ベテランから若手への伝承は、ときに企業の存続にも影響を与えます。少子高齢社会において高齢者と若手、中堅社員はどのように伝承に対応すべきなのでしょうか。企業を活性化し伝承を進めるための組織的な取り組み方について、連載で解説します。
前回のその2に続いて解説します。
3. 伝承成功のポイントと備え方
今回は、伝承を成功に導くための施策を考えてみます。
(1)技術と技能に分けて考える
伝承を成功させるポイントの1つは、技術と技能に分けて考えることです。技術とは、図面や数値などで形式知化することにより伝承が可能なもの、一方技能は、人が行う働きや動きなど人を介在し伝承できるものと定義しています。作業分解により技術と技能を識別することができれば、技術は誰でも仕事ができるよう標準化・自動化します。技能は付加価値を生み出すものとして個人に帰属させ、さらに技能を磨いていくのです。このように技術と技能に切り分けて対策を行うと、若者には技術を効率的に伝え、体力が落ちてくる熟練者には技能部分に特化して作業してもらい、長く付加価値を発揮し続けてもらうことが可能と...