前回の「技術者に必要な3つの力(その1)」では以下の3項目について解説しました。
1.「技術者に必要な3つの力」とは
2.「技術力」について
3.「伝える力と書く力」について
詳細は「技術者に必要な3つの力(その1)」の記事参照。今回は「伝える力と書く力」のレベルアップについての解説です。
4.「伝える力と書く力」のレベルアップについて
技術者は自分の専門分野の技術力のレベルアップに日々努めています。“技術者”という職業意識があることや技術力を提供することで仕事の報酬を得ることがその理由だと思います。これに対して、技術者は「伝える力と書く力」のレベルアップについての意識が低いように思います。“技術者”という職業意識があり「技術者は高い技術力を持つことが最も重要」と考えているからだと思います。
また「自分の書いた技術文書は読み手に伝わっている」と思っているからです。でも、本当に伝わっているのでしょうか?
「内容が伝わる」と「内容が“明確に”伝わる」は違います注2)。「自分の書いた技術文書は読み手に伝わっている」と思っても実際は“明確に”伝わっていないことがあると思います。自分以外の人が書いた技術文書を読んだとき頭の中に「?」という記号が出たことがあると思います。このような技術文書は「内容が伝わる技術文書」すなわち「内容が明確に伝わらない技術文書」です。内容が明確に伝わらないのでこれを読んだとき頭の中に「?」という記号が出てきます。
「内容が伝わる」と「内容が“明確に”伝わる」の違いを理解しないで技術文書を書くと依頼内容の成果(仕事の成果)をクライアントに明確に伝えることができません。あるいは、仕事が円滑に進まなかったり仕事の手戻りが発生したりします。
技術者にも「伝える力と書く力」のレベルアップが求められています。自分の技術力に見合った対価を得るためです。また「伝える力と書く力」のレベルアップが、仕事の遅延・停滞や仕事の手戻りの発生などのリスクを低減させる対策の一つになるからです。
5. すべての年代に求められる
「伝える力と書く力」のレベルアップは、新人社員や若手社員だけに求められるものではありません。「伝える力と書く力」のレベルアップが中堅社員やベテラン社員にも求められることが...