1](96p)

 
 これは“親和図法の鉄則の1つ”といえますが、何をもって“土の香り”とするかが難しいのです。今のところ“生のデータそのまま”が“土の香りを漂わせている”といえるのではないかと思っています。
というのは、筆者の経験からすると“BSでの発言が、生のままだと、漠然とし過ぎていたり、テーマと関係なさそうな場合は、誘導尋問的に内容を絞り込む”といったことをしがちです。すると、そのデータ単独での内容は明快になるのですが、カード寄せ時の広がり(発想)の可能性が失われてしまうように思います。
 
 SQCでは、入手した計量値がバラツキのない場合は、解析のしようがなくて意味がなく、バラツキを把握できる計器(精度)での再測定が必要となります。このことは、計量値に“バラツキ”があるからこそ、それを解析することにより、データの背景が浮き彫りにされ、問題の本質把握につながり、SQC手法が意味を持つことを物語っています。
 
 一方、言語データの場合は、テーマに刺激されて引き出された“言語データ”の持つ“漠然さ”や、一見テーマとは無関係に思われる“茫漠さ”こそが、計量値の“バラツキ”に相当し、親和図法の解析対象といえるのではないでしょうか。
 
 すなわち、親和図法が “言語データ”に求める“土の香り”とは、発言者の無意識知に関わる、言語データの持つ“漠然さ”や“茫漠さ”のことであり、その中に秘められた“問題点の核心”や“打開策に対するヒント”を引き出すのが“親和図法”であると理解しているのです。
 

【ポイント 3】ナンバーと発言者を記入。

 
 ナンバーは、特段のニーズがなければ、発言順がよいでしょう。発言者については、A型図解は、関係者以外の目にも触れることになるので、いらぬ中傷ややゆを防ぐ意味で、解析者が分かる記号などで記入する配慮が必要です。
 

Step 6: データの吟味・熟成

 
 カードをトランプのように切って順序をランダムにし、“畳1畳半くらいのスペース[3](47p)”に、一望できるように広げ、データの“土の香り”を嗅ぎながら、データの語りかける“志”や、他のデータとの関係から生じる“意味の広がり”を汲み取るのです。
 
 このステップではカード寄せを行わず、ただひたすらにデータに耳を傾けます。
 

【ポイント1】一度、途方に暮れる。

 
 ここまでくると、解析者の念頭には、BSでの雰囲気、確認時の発言者の説明、データの整理やカードの準備を通じて得た感触などから、漠然とではあるが、いくつかのグループが頭の中にできつつあるのが普通です。
 
 これは、それまでいろいろな形でデータと取り組んできた成果であり、これを生かすことが解析時間の大幅な短縮を可能にするものとして大切にすべきです。というのが当初の筆者の考えでした。ところが、経験を重ねるうちに、この状態のままでカード寄せに入ると、作業は手際よくなるのですが、デ-タの持つ、より深い意味や、発言者が意識していない潜在的なデータの広がりを把握するチャンスを逸してしまう恐れがあることに気づいたのです。そこで、この懸念を取り除くために、“ただひたすらにカードの声に耳を傾ける”というこのステップを設けた次第です。
 
 感覚的には、当初念頭にあった“こんな感じかな?”というカード寄せのめど(だいたいが部分的なものだが…)が怪しくなり、“こんなことで島が10以下になるのかなあ?”といった不安感にとらわれるタイミングがあるが、この一種の“途方に暮れる感じ”に至るのがこのステップのポイントです。
 

【ポイント 2】カード1枚1分がめど。

 
 このめどは、上述の“途方に暮れる感じ”に至るタイミングから割り出したものですが、カードのデータを読む時間はだいたい10秒くらいなので、“カードを数回繰り返し読む”としてもよいでしょう。
 

【ポイント 3】カードを読むときは内容を納得してから次に進む。

 
 1つずつのカードの志を、耳を傾けて聴き(“聞き”ではない)、うなずいてから次に進む。[2](124p)
 
 次回は、Step 7: カード寄せから解説を続けます。
 
【参考文献】
[1]「管理者・スタッフの新QC七つ道具」日科技連出版   
[2]「KJ法 」中央公論社
[3]「続・発想法」中公新書No.210
 

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この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。


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