1.人間は欲求の賜物
商品開発は顧客要望を従順に取り入れ、さらに改良することによって、新しい価値が生まれます。
・ 顧客要望 = 顧客価値
人間は欲求の生き物ですので、大きな要望の方が、大きな顧客価値になります。欲求を満たすだけでなく、その上の要望はないかを模索します。
マズローの欲求五段階説では、次のように欲求は高くなります。
- 第一段階:生理的欲求:生きていくために必要な、基本的・本能的な欲求。
- 第二段階:安全欲求:安心・安全な暮らしへの欲求。
- 第三段階:社会的欲求:社会から受け入れられたい欲求。
- 第四段階:自我欲求:他者から尊敬されたい、認められたいと願う欲求。
- 第五段階:自己実現欲求:自分の世界観・人生観に基づいて、「あるべき自分」になりたいと願う欲求。
電話を例に挙げますと、次のように欲求は高くなります。
- 生理的欲求:電話以前の通信。
- 安全欲求:固定電話の時代、他の家に電話を借りる時代。
- 社会的欲求:固定電話1軒に1台の時代。
- 自我欲求:携帯電話、個人1人に1台。
- 自己実現欲求:電話機能以外の機能、スマートフォン。
電話の例を挙げましたが、現代モノが満ちあふれている時代ですので、次期スマートフォンに求めるものはないと思われがちです。
しかし、iPhoneの新製品が紹介されるたびに、最新技術を取り入れた機種であることは間違いありません。非常に魅力ある商品です。だから、もうスマートフォンには新たな機能は存在しない、と決めつけるのは間違いです。
マズローの欲求五段階説にあるように、人間はさらなる自分の価値観に対して、どうしたいかを考えるのです。つまり、最新機種でも発売されるとその製品がすべて欲求を満たすものではなくなるのです。
私も経験がありますが、最新のiPhone10では、性能が良くなったことは認めましたが、大きさが馴染まない、電池の持ちが悪いなど、直ぐに別の欲求が生まれたことを思い出します。
このように必ずといって不満、要望が出てきます、この顧客要求を愚直に取り入れていけば、新たな価値になるのです。
2.顕在ニーズと潜在ニーズ
顧客要望には、顕在と潜在ニーズがあります。
- 顕在ニーズは顧客が既に認知しているニーズ。「こんなの欲しい」。
- 潜在ニーズは顧客は知らないが欲しているニーズ。「こんなのあったんだ」。
目標は顧客の潜在ニーズを発掘し、提案することです。顧客の要望を先取りすることを目指しましょう。
3.潜在ニーズ発掘の必要性
潜在ニーズは顧客も知らないニーズです。どう発掘するかが鍵となります。そのためには顧客に寄り添い、顧客の実態を知ることです。できるならば、顧客の現場に入り込んで同じ生活をします。その生活の中から、顧客の価値観を実現する要求を見つけることです。
生活現場には入れない状況であれば、顧客に気になった点をSNSを通じて、写真、動画、その時の気持ちを送ってもらうことがよいでしょう。最近はSNSをツールとして使い、顧客価値を創造することが簡単になりつつあります。
4.潜在ニーズと顧客価値
潜在ニーズの例として、危機的緊急状況の中での顧客価値を解説します。
9月8日(日)千葉県で台風災害が起きました。10日も経過してもまだ停電し、断水もしているところがありました。台風が広範囲に被害をもたらすことを改めて認識しました。自然災害は、マズローの欲求五段階説でいえば、生理的欲求や安全欲求が満...
そんな中、脚光を浴びているのが電気自動車やキャンピングカーです。蓄電池にて家電製品が使えるようになります。コンセントが使えるので電源が確保できます。電力会社が電源確保のために電気自動車を派遣して、スマートフォンの充電箇所に解放しました。
また、避難場所での窮屈を解放したいために、足を伸ばせるワンボックスカーもニーズがありました。座席を倒せば、背筋を伸ばしたりでき、簡易ベットになるものもあります。自然災害は最小限の被害に押さえたいのは事実ですが、例は良くないかも知れませんが、危機的緊急状況の中でこそ、潜在ニーズが生まれる面もあり、その中で欲しいものは顧客価値に直結します。
安心安全を満たす欲求は大きな顧客価値を生み出すと改めて認識します。