中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その33)

 前回のその32に続いて解説します。

【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方

【3.2 中国工場のABC】

 「中国工場のABC」、これはいったい何だとお思いになったでしょう。中国工場の管理、品質管理をさらに噛み砕いて言うと、これになります。中国工場のABCとはちょっとした語呂合わせですが、中国工場はこれがすべてと言っても過言ではありません。

 要するに当たり前のことがちゃんとできていればそうそう問題は起きない訳です。その当たり前のことをバカみたいに愚直にやる、これが大事だということです。当たり前のことがちゃんとできていないのが中国工場の現状なのです。

 読者の方も、このABCという視点で中国工場を見てください。違った側面を見ることが出来ると思います。では、当たり前のことが出来るようにするにはどうしたらよいでしょうか。

 その前に先ず、当たり前のことを日々実践しなくてはならないのは誰かを考えます。

 総経理や工場長でしょうか?

 違いますね。当たり前のことを日頃実践しなければいけないのは、現場の班長さんたちであり、作業者たちです。このことからも現場の管理者や作業者への教育がいかに重要かわかっていただけると思います。

【3.3 中国工場は日本工場の欠点を映し出す鏡】

 これもいったい何のことだろうと思われたことでしょう。とにかく、以下の文章を読んでみてください。

 「日本では組織の暗黙知と、個人の能力や犠牲の下に、ルール化せずとも回っている仕組みが多い。その工場の表面の仕組みだけを中国に持っていっても、何故か回らない。どこかに欠陥が出る。日本で上手く回っているだけに、仕組みの欠陥が何処にあるのか分析した事がない。分析しようにも暗黙知・個人知の部分で、見えない人には見えない仕組みだから、分からない」

 どうですか?これは北京で総経理をやっていた知人が言っていたのです。

 簡単に解説すると、これは、工場の全体、そして個々の仕組みについて言っているものです。日本の仕組みをそのまま持っていってもうまく回りません。なぜかと言えば、日本では従業員個人の能力や従業員の犠牲精神があって回っているのであって、そうしたものがない中国で日本と同じように回ることはないのです。中...

国でうまく回らなかったときに、その仕組みのどこを変えればよいかを見つけようにも、暗黙知・個人知となっているので、その本質を分かっている人でなければ見つけることはできないということです。

 これを読んで「なるほど」と思われた方もいるのではないでしょうか。まさに中国工場の正鵠を射ていると思います。

 次回【3.4 三つの歯車の実践で管理された工場にする】に続きます。

【出典】根本隆吉 著 「中国工場の品質改善」 日刊工業新聞社発行 筆者のご承諾により、抜粋を連載

◆関連解説『生産マネジメントとは』

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