新商品開発に重要なアイデア発想とは

投稿日

 

今回は、新商品開発に重要なアイデア発想について食品業界を例に解説します。

1.新商品開発とアイデア発想

ある食品会社創業者の言葉で「会社の中で机に向かっているだけが商品開発ではない。意外な場所で意外な時に斬新なアイデアが生まれる可能性が高い」があります。その創業者は、ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承するために次の制度を設けました。

 

街をぶらぶらすることが任務である「ぶらぶら社員」制度が、ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承する制度です。その行動から商品開発に結びつく情報を会長に伝えることが仕事です。そのための交通費や飲食代などの経費を会社が負担します。日本にとどまらず、海外でも同様です。

 

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

◆ 商品企画七つ道具【連載記事紹介】

 

当時の社長の言葉は、「当社は、次に何を開発するかという点が弱いと感じているので、自由気ままに2年間ぶらぶらしてくる辞令を出した。」です。

 

社長としての業務に追われる自分がぶらぶらするわけにはいかない。そこで商品開発の能力とセンスに長けた営業部の担当者に、自分の分身として白羽の矢を立てたようです。

 

1978年に制度が設けら、当時、社内の会議や試作試食会などに参加しいた担当者は、外に出て、新しい体験をしたり、食べたことないものにチャレンジしました。2年間海外、国内の食べ歩きをして、この食品業界では手がけていない中華スープと春雨の食材を企画し商品化しました。この中華惣菜を世に出しことで今ではこれが定番商品となっています。

 

2.食品業界の商品開発に必要なこと

上述の制度の長所、短所、疑問点を整理しましょう。

 

アイデアは机上では生まれないことに強く賛同します。また、非常に自由でユニークな制度です。新商品開発はトップから権限委譲され、自由に発想できると思いがけないアイデアが生まれます。また、アイデア出しには情報収集が不可欠であり、既存の商品に無いアイデアを加えたものが新商品を生みます。

・疑問点

本当にぶらぶらしているだけであったのか。2年間、ずっと食べ歩きをしていただけであったのか。この制度を復活する場合、25年前と同じように新商品アイデアが出るのか。当時のようにその予算はあるのか。社長の片腕となるアイデアマンは社員1人でよいのか。

 

・問題点

食品業界の商品開発の現場をヒアリングしたことがありますが、次の問題点があります。

  • 食品業界は商品開発をアイデア発想だけと捉えていることも多い。
  • 失敗しても単価が安いので、新に新商品開発をすればよい。
  • 担当者がいくつの製品の担当を持ち、常にアイデアを出している。
  • カリスマア...

 

今回は、新商品開発に重要なアイデア発想について食品業界を例に解説します。

1.新商品開発とアイデア発想

ある食品会社創業者の言葉で「会社の中で机に向かっているだけが商品開発ではない。意外な場所で意外な時に斬新なアイデアが生まれる可能性が高い」があります。その創業者は、ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承するために次の制度を設けました。

 

街をぶらぶらすることが任務である「ぶらぶら社員」制度が、ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承する制度です。その行動から商品開発に結びつく情報を会長に伝えることが仕事です。そのための交通費や飲食代などの経費を会社が負担します。日本にとどまらず、海外でも同様です。

 

◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

◆ 商品企画七つ道具【連載記事紹介】

 

当時の社長の言葉は、「当社は、次に何を開発するかという点が弱いと感じているので、自由気ままに2年間ぶらぶらしてくる辞令を出した。」です。

 

社長としての業務に追われる自分がぶらぶらするわけにはいかない。そこで商品開発の能力とセンスに長けた営業部の担当者に、自分の分身として白羽の矢を立てたようです。

 

1978年に制度が設けら、当時、社内の会議や試作試食会などに参加しいた担当者は、外に出て、新しい体験をしたり、食べたことないものにチャレンジしました。2年間海外、国内の食べ歩きをして、この食品業界では手がけていない中華スープと春雨の食材を企画し商品化しました。この中華惣菜を世に出しことで今ではこれが定番商品となっています。

 

2.食品業界の商品開発に必要なこと

上述の制度の長所、短所、疑問点を整理しましょう。

 

アイデアは机上では生まれないことに強く賛同します。また、非常に自由でユニークな制度です。新商品開発はトップから権限委譲され、自由に発想できると思いがけないアイデアが生まれます。また、アイデア出しには情報収集が不可欠であり、既存の商品に無いアイデアを加えたものが新商品を生みます。

・疑問点

本当にぶらぶらしているだけであったのか。2年間、ずっと食べ歩きをしていただけであったのか。この制度を復活する場合、25年前と同じように新商品アイデアが出るのか。当時のようにその予算はあるのか。社長の片腕となるアイデアマンは社員1人でよいのか。

 

・問題点

食品業界の商品開発の現場をヒアリングしたことがありますが、次の問題点があります。

  • 食品業界は商品開発をアイデア発想だけと捉えていることも多い。
  • 失敗しても単価が安いので、新に新商品開発をすればよい。
  • 担当者がいくつの製品の担当を持ち、常にアイデアを出している。
  • カリスマアイデアマンがいて1年に必ずと言ってヒット商品が出る。

 

【食品業界の商品開発に必要なこと】

  • 既存製品の改良改善では顧客の声を取り入れる。
  • 新規商品では顧客調査を行い、購入意向を検証する。
  • カリスマアイデアマンだけではなく、他の社員もできるようにする。
  • 商品開発プロセスを見える化してマニュアル化する。

 

新商品開発に重要なアイデア発想ですが、新商品開発においては、潜在ニーズに基づく顧客要求を上述のような制度で発見・発掘することが出来ます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

石川 朋雄

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。

日本のものづくりは品質向上に切磋琢磨し,高品質な商品を開発しました。高品質商品と顧客価値創造を融合する商品企画のシステム化を提案します。


「アイデア発想法一般」の他のキーワード解説記事

もっと見る
アイデア発想を司る脳のDMN(デフォルト・モード・ネットワーク)とは

     デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)は、脳が意識的な活動をしていないとき、つまりぼんやりとしている時の脳...

     デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)は、脳が意識的な活動をしていないとき、つまりぼんやりとしている時の脳...


何を作ったら良いか分らない状態での新商品開発法とは(その2)

 何を作ったら良いか分らない状態の下で、新商品・新システムを考え出すための新商品開発法 (S2D)を 連載で解説しています。今回は、その2です。...

 何を作ったら良いか分らない状態の下で、新商品・新システムを考え出すための新商品開発法 (S2D)を 連載で解説しています。今回は、その2です。...


強烈な問題意識が創造のスタート、固定観念から抜け出せ!

1.ビジネスマンに必要な感性  ビジネスマンは、すべからく企画マンであるべき時代です。企画マンにとって最も大切なものは鋭敏な感受性であり、別な言葉で言え...

1.ビジネスマンに必要な感性  ビジネスマンは、すべからく企画マンであるべき時代です。企画マンにとって最も大切なものは鋭敏な感受性であり、別な言葉で言え...


「アイデア発想法一般」の活用事例

もっと見る
家族のひと言や行動が刺激になってひらめいた事例1.-編み機 、味の素 -

  1.せわしなく手を動かして編み物をする妻をながめているうちに、機械編み機を思いついた、イギリスの聖職者 ウィリアム・リー    ウ...

  1.せわしなく手を動かして編み物をする妻をながめているうちに、機械編み機を思いついた、イギリスの聖職者 ウィリアム・リー    ウ...


ヒット商品をひらめく時-シャープペンシルと芳香剤

1.繰り出し鉛筆の金具の細工を依頼されて、シャープペンシルを考案  大正4年当時、錺【かざり】職人だった早川徳次(早川電機=現シャープ創業者)は、万年筆...

1.繰り出し鉛筆の金具の細工を依頼されて、シャープペンシルを考案  大正4年当時、錺【かざり】職人だった早川徳次(早川電機=現シャープ創業者)は、万年筆...


連想ゲームで発想した事例 -電池と振り子時計-

1.ガルバーニの研究を受け継いで、最初の電池を考案したイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタ  最初に電池を考案したのは、イタリアのアレッサンドロ・ボ...

1.ガルバーニの研究を受け継いで、最初の電池を考案したイタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタ  最初に電池を考案したのは、イタリアのアレッサンドロ・ボ...