Hyundai NEXO試乗レポート 次世代エネルギー車とものづくり(その1)

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【次世代エネルギー車とものづくり 連載目次】

 

カーボンニュートラル対応として次世代エネルギー車のニーズが高まっています。実際にそれらを試乗するとともにその可能性と課題や、これまで取り組んできたプラスチック材料や成形加工への影響、またモノづくりトヨタ生産方式やカイゼンの視点で連載します。

 

今回は、HYUNDAI(ヒョンデ)自動車の燃料電池自動車(FCEV)NEXO(ネッソ)Hyundai FCEV NEXOの試乗レポートです。

 

2021年12月の試乗時点では日本未発売でしたが、右ハンドルで取説も充実しており、日本発売は間違いないと予測しました。事実、2022年5月から日本での予約受付が始まりました。試乗は、下図のように渋谷、三浦半島三崎間の往復です。

 

NEXO

 

◆日本にちょうど良い SUVタイプ 

 

NEXO

写真のようにもっとも人気の高いSUVタイプです。サイズは、トヨタのハリアーとほぼ一緒ですので、日本での取り回しも問題ありません。(下記数値は当社調べ)

              NEXO   ハリアー
全長(mm)       4,670  4,740
全幅(mm)       1,860  1,855
全高(mm)       1,640  1,660
ホイールベース(mm)  2,790  2,690
車両重量(kg)      1,870  1,680

YouTubeの技術オフィスTech-Tチャンネルの動画でご確認ください。

 

(1)計器類の新しい形

イグニッションオンで、メータからセンター部の「12.3インチ 高解像度ワイドマルチメディアスクリーン」まで一斉に点灯します。インパネ幅の運的席側2/3程度が一体の情報displayとの雰囲気です。ソニーのEVコンセプトカーVision S のワイド全域とまではいきませんが、集約した大型表示です。今後レポート予定の中国新興EVメーカの高級EV HiPhi XやTESLAなどは複数の大型dsiplayです。

 

(2)新潮流 次世代車向けの樹脂と成形加工法

次世代車の内装が大きく変わります。プラスチック材料としては、透明性が高く傷がつきにくいこと、また太陽光などの反射を抑止した材料や成形法が求められます。このあたりも後々レポート予定です。

 

すべての表示は日本語です。これは、重要かつ驚くべきことです。日本未発売にもかかわらず、右ハンドル仕様、かつ、すべての表示は日本語対応です。

 

これは、暗に、近い将来、日本で市販することを意味しているものと感じましたが、事実、2022年5月2日より日本での予約を受け付けています。グローバルにみて、市販のFCVはトヨタのミライとこのNEXOだけです。日本ではそのどちらも購入可能となりました。

 

正面の計器盤の表記は、コンベンショナルでシンプルなものです。注目される点は、FCEVならではの情報です。左端の数字、423kmは現在の水素充填量での航続可能距離です。中央下の青いバー表示は燃費計。その右側の1.1kg/100kmは直近の実績燃費です。100km走行当たりで水素を1.1kg消費します。右端の3525kmは積算走行距離計(オドメーター)です。

 

走行距離からは、水素の搭載量、高圧水素タンクの本数や搭載状況、また、その製造が気になるところです。

 

NEXO

 

(3)水素タンクはJR東日本の燃料電池列車と同じ

SUVの特性を生かして、後部座席下の3本の高圧水素タンクを配置しています。韓国ILJIN製のタンクとされていますが、これは、JR東日本の燃料電池列車同じメーカとなります。

 

FCVの増加と共に、高圧水素タンクのニーズが増加しますが、70MPaタンクでは炭素繊維強化プラスチックが必至となります、加工法はフィラメントワインディング(FW)法です。成形加工法としてのFW法、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の新たな拡大として注目すべきところでしょう。FW法や炭素繊維およびCFRPがウオッチングポイントでしょう。

 

(4)完成度の高い日本語の取扱説明書

写真は車内に備えてあった取扱説明書です。このまま市販車に使用できるレベルです。先ほどの計器類の日本語表記といえ、この説明書といえ、日本での...

【次世代エネルギー車とものづくり 連載目次】

 

カーボンニュートラル対応として次世代エネルギー車のニーズが高まっています。実際にそれらを試乗するとともにその可能性と課題や、これまで取り組んできたプラスチック材料や成形加工への影響、またモノづくりトヨタ生産方式やカイゼンの視点で連載します。

 

今回は、HYUNDAI(ヒョンデ)自動車の燃料電池自動車(FCEV)NEXO(ネッソ)Hyundai FCEV NEXOの試乗レポートです。

 

2021年12月の試乗時点では日本未発売でしたが、右ハンドルで取説も充実しており、日本発売は間違いないと予測しました。事実、2022年5月から日本での予約受付が始まりました。試乗は、下図のように渋谷、三浦半島三崎間の往復です。

 

NEXO

 

◆日本にちょうど良い SUVタイプ 

 

NEXO

写真のようにもっとも人気の高いSUVタイプです。サイズは、トヨタのハリアーとほぼ一緒ですので、日本での取り回しも問題ありません。(下記数値は当社調べ)

              NEXO   ハリアー
全長(mm)       4,670  4,740
全幅(mm)       1,860  1,855
全高(mm)       1,640  1,660
ホイールベース(mm)  2,790  2,690
車両重量(kg)      1,870  1,680

YouTubeの技術オフィスTech-Tチャンネルの動画でご確認ください。

 

(1)計器類の新しい形

イグニッションオンで、メータからセンター部の「12.3インチ 高解像度ワイドマルチメディアスクリーン」まで一斉に点灯します。インパネ幅の運的席側2/3程度が一体の情報displayとの雰囲気です。ソニーのEVコンセプトカーVision S のワイド全域とまではいきませんが、集約した大型表示です。今後レポート予定の中国新興EVメーカの高級EV HiPhi XやTESLAなどは複数の大型dsiplayです。

 

(2)新潮流 次世代車向けの樹脂と成形加工法

次世代車の内装が大きく変わります。プラスチック材料としては、透明性が高く傷がつきにくいこと、また太陽光などの反射を抑止した材料や成形法が求められます。このあたりも後々レポート予定です。

 

すべての表示は日本語です。これは、重要かつ驚くべきことです。日本未発売にもかかわらず、右ハンドル仕様、かつ、すべての表示は日本語対応です。

 

これは、暗に、近い将来、日本で市販することを意味しているものと感じましたが、事実、2022年5月2日より日本での予約を受け付けています。グローバルにみて、市販のFCVはトヨタのミライとこのNEXOだけです。日本ではそのどちらも購入可能となりました。

 

正面の計器盤の表記は、コンベンショナルでシンプルなものです。注目される点は、FCEVならではの情報です。左端の数字、423kmは現在の水素充填量での航続可能距離です。中央下の青いバー表示は燃費計。その右側の1.1kg/100kmは直近の実績燃費です。100km走行当たりで水素を1.1kg消費します。右端の3525kmは積算走行距離計(オドメーター)です。

 

走行距離からは、水素の搭載量、高圧水素タンクの本数や搭載状況、また、その製造が気になるところです。

 

NEXO

 

(3)水素タンクはJR東日本の燃料電池列車と同じ

SUVの特性を生かして、後部座席下の3本の高圧水素タンクを配置しています。韓国ILJIN製のタンクとされていますが、これは、JR東日本の燃料電池列車同じメーカとなります。

 

FCVの増加と共に、高圧水素タンクのニーズが増加しますが、70MPaタンクでは炭素繊維強化プラスチックが必至となります、加工法はフィラメントワインディング(FW)法です。成形加工法としてのFW法、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の新たな拡大として注目すべきところでしょう。FW法や炭素繊維およびCFRPがウオッチングポイントでしょう。

 

(4)完成度の高い日本語の取扱説明書

写真は車内に備えてあった取扱説明書です。このまま市販車に使用できるレベルです。先ほどの計器類の日本語表記といえ、この説明書といえ、日本での発売は確実と推察してしまいました。

 

NEXO

NEXO

 

(5)斬新なデザインのセンターコンソール

ドアを開けた瞬間に目に付きました。宙に浮いたような意匠のセンターコンソールです。ブリッジタイプと呼んでます。下のポケット部に携帯を置くと、非接触給電できます。なお、このブリッジタイプのセンターコンソールはトヨタから発売された本格的EVのbZ4Xでも採用されています。次世代車の新しい内装デザインのトレンドを予感させます。

 

NEXO

NEXO

 

さらなる詳細や動画、最新情報は、株式会社Tech-Tのウエブサイトでご確認ください。

次回に続きます。

 

◆オンデマンドセミナー:~新ビジネス探索のための情報の整理整頓シリーズ~ 新エネルギー車 BEV・FCEV 現状とこれから

◆関連解説『自動車技術』

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この記事の著者

高原 忠良

トヨタ式の ” ち密さ ” をサムスン流の ” スピード ” で! 自動車業界 × 樹脂部品を中心に開発から製造までのコンサルティング

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