生成AIの回答を検証する:生成AI、工場でどこまで使えるのか(その2)

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生成AI、工場でどこまで使えるのか(その2)生成型AIの回答を検証

 

近い将来、対話型AIが現行の検索エンジンにとって代わる可能性が指摘されていますが、今回は、連載解説(その2)生成AIの回答を検証するを解説します。前回の生成AIは、工場でどこまで使えるのか(その1)に続けて解説します。次の目次 見出し番号は、今回の連載解説、通し番号になります。

【目次】

    ◆[エキスパート会員インタビュー記事]品質づくりは上流から、そして人づくりから(濱田 金男氏

     

    3. 生成型AIのChatGPTが導き出した顧客クレーム対策案を検証する!

    (1) 再発防止策はこれで完璧か?

    対話型生成AIのChatGPTの本当の実力はどのようなものでしょうか?そこには、プロンプトエンジニアの存在も欠かせません。答えをうまく引き出して顧客クレーム対策案を抽出します。以下は、ChatGPTとの全てのやり取りから引用、記録したものです。

     

    <プロンプト入力1>

    最初にChatGPTの役割を以下のように指示します。

    • 「あなたは、製造業の加工現場、組立現場の経験が豊富で、発生する問題の解決に当たる優秀な技術者であり、また管理者でもある。以上について了解したら「はい」と答えてください。

    ChatGPTの答え →はいわかりました。

     

    <プロンプト入力2>

    ①背景・現状の説明:当社は、精密加工技術で顧客の信頼を得ているが最近は熟練技能者が次々と退職し、管理技術力が低下している。そのため、今までなかった顧客からのクレームを月に2,3件受けるようになった。クレームの内容は、単純ミスが多く、加工漏れや組み立てミスがほとんどで、確認を確実に行えば、防げる問題が多い。ミスを起こした担当者は、経験が3,4年の若手作業者であり、基本教育が 不足していると考えられる。

     

    ②ミスの原因:今まで、熟練技能者によって確実に実施されていた作業は若手作業者に引き継がれておらず、また作業手順書の整備も不十分となっている。そのため経験の浅い作業者は、どのように対応していいか、わからない状態となっている。また、現場管理者は、若手社員教育や作業指示書の作成するための人材も少ない中、対策を講ずることが難しい状態となっている。

     

    以上の状況を踏まえ、会社としてどのような対策を取れば良いかの案をいくつか提示してださい。

     

    <ChatGPTの回答引用1>

    上記の状況を考慮し、問題解決のためのいくつかの提案を以下に示します。

     

    ①基本教育プログラムの強化: 経験の浅い作業者向けに基本教育プログラムを整備しましょう。これには加工技術や組み立て手順などの基礎的なトレーニングが含まれます。技能者からの知識やノウハウを集約し、明確な教育プランを作成しましょう。

     

    ②マニュアルの整備: 作業手順書を作成して、作業者が確実に手順を理解し、実施できるようにしましょう。手順書は図解や具体的な指示を含むべきであり、作業者が迷わずに作業を行えるようにします。

     

    ③マンターリングシステムの導入: 熟練技能者と若手作業者の間でマンターリング(師弟制)システムを導入しましょう。熟練者が若手作業者を指導し、技術やノウハウを伝えることで、スキルの引継ぎと成長を促進します。

     

    ④チームワークとコミュニケーションの強化: チーム全体の意識を高め作業者同士や管理者とのコミュニケーションを活発化させましょう。定期的なミーティングや情報共有の場を設け、問題や課題を共有し解決策を協力して考える習慣を養いましょう。

     

    ⑤管理者のサポート体制の強化: 管理者が若手社員教育や作業指示書の作成に専念できるよう、適切な人材やリソースを配置しましょう。管理者の負担を軽減することで、対策策定や教育により時間を割くことが可能となります。

     

    ⑥品質管理体制の見直し: ミスの防止のために、品質管理体制を見直しましょう。品質チェックや検査のプロセスを厳密化し、確認手順を組み込むことでミスを防ぎます。

     

    ⑦フィードバックと改善サイクルの確立: クレームが発生した場合は、それをチーム全体で分析し、原因を特定します。その情報をフィードバックとして活用し、類似の問題を未然に防ぐための改善策を取りいれましょう。定期的な改善サイクルを確立し、継続的な品質向上を図ります。

     

    ⑧経験者の留任策の検討: 熟練技能者の退職を防ぐために、留任策を検討しましょう。経験者に対してキャリアパスの選択肢やスキルアップの機会を提供し、彼らの貢献と成長を促進します。また、退職者とのアルムナイネットワークを構築し、必要に応じてコンサルティングやサポートを受けることも検討します。

     

    ⑨外部の専門家の協力: ミスの原因特定や改善策の立案において、外部の専門家やコンサルタントの協力を仰ぎましょう。彼らの知識や経験を活用することで、効果的な対策を早急に実施することができます。

     

    ⑩スキルアップのための継続的なトレーニング: 組織全体の技術力向上のために、継続的なトレーニングプログラムを実施しましょう。新しい加工技術や最新の工具・装置に関する知識をアップデートし作業者の技術レベルを向上させます。技能者のキャリア開発やモチベーション向上にも貢献します。

     

    更に質問を続け、以下のプロンプトを入力します。

     

    <プロンプト入力3>

    多くの案が出ましたが、中小企業では費用、時間、人などの経営資源が不足しており、一番効果の上がる方法を3つ採用したいと思います。どの案を推奨しますか?

     

    <ChatGPTの回答引用2>

    中小企業の経営資源が限られている場合、効果的な方法を選択することは重要です。以下に、経費や時間、人材の制約を考慮した上で、効果が高く実現可能性の高い3つの方法を推奨します。

     

    ①基本教育プログラムの強化:経験の浅い作業者向けの基本教育プログラムの強化は重要な対策です。これには内部のリソースを活用して教材の作成やトレーニングセッションの実施を行うことができます。既存の熟練技能者や管理者からのノウハウの共有やマンターリングを活用し、負担を分散させることができます。教育プログラムを段階的に構築し、最も基礎的で重要な項目にフォーカスすることで費用や時間の制約を考慮しながら効果的な教育を実現できます。

     

    ②マニュアルの整備:作業手順書の整備はミスを減らし、作業の一貫性を確保する上で効果的です。マニュアルの作成には経験者の知識を活用しつつ、作業者からのフィードバックも取り入れることが重要です。ただし、全ての作業手順を網羅的に整備するのではなく、重要な作業やミスの多い工程に重点を置くことで、経費と時間の節約が可能です。マニュアルはデジタル化し、継続的な改善と共有が容易になるようにしましょう。

     

    ③チームワークとコミュニケーションの強化:内部リソースを最大限活用するために、チームワークとコミュニケーションの強化は重要です。定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、作業者同士や管理者とのコミュニケーションを促進し、問題の共有と解決に向けた意識を高めましょう。これにより、限られた人材や時間を最適に活用することができます。

     

    これらの方法は、経営資源に制約のある中小企業においても効果的な対策です。基本教育プログラムの強化は内部のリソースを活用することで実現可能であり、教育の内容...

    生成AI、工場でどこまで使えるのか(その2)生成型AIの回答を検証

     

    近い将来、対話型AIが現行の検索エンジンにとって代わる可能性が指摘されていますが、今回は、連載解説(その2)生成AIの回答を検証するを解説します。前回の生成AIは、工場でどこまで使えるのか(その1)に続けて解説します。次の目次 見出し番号は、今回の連載解説、通し番号になります。

    【目次】

      ◆[エキスパート会員インタビュー記事]品質づくりは上流から、そして人づくりから(濱田 金男氏

       

      3. 生成型AIのChatGPTが導き出した顧客クレーム対策案を検証する!

      (1) 再発防止策はこれで完璧か?

      対話型生成AIのChatGPTの本当の実力はどのようなものでしょうか?そこには、プロンプトエンジニアの存在も欠かせません。答えをうまく引き出して顧客クレーム対策案を抽出します。以下は、ChatGPTとの全てのやり取りから引用、記録したものです。

       

      <プロンプト入力1>

      最初にChatGPTの役割を以下のように指示します。

      • 「あなたは、製造業の加工現場、組立現場の経験が豊富で、発生する問題の解決に当たる優秀な技術者であり、また管理者でもある。以上について了解したら「はい」と答えてください。

      ChatGPTの答え →はいわかりました。

       

      <プロンプト入力2>

      ①背景・現状の説明:当社は、精密加工技術で顧客の信頼を得ているが最近は熟練技能者が次々と退職し、管理技術力が低下している。そのため、今までなかった顧客からのクレームを月に2,3件受けるようになった。クレームの内容は、単純ミスが多く、加工漏れや組み立てミスがほとんどで、確認を確実に行えば、防げる問題が多い。ミスを起こした担当者は、経験が3,4年の若手作業者であり、基本教育が 不足していると考えられる。

       

      ②ミスの原因:今まで、熟練技能者によって確実に実施されていた作業は若手作業者に引き継がれておらず、また作業手順書の整備も不十分となっている。そのため経験の浅い作業者は、どのように対応していいか、わからない状態となっている。また、現場管理者は、若手社員教育や作業指示書の作成するための人材も少ない中、対策を講ずることが難しい状態となっている。

       

      以上の状況を踏まえ、会社としてどのような対策を取れば良いかの案をいくつか提示してださい。

       

      <ChatGPTの回答引用1>

      上記の状況を考慮し、問題解決のためのいくつかの提案を以下に示します。

       

      ①基本教育プログラムの強化: 経験の浅い作業者向けに基本教育プログラムを整備しましょう。これには加工技術や組み立て手順などの基礎的なトレーニングが含まれます。技能者からの知識やノウハウを集約し、明確な教育プランを作成しましょう。

       

      ②マニュアルの整備: 作業手順書を作成して、作業者が確実に手順を理解し、実施できるようにしましょう。手順書は図解や具体的な指示を含むべきであり、作業者が迷わずに作業を行えるようにします。

       

      ③マンターリングシステムの導入: 熟練技能者と若手作業者の間でマンターリング(師弟制)システムを導入しましょう。熟練者が若手作業者を指導し、技術やノウハウを伝えることで、スキルの引継ぎと成長を促進します。

       

      ④チームワークとコミュニケーションの強化: チーム全体の意識を高め作業者同士や管理者とのコミュニケーションを活発化させましょう。定期的なミーティングや情報共有の場を設け、問題や課題を共有し解決策を協力して考える習慣を養いましょう。

       

      ⑤管理者のサポート体制の強化: 管理者が若手社員教育や作業指示書の作成に専念できるよう、適切な人材やリソースを配置しましょう。管理者の負担を軽減することで、対策策定や教育により時間を割くことが可能となります。

       

      ⑥品質管理体制の見直し: ミスの防止のために、品質管理体制を見直しましょう。品質チェックや検査のプロセスを厳密化し、確認手順を組み込むことでミスを防ぎます。

       

      ⑦フィードバックと改善サイクルの確立: クレームが発生した場合は、それをチーム全体で分析し、原因を特定します。その情報をフィードバックとして活用し、類似の問題を未然に防ぐための改善策を取りいれましょう。定期的な改善サイクルを確立し、継続的な品質向上を図ります。

       

      ⑧経験者の留任策の検討: 熟練技能者の退職を防ぐために、留任策を検討しましょう。経験者に対してキャリアパスの選択肢やスキルアップの機会を提供し、彼らの貢献と成長を促進します。また、退職者とのアルムナイネットワークを構築し、必要に応じてコンサルティングやサポートを受けることも検討します。

       

      ⑨外部の専門家の協力: ミスの原因特定や改善策の立案において、外部の専門家やコンサルタントの協力を仰ぎましょう。彼らの知識や経験を活用することで、効果的な対策を早急に実施することができます。

       

      ⑩スキルアップのための継続的なトレーニング: 組織全体の技術力向上のために、継続的なトレーニングプログラムを実施しましょう。新しい加工技術や最新の工具・装置に関する知識をアップデートし作業者の技術レベルを向上させます。技能者のキャリア開発やモチベーション向上にも貢献します。

       

      更に質問を続け、以下のプロンプトを入力します。

       

      <プロンプト入力3>

      多くの案が出ましたが、中小企業では費用、時間、人などの経営資源が不足しており、一番効果の上がる方法を3つ採用したいと思います。どの案を推奨しますか?

       

      <ChatGPTの回答引用2>

      中小企業の経営資源が限られている場合、効果的な方法を選択することは重要です。以下に、経費や時間、人材の制約を考慮した上で、効果が高く実現可能性の高い3つの方法を推奨します。

       

      ①基本教育プログラムの強化:経験の浅い作業者向けの基本教育プログラムの強化は重要な対策です。これには内部のリソースを活用して教材の作成やトレーニングセッションの実施を行うことができます。既存の熟練技能者や管理者からのノウハウの共有やマンターリングを活用し、負担を分散させることができます。教育プログラムを段階的に構築し、最も基礎的で重要な項目にフォーカスすることで費用や時間の制約を考慮しながら効果的な教育を実現できます。

       

      ②マニュアルの整備:作業手順書の整備はミスを減らし、作業の一貫性を確保する上で効果的です。マニュアルの作成には経験者の知識を活用しつつ、作業者からのフィードバックも取り入れることが重要です。ただし、全ての作業手順を網羅的に整備するのではなく、重要な作業やミスの多い工程に重点を置くことで、経費と時間の節約が可能です。マニュアルはデジタル化し、継続的な改善と共有が容易になるようにしましょう。

       

      ③チームワークとコミュニケーションの強化:内部リソースを最大限活用するために、チームワークとコミュニケーションの強化は重要です。定期的なミーティングや情報共有の場を設けることで、作業者同士や管理者とのコミュニケーションを促進し、問題の共有と解決に向けた意識を高めましょう。これにより、限られた人材や時間を最適に活用することができます。

       

      これらの方法は、経営資源に制約のある中小企業においても効果的な対策です。基本教育プログラムの強化は内部のリソースを活用することで実現可能であり、教育の内容を重点的に絞ることで効果を最大化します。マニュアルの整備も経験者の知識や作業者のフィードバックを活用しつつ、重要な作業に焦点を当てることで経費と時間を節約できます。また、チームワークとコミュニケーションの強化は内部の人材を最大限に活かすために重要な要素であり、リソースを追加投入することなく実施できます。

       

      ただし、これらの対策は組織の具体的な状況やニーズに応じて適切に調整する必要があります。状況によっては外部の専門家の協力や他の対策の検討も必要になるかもしれません。経営資源の制約を踏まえつつ、最も効果的で実現可能な対策を選択し、持続的な改善を図ってください。

      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

      さあ、以上の生成AIからの回答を得て、実際の改善作業に取り掛かることができるでしょうか?「参考になった」と答える方と、「あまり参考にならない」と答える方がいると思います。

       

      質問者(プロンプトエンジニア)としては、背景と現状、ミスの直接の原因を三現主義で的確に捉え、AIに具体的な情報を伝えられるかどうかがポイントとなります。抽象的な問いかけでは、抽象的な答えが返ってくるだけです。生成AIからの回答に満足できない多くの原因は、プロンプトの内容に原因があります。

       

      次回に続きます。

       

      ◆【特集】 連載記事紹介:連載記事のタイトルをまとめて紹介、各タイトルから詳細解説に直リンク!!

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      この記事の著者

      濱田 金男

      製造業に従事して50年、新製品開発設計から製造技術、品質管理、海外生産まで、あらゆる業務に従事した経験を基に、現場目線で業務改革・経営改革・意識改革支援に取り組んでいます。

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