ベテランから若手への伝承は、ときに企業の存続にも影響を与えます。少子高齢社会において高齢者と若手、中堅社員はどのように事業継承に対応すべきなのでしょうか。企業を活性化し伝承を進めるための組織的な取り組み方について、連載で解説します。
1. 企業を取り巻く伝承の実態:先送りされた伝承
多くの企業で、中長期目標の一つに伝承を挙げていますが、思うように進んでいないのが実状です。少子高齢化のなかで、働き方改革やIT導入による分業化などで業務が効率化され、伝承に割ける時間的余裕がなくなり、今まで再雇用や雇用延長で対応してきたのです。つまり目先の売り上げや利益を重視し、伝承が先送りにされてきました。
また、伝承を積極的に進めている企業でも、熟練者の経験や知識を全て伝承しようとするあまり、伝承者・継承者・伝承推進者の思いが異なり、スムーズに進んでいないケースもあります。
例えば、2007年当時、先進的な企業として取り上げ...