【この連載の前回:ヒューマンエラーの原因と対策(その2)はこちら】
1.ヒューマンエラー対策の視点
人間はミスをする生き物です。その前提に立って、ヒューマンエラーを防止するためには次のような視点で対策を行います。
- エラーが発生した作業自体を無くせないか。
- エラーが発生しないような仕組みややり方に変えられないか。
- エラーの発生確率を下げられないか。
- エラーが発生した場合、すぐに発見できるようにできないか。
- エラーが発生しても、不具合に繋がらないようにできないか。
“人間はミスをする”ことを前提とした考え方に「フールプルーフ」というものがあります。フールプルーフとは、人間は操作をミスしてしまう前提にたち、「何も知らない人が使っても大丈夫」「間違った使い方をしても大事に至らない」ように設計することです。幾つか具体的な例を見てみましょう。
- ふたが閉まっていないと動かない洗濯機
- ドアを閉じていないと動かない電子レンジ
- 人が便座に座っていないと水が出ないおしり洗浄機
- ブレーキを踏んでいないとエンジンがかからない車
日常生活の身近なところにヒューマンエラー防止の仕組みを見つけることができます。設計者には当たり前なフールプルーフの考え方ですが、この様な事例を認識しておくことで、ヒューマンエラー対策を考える際の参考にすることができます。
2.フェールセーフ
フールプルーフと似たような考え方に「フェールセーフ」という言葉があります。フェールセーフとは、機械や設備は故障するものという前提に立って、故障した場合に危険な状態にならないように設計することを言います。こちらも具体例を見た方が...
- 倒れると自動で消える電気ストーブ
- 停電すると下りた状態で止まる踏切の遮断機
電気ストーブは底面にプッシュスイッチがあり、地震などでストーブが転倒すると突起が飛び出し、これがスイッチと連動してストーブが消える仕組みになっています。また、踏み切りの遮断機は電気で動作していますが、停電などで電力が絶たれた場合、たとえ上がった状態であっても自重で自然と下がる仕組みになっています。製品自体が壊れた時や予期せぬ事態になった時に、安全な状態になるように設計すること。これをフェールセーフといいます。
次回に続きます。
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