【目次】
第4章 親和図法の使い方 ←今回
第5章 マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章 マトリックス図法の使い方
第7章 系統図法の使い方
第8章 アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章 PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方
新QC七つ道具:第4章 親和図法の使い方
4.2 混沌解明のための親和図法の基本的ステップ
Step 7: カード寄せ
Step 6の後半では既に感じはじめますが「このカードは、このカードと、いわんとするところ(志)が近い」というものが見えてくるので、どちらかをどちらかに近づけてセットするのです。[1](126p)こ場合の“近い”は、“情念(論理的に意識する以前の感じ)”によるもので、言葉を換えると、“左脳”ではなく“右脳”の働きによるものです。[2](98p)
【ポイント 1】無理なカード寄せをしない。
このステップは、次の表札作りのステップと交互に繰り返しつつ、最終のグルーピングに至るつもりでおればよく、決して無理なカード寄せはしないことが肝心です。
【ポイント 2】一匹狼を大切にする。
また、最後まで孤立したままのカード、いわゆる“一匹狼”の存在が気になり、何とかくっつけようとしがちですが、1匹でいることにそれ相応の根拠があるので、無理に他のグループに押し込んだりしてはいけないのです。
1枚が1グループと考えてグルーピングしておけば、最終的に高次のグループに取り込まれるものです。[3](62p)全体のデータ数の1割くらいの一匹狼が残ることは珍しくないのです。[3](66p)
【ポイント 3】4枚集まったら警戒する。
このステップで、親近感によって集まってくるカードは、せいぜい3枚で、4枚集まったら、絶対あり得ないというわけではないのですが、分類や、キーワード寄せになっていないか、一応警戒してみる方がよいでしょう。
【ポイント 4】所要時間のめど。
このステップは、川喜田氏でさえ、「BS結果を前にまとめきれるかどうかの不安感に襲われた」との言[4](86p)があるように、遅々として進まぬ作業の中で、過ぎ行く時間に焦りを感じ、本来の目的(データをもとにした発想)を忘れてカード寄せが目的化し、無理なカード寄せ(キーワードや既成概念による分類など)に走る傾向があります。
それを抑え、本来のカード寄せの続行を支えるものの1つに“そうか、そんなに時間のかかるものなのか。それならまだたっぷり時間があるから大丈夫かな?”と思わせる“所要時間のめど”があります。川喜田氏は、最初のころは、数十枚から百数十枚のデータで12時間くらいかかるだろうとしています。[4](120p)
これは、仮にデータ数を50~150とすると、データ当たりの所要時間が4.8 ~14.4分になりますが、筆者の数例目(1N7研から10年後)の計測結果(データ数83で406分、すなわちデータ当たり4.9分)とも合致するもので、一応のめどになると思われます。
また、川喜田氏は、熟練を重ねることによる時間短縮の限界として、データ数690の事例をあげて、カード作りの時間(含資料探し)を含めてデータ当たり2.6分、純粋なカード寄せ時間は0.52分としています(B209-210)ので、合わせて参考に願います。
【ポイント 5】背水の陣で取り組む。
上述のめどを知っても、かえって不安が増す読者もおられると思いますが、「思いきって背水の陣をしいてみると、案ずるより生むがやすしということになる」[4](121p)という川喜田氏の言に、筆者もまったく同感です。ただし、問題は、“背水の陣”です。
N7を活用して事に当たろうという状態の職場は、たいていの場合、混沌が生む当面の問題対応に多忙を極めているのが普通で“そんなに時間をかけるわけにはいかないよ”ということになりがちです。その場合、スタッフが個人的な“背水の陣”(筆者の場合“1N7研の卒業生としての責務”)を設定して、挑戦することになります。
当然のことながら個人的な時間を使っての挑戦となりますが、混沌からの脱出に際し、真の競争力を生む結論に至る背景には、このような強い問題意識と執念を持った個人やグループが、必ず存在するものです。“やれることをやれるだけやり、少しでも進歩すればよし”とするグループでは、親和図法を活用しても、そのよう...