IS/ISNOT思考法は、問題分析の基本

更新日

投稿日

 多くの場合、問題が起きて原因を推定する際には、何が起きたか、どこで起きたか、いつ起きたか、どの程度起きたかといった事実を頭の中に入れた上で、可能性のある原因としてどのようなものがあるか、どれがより可能性の高い原因であるかを考えて行動していると思います。しかし、それほど論理的な思考の手順を踏んでいないのかもしれません。その手順は、人さまざまだと思いますが、ある特定の事実だけから推定してしまったり、直近の変化に着目して原因を推定してしまったりしていないでしょうか。

 多くの人の場合、その原因特定に至るまでに相当な時間を必要としたり、その特定した原因に対して自信が持てなかったりする人も多いでしょう。トラブルに遭遇した時に、真の原因に迫るその思考プロセスが分かっていたらムダな時間を費やさなくてすみ、出した結論に対しても自信を持てることになるはずです。また、先入観から思いつきの原因にジャンプしてしまうことを防ぎ、その結果、当たっていない対策に走ることを防止でき、やらなくてもよい対策をやらないですませられるという効果が期待できます。

 KT(Kepner Tregoe)法の問題分析に、IS/ISNOT思考が含まれていることを気づかれた人もいると思います。詳細な分析は、KT法の問題分析に任せて、ここでは、ロジカルシンキングの基本ツールとして切り出し活用できる図1の事例を紹介します。課題のテーマは、Aグループの特許出願件数がトップクラスのBさんの行動の特徴をヒントとして、同じグループの標準的な特許出願件数のCさんとグループ全体の特許出願件数向上計画を立案しようとするものです。

 まず、Bさんの事実情報をIS、Cさんの事実情報をISNOTとして、ここでは、能力、意欲、現状、所属組織の...

 多くの場合、問題が起きて原因を推定する際には、何が起きたか、どこで起きたか、いつ起きたか、どの程度起きたかといった事実を頭の中に入れた上で、可能性のある原因としてどのようなものがあるか、どれがより可能性の高い原因であるかを考えて行動していると思います。しかし、それほど論理的な思考の手順を踏んでいないのかもしれません。その手順は、人さまざまだと思いますが、ある特定の事実だけから推定してしまったり、直近の変化に着目して原因を推定してしまったりしていないでしょうか。

 多くの人の場合、その原因特定に至るまでに相当な時間を必要としたり、その特定した原因に対して自信が持てなかったりする人も多いでしょう。トラブルに遭遇した時に、真の原因に迫るその思考プロセスが分かっていたらムダな時間を費やさなくてすみ、出した結論に対しても自信を持てることになるはずです。また、先入観から思いつきの原因にジャンプしてしまうことを防ぎ、その結果、当たっていない対策に走ることを防止でき、やらなくてもよい対策をやらないですませられるという効果が期待できます。

 KT(Kepner Tregoe)法の問題分析に、IS/ISNOT思考が含まれていることを気づかれた人もいると思います。詳細な分析は、KT法の問題分析に任せて、ここでは、ロジカルシンキングの基本ツールとして切り出し活用できる図1の事例を紹介します。課題のテーマは、Aグループの特許出願件数がトップクラスのBさんの行動の特徴をヒントとして、同じグループの標準的な特許出願件数のCさんとグループ全体の特許出願件数向上計画を立案しようとするものです。

 まず、Bさんの事実情報をIS、Cさんの事実情報をISNOTとして、ここでは、能力、意欲、現状、所属組織のバックアップなどに分類して列挙します。次に、BさんとCさんはどう違うのかの区別点を抽出します。そして、◎、○などで区別点を評価します。その結果を基に、改善計画を議論し、3つ程度に絞って列挙します。たぶん、難しく感じないと思います。つまり、皆さんが頭の中で考えた違いを可視化することなのです。

IS ISNOT分析 

図1 IS/ISNOT思考法の具体例

   続きを読むには・・・


この記事の著者

粕谷 茂

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを実施中。

「感動製品=TRIZ*潜在ニーズ*想い」実現のため差別化技術、自律人財を創出。 特に神奈川県中小企業には、企業の未病改善(KIP)活用で4回無料コンサルを...


「技術マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
大学へのマーケティング 新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その51)

        今回は新規事業のアイディアを出す上で、マーケティング対象となりえる大学へのアプローチについて...

        今回は新規事業のアイディアを出す上で、マーケティング対象となりえる大学へのアプローチについて...


提案のできない技術者~技術企業の高収益化:実践的な技術戦略の立て方(その14)

  ◆ 技術営業:提案のできない技術者を放置していないか?  Aさん所属のA社は材料メーカーです。材料メーカーA社と部品メーカーであるお...

  ◆ 技術営業:提案のできない技術者を放置していないか?  Aさん所属のA社は材料メーカーです。材料メーカーA社と部品メーカーであるお...


特許出願技術動向調査の簡単活用例   新規事業・新商品を生み出す技術戦略(その4)

       経済産業省から特許出願技術動向調査結果が入手出来ます。この調査結果は、次のようにビジネスの2つの観点から...

       経済産業省から特許出願技術動向調査結果が入手出来ます。この調査結果は、次のようにビジネスの2つの観点から...


「技術マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
進捗管理の精度を上げる:第3回 プロジェクト管理の仕組み (その15)

 回路図や実装図からは、端子数以外にも標準部品、後付部品、自動実装機部品などをカウントすることも可能です。図45 は、これらについて見積もり(計画)を作成...

 回路図や実装図からは、端子数以外にも標準部品、後付部品、自動実装機部品などをカウントすることも可能です。図45 は、これらについて見積もり(計画)を作成...


作業要素の進捗分析1 プロジェクト管理の仕組み (その18)

 連載で、進捗管理に利用する基本メトリクスセット(図41)について解説を続けています。前回はソフトウェア開発における成果物メトリクスについて解説しました。...

 連載で、進捗管理に利用する基本メトリクスセット(図41)について解説を続けています。前回はソフトウェア開発における成果物メトリクスについて解説しました。...


プラント建設業者の効率的・効果的な探し方とは

        今回は、配管、土木建築、電気・計装、機器の設計を担当する設計業者に設計を注文する事例で、大型プラント建設に対応できるような業者を効率...

        今回は、配管、土木建築、電気・計装、機器の設計を担当する設計業者に設計を注文する事例で、大型プラント建設に対応できるような業者を効率...