行動経済学に「ナッジ理論」があります。ナッジ理論とは、強い力ではなく、軽い力、仕組みで、ある行動を促すことができるという理論です。今回はナッジ理論について解説します。
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次のようなイラストを見たことありますか?
このようなマークがあると、人は心理的にこの足跡に注意します。これがナッジ理論の一例です。改めて、ナッジ理論とは、行動経済学のリチャード・セイラー教授によって提唱された理論です。その意味は、「注意を引くためにそっと突く・後押しする」といった意味があります。
ナッジ理論とは、小さなきっかけを与えて、人々の行動を変える対策、行動経済学です。ナッジ理論が広まったのは、行動経済学に貢献したリチャード・セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞したことがきっかけです。
1.ナッジ理論のフレームワーク「EAST」
ナッジ理論を実際の現場で使いやすい形にしたものが「EAST」と呼ばれるフレームワークで、「Easy」「Attractive」「Social」「Timely」から構成されています。
(1)【Easy(簡単・簡潔)】:Easy(簡単)であるということが大切です。面倒な手順があれば取り除き、簡単に取り入れられようにします。
(2)【Attractive(魅力的・印象的)】:Attractiveは、相手の注意を引く工夫をします。また、プロスペクト理論では「人は何かを得ることよりも、損失を回避したい気持ちの方が強い」という人の性質を活かしています。人の損失を回避するという特性を...