ISO19011:監査要員の育成(その4)

 

 

【ISO19011:監査要員の育成 連載記事目次】

1. 監査の用語の定義

2. 監査に関連する規格・内容

3. 内部監査とは

4. 監査員の力量及び評価

5. マネジメントシステム監査員の共通的な知識及び技能

6. 監査員の適切な評価方法の選択

7. 監査プログラム

8. 監査プログラムの確立

9. 監査の実施、監査活動の準備

10.監査活動の実施

11.良い内部監査

監査員の力量はISO19011の箇条7「監査員の力量及び評価」がある。ISO審査員コースを受けても良いし、構築時のコンサルタントの指導を受けても良い。大事なことは、9.2内部監査のa)の1)“品質マネジメントシステムに関して、組織自体が規定した要求事項”の為の、マニュアル・手順書・仕様書又は製品・サービスを基準とした監査を行えるようにすることと考えている。

 

今回は、連載で「監査要員の育成」について解説します。

 

【(その4)目次】
7.監査員の力量及び評価(箇条7 監査員の力量及び評価)
7-1 監査員の力量及び評価の基本的な事項(一般)
7-2 監査員の力量の決定
 ①一般
 ②個人の行動

 

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7.監査員の力量及び評価(箇条7 監査員の力量及び評価)

ISO 19011の箇条7では、「監査員の力量及び評価」となっている。その項目を記載し、マネジメントサイクルを確認する。そして、箇条7は、その箇条だけの小さなマネジメントサイクルを考えてみた。

 

   7 監査員の力量及び評価
    7.1 一般              P
    7.2 監査員の力量の決定       P
    7.3 監査員の評価基準の確立     P
    7.4 監査員の適切な評価方法の選択  Do  
    7.5 監査員の評価の実施       Do
    7.6 監査員の力量の維持及び向上   C、Act

監査員の力量及び評価の内容を、PDCAサイクルを考えてみる。また、内部監査員の為に、第一者監査を主に解釈を行う。

 

7-1 監査員の力量及び評価の基本的な事項(一般)

内部監査のプロセス及びその目的を達成するために、監査を行う要員の能力・力量における信頼に依存する。これら能力・力量は、監査員及び監査チームリーダーを含み、それを定期的に評価することが望ましい。この評価は、個人の行動並びに教育や業務経験や監査員訓練及び監査経験によって身に付けた、それらの知識及び技能を適用する能力を考慮するプロセスを通じて行う。

 

この評価プロセスは、監査プログラム及びその目的のニーズを考慮に入れることが望ましい。

 

箇条の7.2.3知識及び技能には、あらゆるマネジメントシステム分野の監査員に共通のものもあれば、個々のマネジメントシステム分野の監査員に固有のものもある。内部監査は自社の独自の規定を知り、第二者監査(協力会社・販売会社など)では、自社の規定と、協力会社や販売会社等の規定・基準を知っていなければならない。そして、第三者監査では、法的基準やISO認定機関の基準を理解していなければならない。

 

当該の内部監査の監査チームにおける個々の監査員が、業務経験や知識等の同じ力量を備えている必要はない。ただし、監査チーム全体としての力量を満たし、監査目的を達成するために十分である必要がある。

 

内部監査員の力量の評価は、監査計画又は教育計画に於いて策定し、実施し、客観的で一貫性を持ち、公正で信頼できる成果を提供するために、文書化する。

 

この評価プロセスは、次の四つの主要な段階(ステップ)を含める。 

  1.  監査プログラムのニーズを満たすために、必要な監査員の力量を決定する。 
  2.  各段階の、評価基準を確立する。 
  3.  決めておいた、適切な評価方法を選択する。 
  4.  定めている、評価を行う。 

 

評価プロセスの監査計画又は監査教育の成果は、次の事項の基礎を提供することが望ましい。 

 

監査員は、専門能力の継続的開発及び監査への定期的な参加によって、自らの力量を開発し、維持し、向上することが望ましい。また、監査員及び監査チームリーダーを評価するプロセスは、箇条7.3や箇条7.4や箇条7.5に書かれている。更には、監査員及び監査チームリーダーは、箇条7.1で確立した基準だけでなく、箇条7.2.2及び箇条7.2.3で設定した基準に対しても、評価される。内部監査の監査プログラムをマネジメントする人の監査依頼者に求められる力量を、箇条5.4.2に示す。 

 

7-2 監査員の力量の決定

①一般

監査に求められる必要な力量を決める時は、監査員の知識及び技能に関係する次の事項を考慮する。第一者監査、第二者監査、第三者監査の各監査員の力量の決定は、主に第一者監査に対して考える。

a) 内部監査の監査を受ける人(被監査者)の監査範囲の規模、性質、工程・プロセスの複雑さ、製品・サービス及びプロセス 
b) これらを考慮した監査の方法 
c) 監査の対象となるマネジメントシステムの分野(内部監査の場合でも、その組織自体又は代理人によって行われることがある。)
d) 内部監査の場合の対象となるマネジメントシステム(社内の規定・手順等)の複雑さ及び業務の工程・過程のプロセス 
e) その社内の規定・手順等のマネジメントシステムで対処するリスク及び機会の、タイプ及びレベル 
f) 監査プログラムの目的(例えば定期又はフォローアップ等)及び監査プログラムの及ぶ領域(例えば工程別又は機種別又はエリア別等) 
g) 監査目的の達成における不確かさ(監査を受ける人の協力度、新たに追加される課題等)
h) 該当する場合、その他の要求事項。例えば、監査依頼者又はその他の関連する利害関係者によって課されるもの。

 

②個人の行動

監査員は、箇条4(監査の原則)に従って活動するため、必要な特質を備えていることが望ましい。また、監査活動を実施している間は、専門家としての行動を示すことが望ましい。望ましい専門家としての行動には、次の事項を含む。

㋐倫理的である    ㋑心が広い    ㋒外交的である
㋓観察力がある    ㋔知覚が鋭い    ㋕適応性がある
㋖粘り強い    ㋗決断力がある    ㋘自立的である
㋙不屈の精神をもって活動できる    ㋚改善に対して前向きである。
㋛文化に対して敏感である &n...

bsp;  ㋜協力的である

 

また、その内容は次の通りに従う行動をとる。

㋐ 公正で、信用で、誠実で、正直で、そして分別がある。
㋑ 別の考え方又は視点を進んで考慮する。
㋒ 目的を達成するように、人と上手に接する。
㋓ 物理的な周囲の状況及び活動を、積極的に観察する。
㋔ 状況を認知し、理解ができる。
㋕ 異なる状況に、容易に合わせることができる。
㋖ 根気があり、目的の達成に集中し、論理的な理由付け及び分析に基づき、時宜を得た結論に到達することができる。
㋗ 他の人々と有効な交渉をしながらも独立して活動し、役割を果たすことができる。
㋘ その活動がときに受け入れられず、意見の相違又は対立をもたらすことがあっても、責任をもち、倫理的に活動することができる。
㋙ 進んで状況から学ぶ。
㋚ 監査を受ける者の文化を観察し、尊重し、監査チームメンバー及び監査を受ける者の要員を含む他の人々とともに有効に活動する。

 

次回は、7-3 知識及び技能から解説します。 

 

 

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