IPランドスケープとは(その2)

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知的財産マネジメント

【目次】

1、企業の知財活動について・・・IPランドスケープとは(その1)に記載。

  • (1) IPランドスケープとパテントマップ、技術戦略
  • (2) IPランドスケープは誰の活動なのか?
  • (3) IPランドスケープの活動主体
  • (4) IPランドスケープに取り組む知財部の実施事項
  • (5) 最初は、需要の喚起(ニーズを起こすこと)です。
  • (6) 次は、特許情報等の分析の標準化・リエゾン育成です
  • (7) その次は、高度な意思決定の支援です

2、IPランドスケープという用語について ←【今回】

  • (1)「IPランドスケープ」という用語の語源
  • (2) 知財スキルスタンダートでのIPランドスケープ
  • (3) 日経新聞でのIPランドスケープ
  • (4) IPランドスケープは登録商標

2、IPランドスケープという用語

(1)「IPランドスケープ」の語源

 IPランドスケープの語源はほとんど知られていませんが、造語であると思われます。当社では以下のように定義しています。【当社定義】「IPランドスケープとは、競争優位をつくるために知財情報を有効活用すること」です。

 2019年現在ではIPランドスケープは、知財部が主導またはサポートする研究開発部門における技術戦略策定のための意思決定支援活動を指す言葉として理解されています。

(2) 知財スキルスタンダートでのIPランドスケープ

 2017年、特許庁の公表した知財スキルスタンダードで「IPランドスケープ」が登場します。「IPランドスケープ」という用語は、特許庁が最初に発表したのかどうかは分かりませんが、企業経営者にとってはどうでも良いことです。

【特許庁による知財スキルスタンダードの説明】

 知財人材スキル標準(以下、「知財スキル標準」)は、企業における知的財産の創造・保護・活用に関する諸機能の発揮に必要とされる個人の知的財産に関する実務能力を明確化・体系化した指標であり、知財人材育成に有用な「ものさし」を提供しようとするものです。知財スキルスタンダードでは、IPランドスケープのスキルは以下のように定義されています。

 次の事項について事業部門/知的財産部門/研究開発部門と連携し業務を行うことができる。

①ミッションおよび貢献すべき課題

  • 事業への貢献を行うため、以下の全社的課題について貢献した
  • 新規事業の創出
  • 既存事業の維持/成長
  • 既存事業の縮小/撤退

②業務内容

 以下の業務を複数回成功裡に行った。

  • 知財情報と市場情報を統合した自社分析、競合分析、市場分析
  • 企業、技術ごとの知財マップ及び市場ポジションの把握
  • 個別技術・特許の動向把握(例:業界に大きく影響を与えうる先端的な技術の動向把握と動向に基づいた自社の研究開発戦略に対する提言等)
  • 自社及び競合の状況、技術・知財のライフサイクルを勘案した特許、意匠、商標、ノウハウ管理を含めた特許戦略だけに留まらない知財ミックスパッケージの提案(製品に対する市場でのポジションの提示、及びポジションを踏まえた出願およびライセンス戦略の提示等)
  • 知財デューデリジェンス
  • 潜在顧客の探索を実施し、自社の将来的な市場ポジションを提示する

③知識

 ●業務内容を実行するため、以下の知識を有している。

  • ビジネス(経営学の基礎理論等を含む)とそのトレンドに関する知識
  • オープン&クローズ戦略
  • 市場の視点からみた技術のトレンドに関する知識(IoT、AI、革新的製造技術・手法等)

④能力

 ●業務内容を実行するため、以下の能力を有している。

  ・自社の業界および関連する様々な業界の企業動向、技術動向を把握する能力
  ・競合等の特許出願動向や、特定技術からビジネス上のインパクトを把握する能力
  ・複数の技術・アイデアをパッケージ化して自社の将来戦略と整合させた上で提案する能力
  ・業務に有用な情報システムを適切に選択し活用することができる能力

⑤経験

  • 新規事業を担当した経験
  • M&Aに携わった経験
  • 経営戦略部門での経験

(3) 日経新聞でのIPランドスケープ

 日本経済新聞は2019年5月13日にIPランドスケープという用語について解説しています。

 ●IPランドスケープ

 IPはIntellectual Property(知的財産、知財)の略語で広い意味では、知財を生かした経営を指す。具体的には企業の知財部門が主体となり、自社や他社の知財を中心とした情報を市場での位置づけ、競合関係を含めて統合的に分析し、グラフや模式図を使って経営陣や事業担当者に戦略の切り口を提供する活動をいう。欧米の知財先進企業に定着しており、17年ごろから日本企業にも広がり始めた。【出典:日経新聞】

(4) IPランドスケープは登録商標

 なお、「IPランドスケープ」は登録商標となっています。登録6000370 (商願2017-059055) 商標権者 正林真之

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 お読みいただきありがとうございました。上記の通りIPランド...

知的財産マネジメント

【目次】

1、企業の知財活動について・・・IPランドスケープとは(その1)に記載。

  • (1) IPランドスケープとパテントマップ、技術戦略
  • (2) IPランドスケープは誰の活動なのか?
  • (3) IPランドスケープの活動主体
  • (4) IPランドスケープに取り組む知財部の実施事項
  • (5) 最初は、需要の喚起(ニーズを起こすこと)です。
  • (6) 次は、特許情報等の分析の標準化・リエゾン育成です
  • (7) その次は、高度な意思決定の支援です

2、IPランドスケープという用語について ←【今回】

  • (1)「IPランドスケープ」という用語の語源
  • (2) 知財スキルスタンダートでのIPランドスケープ
  • (3) 日経新聞でのIPランドスケープ
  • (4) IPランドスケープは登録商標

2、IPランドスケープという用語

(1)「IPランドスケープ」の語源

 IPランドスケープの語源はほとんど知られていませんが、造語であると思われます。当社では以下のように定義しています。【当社定義】「IPランドスケープとは、競争優位をつくるために知財情報を有効活用すること」です。

 2019年現在ではIPランドスケープは、知財部が主導またはサポートする研究開発部門における技術戦略策定のための意思決定支援活動を指す言葉として理解されています。

(2) 知財スキルスタンダートでのIPランドスケープ

 2017年、特許庁の公表した知財スキルスタンダードで「IPランドスケープ」が登場します。「IPランドスケープ」という用語は、特許庁が最初に発表したのかどうかは分かりませんが、企業経営者にとってはどうでも良いことです。

【特許庁による知財スキルスタンダードの説明】

 知財人材スキル標準(以下、「知財スキル標準」)は、企業における知的財産の創造・保護・活用に関する諸機能の発揮に必要とされる個人の知的財産に関する実務能力を明確化・体系化した指標であり、知財人材育成に有用な「ものさし」を提供しようとするものです。知財スキルスタンダードでは、IPランドスケープのスキルは以下のように定義されています。

 次の事項について事業部門/知的財産部門/研究開発部門と連携し業務を行うことができる。

①ミッションおよび貢献すべき課題

  • 事業への貢献を行うため、以下の全社的課題について貢献した
  • 新規事業の創出
  • 既存事業の維持/成長
  • 既存事業の縮小/撤退

②業務内容

 以下の業務を複数回成功裡に行った。

  • 知財情報と市場情報を統合した自社分析、競合分析、市場分析
  • 企業、技術ごとの知財マップ及び市場ポジションの把握
  • 個別技術・特許の動向把握(例:業界に大きく影響を与えうる先端的な技術の動向把握と動向に基づいた自社の研究開発戦略に対する提言等)
  • 自社及び競合の状況、技術・知財のライフサイクルを勘案した特許、意匠、商標、ノウハウ管理を含めた特許戦略だけに留まらない知財ミックスパッケージの提案(製品に対する市場でのポジションの提示、及びポジションを踏まえた出願およびライセンス戦略の提示等)
  • 知財デューデリジェンス
  • 潜在顧客の探索を実施し、自社の将来的な市場ポジションを提示する

③知識

 ●業務内容を実行するため、以下の知識を有している。

  • ビジネス(経営学の基礎理論等を含む)とそのトレンドに関する知識
  • オープン&クローズ戦略
  • 市場の視点からみた技術のトレンドに関する知識(IoT、AI、革新的製造技術・手法等)

④能力

 ●業務内容を実行するため、以下の能力を有している。

  ・自社の業界および関連する様々な業界の企業動向、技術動向を把握する能力
  ・競合等の特許出願動向や、特定技術からビジネス上のインパクトを把握する能力
  ・複数の技術・アイデアをパッケージ化して自社の将来戦略と整合させた上で提案する能力
  ・業務に有用な情報システムを適切に選択し活用することができる能力

⑤経験

  • 新規事業を担当した経験
  • M&Aに携わった経験
  • 経営戦略部門での経験

(3) 日経新聞でのIPランドスケープ

 日本経済新聞は2019年5月13日にIPランドスケープという用語について解説しています。

 ●IPランドスケープ

 IPはIntellectual Property(知的財産、知財)の略語で広い意味では、知財を生かした経営を指す。具体的には企業の知財部門が主体となり、自社や他社の知財を中心とした情報を市場での位置づけ、競合関係を含めて統合的に分析し、グラフや模式図を使って経営陣や事業担当者に戦略の切り口を提供する活動をいう。欧米の知財先進企業に定着しており、17年ごろから日本企業にも広がり始めた。【出典:日経新聞】

(4) IPランドスケープは登録商標

 なお、「IPランドスケープ」は登録商標となっています。登録6000370 (商願2017-059055) 商標権者 正林真之

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 お読みいただきありがとうございました。上記の通りIPランドスケープをまとめてきたのですが、前半部はほぼ完全に経営者目線で書いています。というのは、これが最も自然な姿だと考えるからです。知財業界では「知財戦略」とか「パテントマップ」などのバズワードが流行っては廃れていきましたが、IPランドスケープも同じでしょう。

 IPランドスケープが知財部のための活動になってしまうと必ず廃れるでしょう。意味がありません。研究開発部の需要喚起が肝要なポイントであり、技術戦略そのものです。目的のないままにマップを作っても経営者にとって意味がないからです。IPランドスケープに限らず企業経営の目的は一つです。顧客価値の創造。もう一歩具体化すると、こうなります。

 IPランドスケープの目的は競争優位の構築です。

 この競争優位の構築という目的に沿えばIPランドスケープだろうが、技術戦略だろうが、パテントマップだろうが呼び名はなんだっていいわけです。要は経営者が納得できるか。そして結果的に競争優位が作れるのか、これに尽きます。活動を始める際はバズワードに踊らされることなく、上記の目的をよく考えていただきたいと思います。

 【出典】株式会社 如水 HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

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この記事の著者

中村 大介

若手研究者の「教育」、研究開発テーマ創出の「実践」、「開発マネジメント法の導入」の3本立てを同時に実践する社内研修で、ものづくり企業を支援しています。

若手研究者の「教育」、研究開発テーマ創出の「実践」、「開発マネジメント法の導入」の3本立てを同時に実践する社内研修で、ものづくり企業を支援しています。


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