1.潜在意識を利用する
シネクティクスという言葉は、「異なった一見関係のないものを結びつける」といった意味のギリシャ語からの造語です。
創始者のウィリアム・ゴードンははアメリカの代表的シンクタンク、アーサー・D・リトル社で新商品開発のプロセスを研究し、その研究の中からシネクティクス法が生まれました。シネクティクス法は、日本の等価交換法やNM法と同様に類比の代表的な手法で、欧米では大変よく利用されています。シネクティクス法は、主として製品開発の分野でよく使われ、日本では万年筆のクリップを人の足の形にしたという例があります。
2.シネクティクス法の進め方
シネクティクスを実施するには、経験豊かで訓練を受けたリーダーとその問題の専門家、それに異分野の人材(心理学、社会学、化学、生物学など)で行うのが理想的です。会議人数は5~6人で7人以下がよいでしょう。
会議最初の10~15分でウォーミングアップをし、そして本番となります。基本的ステップは次の通りです。
3.シネクティクスの手順
下の図1で全体の手順を説明します。まず①問題提示を受け、次に②で1~2名の専門家が概略を説明します。そして③解決試案の発想で、メンバーは思いつくままアイデアを出して問題を全員がより身近なものとします。
④の解決目標の設定では、PAUの英語が示すように、この問題での解決ポイントを目標の形で書き出します。例えばテーマが「車のジャッキ」なら、「4トンの目方を支え、4インチ四方以下の箱に収まり、3フィートまで伸びる」といった具合に目標を明確化します。
リーダーはこのPAUに基づいて⑤「類比要求の質問」で発想を求め、チームのメンバーは⑥類比発想をします。類比発想には、直接的、擬人的、象徴的の3つがあります。
直接的類比はあらゆる事象の中からヒントになる実例を探します。ジャッキなら「電車のパンタグラフ」とか「風船」などがそれにあたります。特に自然界からヒントを探すことが推奨されます。
擬人的類比とは、メンバーがテーマになりきり、その人に対して他メンバーが話しかけ、異なった観点を見つけようとするやり方です。つまり、ジャッキそのものになりきって考え、発想する方法で、一種のロールプレイングです。
象徴的類比とは課題を高度に簡潔化して表現し、ヒントを探します。例えば、ジャッキを「圧縮されたパワー」と、本...