基本ステップ 新QC七つ道具: PDPC法の使い方(その7)

 
【目次】
序論   ←掲載済
第1章  混沌解明とN7(新QC七つ道具)←掲載済
第2章  挑戦管理とN7の選択←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←掲載済
第4章  親和図法の使い方 ←掲載済 
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方←今回
第10章 PDCA-TC法の使い方
 

第9章 PDPC法の使い方

 

9.4 挑戦管理のためのPDPC法の基本ステップ

 
 

9.4.2. 不測事態への対応計画立案のためのPDPC法(D型)の基本ステップ

 
 前回のStep3 開発計画のサクセスストーリーを描くに続いて解説します。
 

【Step 4  PDPC(Ⅰ)の作成】

 
 Step 3までの趣旨を生かして自由に作成すればよいのですが、パターンのサンプルを図9-5に示します。記入サンプルは、次のような架空プロジェクトをモデルにしています。
 

【架空プロジェクトの説明】

 
・挑戦内容 :技術Aは必須、独自技術Bで差別化
・開発期限 :年内開発完了厳守(技術内容よりも期限を優先)
・節目 :技術A、Bそれぞれに対する評価試験各1回
・想定結果1 :成功(技術A、B双方採用)
       2 :技術Bは、第1段階のみ採用
       3 :技術Aのみで、技術Bは不採用
・特記事項 :評価試験A 2用サンプル製作に金型(納期1カ月)が必要
 
 
図9-5 D型PDPCの書き方(節目2、結果3)
 

【図9-5 D型PDPCの説明】

 
 このPDPCは、Step1~3で説明したことは一通り含まれています。項目を選んで次に補足説明をします。
 

ⅰ) 特記事項「評価試験A 2用サンプル製作に金型(納期1カ月)必要」

 
 この情報は貴重です。確率はともかく、評価試験A1がNGとなってからでは、1カ月間の手待ちになってしまうのです。少なくとも、アロー・ダイヤグラム法での時間短縮手段の1つ“時間差並行作業”などを念頭に、後述する“推定発生確率”も視野に入れて事前検討を十分行い、A1がNGになったときの手待ちを避ける工夫が必要です。PDPC法は、このようなことを可能にする手法です。
 

ⅱ) “判断ボックスb 1”から“結果2”への「点線矢印」

 
 挑戦計画が新製品に絡む場合には納期があるので、挑戦内容と時間の妥協を余儀なくされる場合が多いのです。判断ボックスb1からの点線矢印は、評価試験BがNGとなったときのタイミングによっては、技術Bの採用を諦める決断もあり得ることを示しています。
 

ⅲ) “評価試験A2”および“評価試験B2”の結果が「NG」のとき

 
 “評価試験A2”と“評価試験B2”の結果が「NG」のときは、判断ボックスなしで、前者は“失敗”へ、、後者は技術Bの採用を諦める“結果3”へ矢線が引かれています。これが、Step2の最後にある説明「開発者が“NG判断ボックス”への記載事項が種切れになった時点」であり、PDPCのステップが終わるときです。判断ボックスなしの場合、通常矢線は「失敗」へいくが、“評価試験B2”の結果が「NG」の場合は開発方針から、必須の技術Aだけの採用となります。
 

ⅳ) 各節目ボックスに至る“推定発生率”の算出

 
 オリジナルの説明で、表9-3(PDPCの10の特性)の「No.7厳密性」で、「数値さえ手に入れば確率計算もできる厳密性がある」という点について説明します。ⅰ)の項で、金型の先行手配をどうするかの判断を下す際、欲しいのが評価試験A1でNGになる推定確率です。確率そのものの信頼性は議論の余地はありますが、確率計算に必要な表9-5のような推定発生率を開発者と決める過程で、だいたいの確度が分かるものです。ここでは、各評価試験結果の発生確率を下表のように推定します。
 
表9-5 各試験結果の推定確率表 
 
 
 上記の確率をあらゆるケースに代入して算出すると、4つの結果の推定発生率は表9-6のようになります。
 
表9-6 結果の推定発生確率
 
 
 ちなみに、評価試験A2でNGになる推定確率は、0.0002です。前提条件に異論もあるでしょうが、PDPCはこのような計算結果の上...
に立った判断ができる厳密性を持っています。
 
 次回は、Step 5から、解説します。
 
【関連解説:新QC七つ道具】

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