お客様満足とニーズ 技術者のためのマーケティング(その2)

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1. お客様満足とは

 前回は、(その1)マーケティングとはを解説しました。今回は、 お客様満足とニーズです。お客様が商品を購入して満足すると、「また買いたい」と思っていただけ、ビジネスの継続性が増します。そのためには、お客様の期待以上の結果を提供できる商品づくりをし続ける必要があります。みなさんが、ものやサービスを購入するときには、その商品になんらかの便益(課題の解決など)を要求する一方で、お金や手間、時間などを費やしています。その商品を購入した結果、「満足した」と感じるのは、かかったコストと得られた便益のバランスが、期待以上になったときではないでしょうか。

 図1にお客様満足の定義を示します。ここで分母をコストだけでなく有害要因も考慮すると、環境問題にも配慮した定義になります。また、お客様満足は、TRIZの究極の理想解のところで学ぶ「理想性」の定義と同じとも考えられます。

お客様満足の定義

図1 お客様満足の定義

2. ニーズとシーズ

 いままで、ニーズを把握するためには、技術者にとってもマーケティングの習得が必須であることを述べてきました。ここでは、お客様の心の奥底にあってまだ気づいていない欲求、または気づいているが満たされていない欲求をニーズと定義しておきます。これから、潜在ニーズをいかに先取りするかについても掘り下げてみます。

 ニーズとは「お客様の求めている必要性」のことです。いっぽう、シーズとは「企業の持っている特別な技術や材料」のことになります。つまり、お客様が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズ、企業が「こんなものを提供したい」と思うのがシーズということになります。最近ニーズがますます高度化、多様化し、シーズとの違いを鮮明に区別できにくくなって、お客様の要求に応えきれないということが多いようです。高度成長期にはテレビ、冷蔵庫、洗濯機が必要とされ、その時のお客様の要求は、見る、冷やす、洗うという「基本機能」への要求でしたが、最近ではより薄く、より長持ち、より省エネなどといった高度な要求に変わっているのです。

 

3.顕在ニーズと潜在ニーズ

 ニーズには、図2のように、大きく分けて、顕在ニーズと潜在ニーズがあります。また別の切り口で、幸福な人生を送りたいというような「人生ニーズ」、旅行がしたいというような「生活ニーズ」、そしてデジカメが欲しいというような「商品ニーズ」もあります。主に「人生ニーズ」と「生活ニーズ」が、潜在ニーズと呼ばれるものを多く含んでいます。「商品ニーズ」は、ほぼ顕在ニーズに近いと考えられます。

技術者のためのマーケティングにおけるニ^ズ
図2 ニーズとは

 では、潜在ニーズを顕在ニーズ化するにはどうしたらよいでしょうか。例えばある仮説に基づいて、プロトタイプ商品をお客様に提供して、お客様の顕在ニーズを探ることができます。また現代では、インターネット上でバーチャルな商品を発表して顕在ニーズを探っています。ソフトウェアの世界では、シミュレーションという手法が有効であることが、方々の分野で実証されています。

 潜在ニーズの明確化に成功した電気掃除機の事例を紹...

1. お客様満足とは

 前回は、(その1)マーケティングとはを解説しました。今回は、 お客様満足とニーズです。お客様が商品を購入して満足すると、「また買いたい」と思っていただけ、ビジネスの継続性が増します。そのためには、お客様の期待以上の結果を提供できる商品づくりをし続ける必要があります。みなさんが、ものやサービスを購入するときには、その商品になんらかの便益(課題の解決など)を要求する一方で、お金や手間、時間などを費やしています。その商品を購入した結果、「満足した」と感じるのは、かかったコストと得られた便益のバランスが、期待以上になったときではないでしょうか。

 図1にお客様満足の定義を示します。ここで分母をコストだけでなく有害要因も考慮すると、環境問題にも配慮した定義になります。また、お客様満足は、TRIZの究極の理想解のところで学ぶ「理想性」の定義と同じとも考えられます。

お客様満足の定義

図1 お客様満足の定義

2. ニーズとシーズ

 いままで、ニーズを把握するためには、技術者にとってもマーケティングの習得が必須であることを述べてきました。ここでは、お客様の心の奥底にあってまだ気づいていない欲求、または気づいているが満たされていない欲求をニーズと定義しておきます。これから、潜在ニーズをいかに先取りするかについても掘り下げてみます。

 ニーズとは「お客様の求めている必要性」のことです。いっぽう、シーズとは「企業の持っている特別な技術や材料」のことになります。つまり、お客様が「こんなものを欲しい」と思うのがニーズ、企業が「こんなものを提供したい」と思うのがシーズということになります。最近ニーズがますます高度化、多様化し、シーズとの違いを鮮明に区別できにくくなって、お客様の要求に応えきれないということが多いようです。高度成長期にはテレビ、冷蔵庫、洗濯機が必要とされ、その時のお客様の要求は、見る、冷やす、洗うという「基本機能」への要求でしたが、最近ではより薄く、より長持ち、より省エネなどといった高度な要求に変わっているのです。

 

3.顕在ニーズと潜在ニーズ

 ニーズには、図2のように、大きく分けて、顕在ニーズと潜在ニーズがあります。また別の切り口で、幸福な人生を送りたいというような「人生ニーズ」、旅行がしたいというような「生活ニーズ」、そしてデジカメが欲しいというような「商品ニーズ」もあります。主に「人生ニーズ」と「生活ニーズ」が、潜在ニーズと呼ばれるものを多く含んでいます。「商品ニーズ」は、ほぼ顕在ニーズに近いと考えられます。

技術者のためのマーケティングにおけるニ^ズ
図2 ニーズとは

 では、潜在ニーズを顕在ニーズ化するにはどうしたらよいでしょうか。例えばある仮説に基づいて、プロトタイプ商品をお客様に提供して、お客様の顕在ニーズを探ることができます。また現代では、インターネット上でバーチャルな商品を発表して顕在ニーズを探っています。ソフトウェアの世界では、シミュレーションという手法が有効であることが、方々の分野で実証されています。

 潜在ニーズの明確化に成功した電気掃除機の事例を紹介します。電気掃除機は成熟商品に近く、もはや画期的なものは出ないと思っていた方が多かったのではないでしょうか。マーケティング・リサーチを実施すると、電気掃除機の主要機能である「吸込力」や「軽量化」が主なお客様要望となっています(図3)。しかし、電気掃除機の開発担当者は、下位の要望に着目しています。健康に暮したいという「生活ニーズ」である「清潔な排気」の潜在ニーズは、他社と競合せず価格競争に巻き込まれないコンセプトを狙ったそうです。その結果、排気の出ない電気掃除機を実現させるためにアイデアを創出しました。つまり、排気を循環させてその課題をブレークスルーしたのです。

潜在ニーズ明確化の事例
図3 潜在ニーズ明確化の事例

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この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

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