今回は、新商品開発に重要なアイデア発想について食品業界を例に解説します。
1.新商品開発とアイデア発想
ある食品会社創業者の言葉で「会社の中で机に向かっているだけが商品開発ではない。意外な場所で意外な時に斬新なアイデアが生まれる可能性が高い」があります。その創業者は、ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承するために次の制度を設けました。
街をぶらぶらすることが任務である「ぶらぶら社員」制度が、ひらめきと創造力の企業遺伝子を継承する制度です。その行動から商品開発に結びつく情報を会長に伝えることが仕事です。そのための交通費や飲食代などの経費を会社が負担します。日本にとどまらず、海外でも同様です。
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当時の社長の言葉は、「当社は、次に何を開発するかという点が弱いと感じているので、自由気ままに2年間ぶらぶらしてくる辞令を出した。」です。
社長としての業務に追われる自分がぶらぶらするわけにはいかない。そこで商品開発の能力とセンスに長けた営業部の担当者に、自分の分身として白羽の矢を立てたようです。
1978年に制度が設けら、当時、社内の会議や試作試食会などに参加しいた担当者は、外に出て、新しい体験をしたり、食べたことないものにチャレンジしました。2年間海外、国内の食べ歩きをして、この食品業界では手がけていない中華スープと春雨の食材を企画し商品化しました。この中華惣菜を世に出しことで今ではこれが定番商品となっています。
2.食品業界の商品開発に必要なこと
上述の制度の長所、短所、疑問点を整理しましょう。
アイデアは机上では生まれないことに強く賛同します。また、非常に自由でユニークな制度です。新商品開発はトップから権限委譲され、自由に発想できると思いがけないアイデアが生まれます。また、アイデア出しには情報収集が不可欠であり、既存の商品に無いアイデアを加えたものが新商品を生みます。
・疑問点
本当にぶらぶらしているだけであったのか。2年間、ずっと食べ歩きをしていただけであったのか。この制度を復活する場合、25年前と同じように新商品アイデアが出るのか。当時のようにその予算はあるのか。社長の片腕となるアイデアマンは社員1人でよいのか。
・問題点
食品業界の商品開発の現場をヒアリングしたことがありますが、次の問題点があります。
- 食品業界は商品開発をアイデア発想だけと捉えていることも多い。
- 失敗しても単価が安いので、新に新商品開発をすればよい。
- 担当者がいくつの製品の担当を持ち、常にアイデアを出している。
- カリスマア...