実践!技術マネジメント:7つのプロセスと35のチェックポイント

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 技術開発マネジメントの手法で、筆者が実践してきた主なものをチャート化すると図1のようになり、マーケティング戦略、発想法(TRIZ)、意思決定法(KT法、経済性工学)、動機づけ手法などがあります。筆者は、ステージゲート法やプロジェクトマネジメント法が確立されていない1970年代後半ころから、電気メーカーにて、新しい技術開発マネジメント手法を模索してきました。具体的には、KT法、経済性工学およびプロジェクトマネジメントの基本をベースに、技術開発品質向上のため、仕事の進め方の改革を試行したわけです。その後、米国ドキュメントカンパニーのシステマチックな開発手法に出会い、それも体験できました。自分の仕事のやり方に米国流マネジメント手法の長所も取り入れ、マーケティング、TRIZ、リスクマネジメントなどの考え方も付加して、さらに進化させてきたのです。

 技術マネジメントの7つのプロセス

 図1 技術マネジメント7つのプロセスの構成要因

 これまでの成功例と失敗例の教訓などで改訂しながら活用してきた行動指針が、下に挙げる技術マネジメント7つのプロセスと35のチェックポイントです。 

 

1. 状況・課題を正確に認識する  『分かったつもりになっていないか』

① 何か気になること、放っておけないことはないか?

② "あるべき姿"を考えたか?

③ 目的展開して"真の目的"を確認したか?

④ 事実と意見、推測を分けているか?

⑤ 不足情報は他にあるか?

 

2. 優先課題を明確にする   『いの一番にやるべきことは何か』

① 課題は明確になっているか?

② どうしてもやらなければいけないことは何か?

③ 自分しかできないこと、他人にまかせられることは何か?

④ 重大性、緊急性で切り分けてみたか?

⑤ 問題点は将来拡大傾向にあるか、減少傾向にあるか?

 

3. 起こった問題について論理的に考える   『先入観にとらわれていないか?結論を急ぎ対策にジャンプしようとしていないか』  

① どんな問題が起きているか?

② なぜなぜ展開して"根本原因"を確認したか?

③ 何が、いつ、どこで、どれくらい起きているか?

④ 起きている条件(範囲)と起きていない条件(範囲)を区別したか?

⑤ 想定した原因で、起こったこと、起きなかったことを確認したか?

  

4. 目標のコンセンサスづくりをする   『何を目的・目標としようとしているのかメンバーと共通認識ができているか』

① どんな成果を、いつまでに、どの程度達成したいか?

② MUST条件/WANT条件に分けたか?

③ 目標のウエイト付けをしたか?

④ 経営資源をどの程度投入できるか、また、制約条件は何か?

⑤ 何を決めるか定義しているか?

 

5. 案の作成と最適の方策を選択する   『なるほど!と膝をうてるか案か』

① お客様は誰で、ニーズは何かを確認したか?

② 斬新な案か、あるいは、競争に勝てる案か?

③ 選択基準を明確にしているか?

④ 投資効果算出は、これから発生する費用の比較で考えているか?

⑤ 案のリスクを列挙しているか?

 

6. その方策について実施計画を作成する   『段取りはきちっとできているか』

① いつまでに、どんな目的を達成するために、どんな計画を立てているか?

② 実施計画プロセスに抜けはない...

 技術開発マネジメントの手法で、筆者が実践してきた主なものをチャート化すると図1のようになり、マーケティング戦略、発想法(TRIZ)、意思決定法(KT法、経済性工学)、動機づけ手法などがあります。筆者は、ステージゲート法やプロジェクトマネジメント法が確立されていない1970年代後半ころから、電気メーカーにて、新しい技術開発マネジメント手法を模索してきました。具体的には、KT法、経済性工学およびプロジェクトマネジメントの基本をベースに、技術開発品質向上のため、仕事の進め方の改革を試行したわけです。その後、米国ドキュメントカンパニーのシステマチックな開発手法に出会い、それも体験できました。自分の仕事のやり方に米国流マネジメント手法の長所も取り入れ、マーケティング、TRIZ、リスクマネジメントなどの考え方も付加して、さらに進化させてきたのです。

 技術マネジメントの7つのプロセス

 図1 技術マネジメント7つのプロセスの構成要因

 これまでの成功例と失敗例の教訓などで改訂しながら活用してきた行動指針が、下に挙げる技術マネジメント7つのプロセスと35のチェックポイントです。 

 

1. 状況・課題を正確に認識する  『分かったつもりになっていないか』

① 何か気になること、放っておけないことはないか?

② "あるべき姿"を考えたか?

③ 目的展開して"真の目的"を確認したか?

④ 事実と意見、推測を分けているか?

⑤ 不足情報は他にあるか?

 

2. 優先課題を明確にする   『いの一番にやるべきことは何か』

① 課題は明確になっているか?

② どうしてもやらなければいけないことは何か?

③ 自分しかできないこと、他人にまかせられることは何か?

④ 重大性、緊急性で切り分けてみたか?

⑤ 問題点は将来拡大傾向にあるか、減少傾向にあるか?

 

3. 起こった問題について論理的に考える   『先入観にとらわれていないか?結論を急ぎ対策にジャンプしようとしていないか』  

① どんな問題が起きているか?

② なぜなぜ展開して"根本原因"を確認したか?

③ 何が、いつ、どこで、どれくらい起きているか?

④ 起きている条件(範囲)と起きていない条件(範囲)を区別したか?

⑤ 想定した原因で、起こったこと、起きなかったことを確認したか?

  

4. 目標のコンセンサスづくりをする   『何を目的・目標としようとしているのかメンバーと共通認識ができているか』

① どんな成果を、いつまでに、どの程度達成したいか?

② MUST条件/WANT条件に分けたか?

③ 目標のウエイト付けをしたか?

④ 経営資源をどの程度投入できるか、また、制約条件は何か?

⑤ 何を決めるか定義しているか?

 

5. 案の作成と最適の方策を選択する   『なるほど!と膝をうてるか案か』

① お客様は誰で、ニーズは何かを確認したか?

② 斬新な案か、あるいは、競争に勝てる案か?

③ 選択基準を明確にしているか?

④ 投資効果算出は、これから発生する費用の比較で考えているか?

⑤ 案のリスクを列挙しているか?

 

6. その方策について実施計画を作成する   『段取りはきちっとできているか』

① いつまでに、どんな目的を達成するために、どんな計画を立てているか?

② 実施計画プロセスに抜けはないか?

③ 重大な影響を与えそうな領域はどこか?

④ 将来起きそうなリスクを列挙したか?

⑤ リスクの対応策を考えたか?

 

7. 実施後、結果のレビューをする  『次の仕事の時はこうしようというものをまとめているか』

① 目標の達成度を明確につかめているか?

② 結果に対するフォロー体制は準備できているか?

③ 成果をあげた人を褒めてあげたか?

④ 成果が出なかった原因を分析し、成果の出なかった人を励ましたか?

⑤ 次のステップへの教訓を整理したか?

 

以上、参考になれば幸いです。

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この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

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