【目次】
第4章 親和図法の使い方 ←今回
第5章 マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章 マトリックス図法の使い方
第7章 系統図法の使い方
第8章 アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章 PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方
新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方
4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ
Step 8: 表札作り
表札作りは、次の3つの質問に答えつつ進行させるのがよいでしょう。[1](64p-65)
(1) カードが訴えようとする本質は何か。
自我を無にして耳を傾ける姿勢でカードを熟読します。めったにないのですが、新たなカードが寄せられるチャンスでもあります。
(2) この集まりはもっともと感じられるか。
ここでいう“もっとも”とは、“理屈”ではなく“情念(感じ)”によるものです。理屈や分類によった異分子を排除するチャンスです。
(3) もっともな理由を答える。
納得のいく理由がはっきりした時点でこのカード寄せが完了します。最後の質問に対する答えである“納得のいく理由”を簡潔な文章にして記入したカード(表札)を一番上にして束ねます。後は、「表札を1枚のカードとして、“カード寄せ”“表札作り”」の繰り返しを、束の数が、10以下になるまで続けます。
【ポイント 1】“簡潔”にこだわり過ぎない。
表札に対する各書の説明“集まったゆえんの内容を要約[2](126p)”“1行見出しに圧縮して表現[3](75p)”“グループの本質をついた簡単な表現[4](99p)”にある“要約”“圧縮”“簡単”といった言葉から、簡潔さを強調しているように思われがちです。
確かに、簡潔な方が分かりやすいに違いないのですが、表札に求められる本質は、“カードの集まったゆえんの内容”であり“グループのいわんとする本質”です。したがって、簡潔さを優先して、カードのいい分の一部をカットするようなことがあってはならず、むしろ、“グループ内のカードのいい分すべてを聞き届けた「律儀な表札」の方がはるかによい”[1](73p) といえるのです。
【ポイント 2】表札作りのタイミング。
カード寄せがすべて完了するのを待つ必要はなく、全体の3分の2くらいが完了したころに開始すればよいでしょう。[1](64p)筆者の場合、カード寄せが行き詰まったら、表札作りに入るようにしていますが、これは、気分転換になるだけでなく、再度戻ったときのカード寄せが非常にスムーズになるので、“表札作り”と“カード寄せ”のステップは、気軽に行き来することです。
【ポイント 3】3つの質問はカード寄せの検証。
表札作りの“3つの質問”の大きな使命の1つが“カード寄せが正しいかどうかの検証”であるとの認識が大切です。ステップの名前が“表札作り”となっているため、“表札作り”が優先され、“表札作りの正しさ”をおろそかにしがちですが、その場合は、結果的に大きな時間的なロスを生むことが多いので注意が必要です。
【ポイント 4】無理な表札作りをしない。
カード寄せされたセットには、表札作りが容易な場合と非常に難しい場合があります([2]129pに“表札作りの難しさ”を事例で分かりやすく説明してあります)。難しい場合は、気軽にカード寄せに戻り、次の機会に再挑戦するとよいでしょう。
【ポイント 5】作りなおしを躊躇しない。
一度束ねたカードをばらして中身を確認するような必要が生じた場合は、表札の役目を果たしていないので、躊躇せず作りなおすのがよいでしょう。
【ポイント 6】表札の文字の色は変える。[1](70p-71)
これはデータの統合の歴史を示す表札がどの次元の統合かが分かると解析しやすいからで、筆者は、オリジナルデータに一番近い1次の表札は、注目度を高める意味で“赤”を採用しています。
次回は、Step 9: グループ編成から解説を続けます。
【参考文献】
[1]「続・発想法」中公新書No.126
[2]「KJ法 」中央公論社
[3]「発想法」中公新書No.136
[4]「管理者・スタッフの新QC七つ道具」日科技連出版