工場の機能と生産形態

投稿日

 

生産マネジメント

1. 工場の機能

 ものづくりをしている製造業では規模の大小は別として工場があります。営業や企画、顧客からの要求 に基いて設計を行い、材料を仕入れて作りテストして出荷することを行っています。会社の規模、業態などによっては設計は別部門が担当する、出荷後の運用保守も別の組織や会社が行うなどのこともありますが、概ね以下の様な組織が存在しています。

  ・設計
  ・生産技術・生産管理
  ・調達・購買
  ・試験・品質管理
  ・品質保証

 また企業も大きくなると製造原価管理の必要上経理機能も必要ですが、全社共通部門で兼務していることも多いです。ISO9001を取得した会社であれば 各組織のミッションを明確にしていることでしょう。中小企業では、これら業務が兼務されている場合もあるかもしれませんが、ここではひとまず上記のようなものと考えます。

2. 生産の形態 

 生産形態には見込み生産、受注生産などの形態があり、細かく言うとさらに細分化することができます。受注生産でも受注案件ごとにゼロから設計して作る個別受注設計の場合もあれば、設計はほぼ同じで受注ごとに繰り返し生産する場合などです。私は量産型の製品と受注生産型の両方の経験がありますが、どちらにもそれぞれの特徴、課題があります。

【生産形態による特徴と課題】

(1) 見込み生産

 日用品などのようにある一定量の需要が見込める場合に需要予測して原材料を仕入れて生産するため、需要予測の精度がポイントになる。毎年の生産傾向などから、変動要素をどう見込むかがキーになるが、毎月、毎週の需要見込みを生産・販売・在庫の数量を見ながら調整している。

(2) 受注生産

 受注時に顧客や企画部門からの仕様を定義し、設計・製造する。設計中に仕様変更や追加などの要求を受けるケースが多く、コストや納期のコントロールをしながら出荷時期に所定の品質とコストをいかにキープしてゆくかがポイントになる。

3. 接近する見込生産と受注生産 

 受注生産と見込み生産。自分のメーカ人生の中でこの両者の製品に関わってきましたが、面白いことに年々これらは近づきつつあるように感じます。作れば売れた時代は過ぎやがてモノ余りのご時勢になり、当たり外れが大きくなってくるとデルのパソコンで有名になったBTO(Build To Order)のように注文確定してから作る形態になりました。もちろんそのためには部品やモジュールはある程度在庫することになりますが、大量生産の頃よりは在庫リスクは減ります。

 一方、一品受注生産も繰り返し生産的なものに変わっています。注文内容が確定してからでないと必要な用品の手配もできないので、仕様が全部決まってから出ないと作れないはずです。昨今はリードタイムが長くなること自体がリスクとなってきたため、買い手が欲しいというタイミングで素早く作って出荷しないと機会損失になり、また長くかかるとその間の人の費用がかかりコストも上がってしまうので、繰り返し生産を指向するようになってきたのだと思います。

 こ...

 

生産マネジメント

1. 工場の機能

 ものづくりをしている製造業では規模の大小は別として工場があります。営業や企画、顧客からの要求 に基いて設計を行い、材料を仕入れて作りテストして出荷することを行っています。会社の規模、業態などによっては設計は別部門が担当する、出荷後の運用保守も別の組織や会社が行うなどのこともありますが、概ね以下の様な組織が存在しています。

  ・設計
  ・生産技術・生産管理
  ・調達・購買
  ・試験・品質管理
  ・品質保証

 また企業も大きくなると製造原価管理の必要上経理機能も必要ですが、全社共通部門で兼務していることも多いです。ISO9001を取得した会社であれば 各組織のミッションを明確にしていることでしょう。中小企業では、これら業務が兼務されている場合もあるかもしれませんが、ここではひとまず上記のようなものと考えます。

2. 生産の形態 

 生産形態には見込み生産、受注生産などの形態があり、細かく言うとさらに細分化することができます。受注生産でも受注案件ごとにゼロから設計して作る個別受注設計の場合もあれば、設計はほぼ同じで受注ごとに繰り返し生産する場合などです。私は量産型の製品と受注生産型の両方の経験がありますが、どちらにもそれぞれの特徴、課題があります。

【生産形態による特徴と課題】

(1) 見込み生産

 日用品などのようにある一定量の需要が見込める場合に需要予測して原材料を仕入れて生産するため、需要予測の精度がポイントになる。毎年の生産傾向などから、変動要素をどう見込むかがキーになるが、毎月、毎週の需要見込みを生産・販売・在庫の数量を見ながら調整している。

(2) 受注生産

 受注時に顧客や企画部門からの仕様を定義し、設計・製造する。設計中に仕様変更や追加などの要求を受けるケースが多く、コストや納期のコントロールをしながら出荷時期に所定の品質とコストをいかにキープしてゆくかがポイントになる。

3. 接近する見込生産と受注生産 

 受注生産と見込み生産。自分のメーカ人生の中でこの両者の製品に関わってきましたが、面白いことに年々これらは近づきつつあるように感じます。作れば売れた時代は過ぎやがてモノ余りのご時勢になり、当たり外れが大きくなってくるとデルのパソコンで有名になったBTO(Build To Order)のように注文確定してから作る形態になりました。もちろんそのためには部品やモジュールはある程度在庫することになりますが、大量生産の頃よりは在庫リスクは減ります。

 一方、一品受注生産も繰り返し生産的なものに変わっています。注文内容が確定してからでないと必要な用品の手配もできないので、仕様が全部決まってから出ないと作れないはずです。昨今はリードタイムが長くなること自体がリスクとなってきたため、買い手が欲しいというタイミングで素早く作って出荷しないと機会損失になり、また長くかかるとその間の人の費用がかかりコストも上がってしまうので、繰り返し生産を指向するようになってきたのだと思います。

 これを実現するためには、部品やモジュールなどを共通化してあらかじめ中間材としてストックしておき、注文がきたらそれらを用いて最終製品を作るということになります。故に半完成品在庫を持つことになります。どちらも製品、業種のニーズや環境が変わりそれぞれが持つリスク要因に対処するために変化してきたのですが、在庫リスクが共通項として 残ることになるわけです。ということで究極的には見込み手配する部分はなくならない。ジャストイン生産だといってもリスクをサプライヤーに外出しするだけで、誰かが在庫リスク(もしくは機会損失)を引き受けることに変わりはありません。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石田 茂

ものづくりの基本は人づくりをモットーに、技術者の持つ力を会社の組織力につなげるための仕組みづくりの伴奏支援を行います。

ものづくりの基本は人づくりをモットーに、技術者の持つ力を会社の組織力につなげるための仕組みづくりの伴奏支援を行います。


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
中国と日本企業の違いとは 中国工場の品質改善(その56)

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...

【中国工場の品質改善 連載全84回から各章の冒頭ページ 】 【第1章】中国進出での失敗事例 【第2章】中国工場の実状を知る 【第3章】中国工...


製造現場は赤ちゃんと同じで手間が掛かるもの 作業環境:5S、ムダ(その3)

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「作業環境:5S、ムダ」をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留...

   工場の経営者から現場の従業員の方を対象として「作業環境:5S、ムダ」をテーマに連載で解説します。固定観念を打ち崩しながら現場改善に留...


商売繁盛に向けた「ものづくり改善」(その2)

    【商売繁盛に向けた「ものづくり改善」連載目次】 1. 視座の高さを変えて「流れ」を見る 2. 製造―営業 連携 ...

    【商売繁盛に向けた「ものづくり改善」連載目次】 1. 視座の高さを変えて「流れ」を見る 2. 製造―営業 連携 ...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
自ら行う金型設計と製作 伸びる金型メーカーの秘訣 (その24)

 今回、紹介するプレスメーカーは、株式会社 Vです。同社は、主に自動車部品のプレス量産加工を行っており、60tプレスから300tまでの単発・順送型いずれも...

 今回、紹介するプレスメーカーは、株式会社 Vです。同社は、主に自動車部品のプレス量産加工を行っており、60tプレスから300tまでの単発・順送型いずれも...


当たり前のことも知らなければできないことを認識せよ 中国企業の壁(その8)

1. 当たり前のことも知らなければできないことを認識せよ  ある時取引先に品質が良くないと言うクレームの文書を一斉に配布することになりました。文面は...

1. 当たり前のことも知らなければできないことを認識せよ  ある時取引先に品質が良くないと言うクレームの文書を一斉に配布することになりました。文面は...


赴任者のために 中国工場管理の基本事例(その8)

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)  前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その5)に続いて解説します。 ◆...

1、赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その6)  前回の赴任者のための現地・中国人社員のマネジメント(その5)に続いて解説します。 ◆...