水素協議会 水素エネルギー社会(その6)

更新日

投稿日

水素協議会

◆水素エネルギー社会 連載目次

 

♦ 水素エネルギー社会はアジアの時代!?

 今回の水素エネルギー社会に関するお話は、国際組織の「水素協議会」についてです。この協議会は2017年、ダボスで開催された世界経済フォーラムで発足し、この会合には様々な製造業・エネルギー企業のCEOならび、会長ら13人が参加しました。

 経済産業省のウエブサイトにも掲載があります。サマリー的な理解にちょうどいい内容です。トヨタ自動車のプレスリリースでも何度か取り上げられています。例えば、発足から1年で参加企業が4倍になったことなどを伝えています。

 さて、この組織体がユニークな点をまとめます。

 まずはウエブサイトの言語です。国連関連のウエブサイトは、英語・フランス語・スペイン語・中国語が一般的です。しかしこの協議会は、英語・日本語・中国語・韓国語で言語対応しています。これからはアジアの時代という意味ではないでしょうが、この協議会のターゲット地域と構成メンバーを象徴していると感じてます。実は、この辺りにも、中国がFCV普及拡大と共に、水素エネルギーの方向に向かう伏線がみえていました。

 表は、2019年9月時点での参画企業を私なりに整理したものです。

 水素協議会

 

 ステアリングメンバーを私の着眼視点で色分けしました。赤字に示した企業は第一に注目すべき企業です。欧州の主要な重工業企業のエアバス、アルストム、テッセンクルップあるいはドイツのボッシュ、アジアではヒュンダイ自動車と中国の石油企業・シノペックの参加が目につきました。

 カーメーカーではヒュンダイやトヨタのほか、以前から燃料電池自動車・FCVを共同開発しているホンダとGM両社、ドイツのAudi、BMW、ダイムラーが参加しています。一方、日産をはじめとするフランス系やイタリア系は1社も参画していません。ディーゼル不正からの巻き返しをEVで計っているVWも参加していません。

 水色は水素エネルギーで拡大を狙う企業、石油からの転換を図る企業となっています。

...

水素協議会

◆水素エネルギー社会 連載目次

 

♦ 水素エネルギー社会はアジアの時代!?

 今回の水素エネルギー社会に関するお話は、国際組織の「水素協議会」についてです。この協議会は2017年、ダボスで開催された世界経済フォーラムで発足し、この会合には様々な製造業・エネルギー企業のCEOならび、会長ら13人が参加しました。

 経済産業省のウエブサイトにも掲載があります。サマリー的な理解にちょうどいい内容です。トヨタ自動車のプレスリリースでも何度か取り上げられています。例えば、発足から1年で参加企業が4倍になったことなどを伝えています。

 さて、この組織体がユニークな点をまとめます。

 まずはウエブサイトの言語です。国連関連のウエブサイトは、英語・フランス語・スペイン語・中国語が一般的です。しかしこの協議会は、英語・日本語・中国語・韓国語で言語対応しています。これからはアジアの時代という意味ではないでしょうが、この協議会のターゲット地域と構成メンバーを象徴していると感じてます。実は、この辺りにも、中国がFCV普及拡大と共に、水素エネルギーの方向に向かう伏線がみえていました。

 表は、2019年9月時点での参画企業を私なりに整理したものです。

 水素協議会

 

 ステアリングメンバーを私の着眼視点で色分けしました。赤字に示した企業は第一に注目すべき企業です。欧州の主要な重工業企業のエアバス、アルストム、テッセンクルップあるいはドイツのボッシュ、アジアではヒュンダイ自動車と中国の石油企業・シノペックの参加が目につきました。

 カーメーカーではヒュンダイやトヨタのほか、以前から燃料電池自動車・FCVを共同開発しているホンダとGM両社、ドイツのAudi、BMW、ダイムラーが参加しています。一方、日産をはじめとするフランス系やイタリア系は1社も参画していません。ディーゼル不正からの巻き返しをEVで計っているVWも参加していません。

 水色は水素エネルギーで拡大を狙う企業、石油からの転換を図る企業となっています。

 サポーティングメンバーをみてみましょう。青字のように風力発電の際、話題にした日本の総合商社は軒並み参加しています。また、橙色で示したBallard、Hexagonの2社は、カナダ・アメリカの水素タンクの開発製造メーカーです。

 この協議会のFCV普及目標は、2030年に1000万-1500万台、約10%の普及を狙ってます。

 次回は、JR東日本、水素燃料車両の開発・試験を発表についてです。

 

【出典】技術オフィスTech-T HPより、筆者のご承諾により編集して掲載

◆関連解説『環境マネジメント』

   続きを読むには・・・


この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング


「環境負荷抑制技術」の他のキーワード解説記事

もっと見る
東レ ~ FCV用CF増産、航空機からシフト 水素エネルギー社会(その4)

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...


炭素繊維の地域ごとにおける消費用途の差 水素エネルギー社会(その5)

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...


トヨタの水素エネルギー戦略 水素エネルギー社会(その13)

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...

◆水素エネルギー社会 連載目次 1. 燃料電池自動車開発 2. 船舶の次世代エネルギー源 3. 燃料電池自動車開発競争 4. 東レ ~ F...


「環境負荷抑制技術」の活用事例

もっと見る
【SDGs取組み事例】「働く喜びを」障がい者雇用続けて半世紀  日本理化学工業株式会社(神奈川県川崎市)

神奈川県川崎市で文具や事務用品の製造・販売などを行う日本理化学工業株式会社(代表取締役社長 大山 隆久氏)では、廃棄されるホタテ貝殻(かいがら)の粉末...

神奈川県川崎市で文具や事務用品の製造・販売などを行う日本理化学工業株式会社(代表取締役社長 大山 隆久氏)では、廃棄されるホタテ貝殻(かいがら)の粉末...


【SDGs取組み事例】創業118年、缶メーカーの覚悟を世間に示したい 側島製罐株式会社(愛知県海部郡)

「世界にcanを」。老舗缶メーカーの側島製罐株式会社(代表取締役・石川貴也氏)はこのほど、日本製鉄株式会社(東京都千代田区)が製造する低CO2鋼材を使...

「世界にcanを」。老舗缶メーカーの側島製罐株式会社(代表取締役・石川貴也氏)はこのほど、日本製鉄株式会社(東京都千代田区)が製造する低CO2鋼材を使...


【SDGs取り組み事例】「プラスチックの生涯設計」で持続可能な生産・消費社会目指す 本多プラス株式会社

一貫体制と高い技術力でプラスチックの魅力や価値を国内外に発信 本多プラス株式会社(愛知県新城市)   目次 1.「自ら考え」「自らつ...

一貫体制と高い技術力でプラスチックの魅力や価値を国内外に発信 本多プラス株式会社(愛知県新城市)   目次 1.「自ら考え」「自らつ...